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続おれとこなちゃん(4)完

連載打ち切りのお知らせ

 想定していたよりも「おれは柊つかさである」という設定が膨らまなかった。前回の第3話をもって打ち切りとする。電子書籍化は無し。見通しが甘かった。

おまけ 構想メモ

 テレビアニメ版『らき☆すた』をあらためて視聴したときの覚え書きを残しておく。このメモを作っているときは楽しかったのだが……。

第05話「名射手」

・高校2年の夏休み。夏祭りの回。
・ゆい姉さん初登場。
・つかさの顔に付いた「わたあめ」を、かがみが取ってあげる1コマがあるが、それを見たこなちゃんは「ぜんぜん萌えない」ことを表明している。つまり、こなちゃんは百合萌えはない。ちなみに、『らき☆すた』における「百合萌え」は、第2クール目の「小早川ゆたか」と「岩崎みなみ」ならびに「田村ひより」の各種エピソードが担保している。
・つかさの「バルサミコ酢~♪」の回。
・こなちゃん、柊家に遊びにくる。目的は、かがみが終えた夏休みの宿題を写すため。こなちゃんは、かがみに百合的な感情は抱いておらず、この時点では、使い勝手の良い知人扱いしている節がある。

第07話「イメージ」

・夏休みが明けた2年生の2学期。
・こなちゃん、なぜかお嬢様口調。夏休み期間に『マリア様がみてる』にハマった模様。こなちゃんが原作小説を読んだとは考え難く、おそらく『マリみて』を知ったのはアニメかコミカライズ版だと考えられる。
・このとき、こなちゃんは小笠原祥子になりきり、柊姉妹に向かって「ごきげんよう」と挨拶をしていた。こなちゃんは『マリみて』を鑑賞して「お嬢様キャラ」に面白みを感じてるだけで、『マリみて』における「百合要素」をとらえそこねていることがわかる。もともと百合萌えに興味がないことに加えて、こなちゃんはオタクを自称しているものの「作品理解の浅さ」が見受けられる。

第10話「願望」

・こなちゃん、柊かがみのガラケーを手に取って勝手に中身を見ようする。かがみに制止を受ける。いくら友人でも無神経すぎる。そういうとこだぞ。
・柊姉妹、こなちゃん宅に初訪問。こなちゃんが夕飯を調理。ビーフシチューと白飯と味噌汁がセットで饗される。
・こなちゃんのお父さんと亡きこなちゃんのお母さんは幼馴染。

第11話「いろんな聖夜のすごし方」

・だってヴァが初登場。一瞬だけ。
・こなちゃんが「クリスマスに予定がある」と言うと、かがみが「男関係か?」と疑う。こなちゃんには百合っ気がないけれど、かがみには若干の百合っ気がある。といっても性愛寄りではなく、かがみに見受けられるのは「過剰な友情」寄りの百合っ気である。

第15話「お祭りへいこう」

・小早川ゆたかはこなちゃんのいとこである。ゆたかはこなちゃんと同じ陵桜学園に合格した。通学に便利なため、こなちゃん宅に居候している。
・ゆたかは、入学当初の教室「こんな見た目だけど飛び級小学生じゃないですよ」と自己紹介した。これは『あずまんが大王』の美浜ちよを踏まえている。
・泉こなたは身長143cm。小早川ゆたかは身長138cm。政府統計によれば、138~143cmとは、10歳(小学4年生)女児の平均的な身長である。こなちゃんとゆたかは、身長や外貌において明確なハンディキャップを負っている。しかし、こなちゃんは見た目は小学生だが、健康と精神年齢については女子高生の年齢にふさわしものを備えている。一方の小早川ゆたかは、勉強はできるものの身体虚弱であるため、しょっちゅう体調を崩すため、欠席したり、たとえ登校しても保健室で療養せざるをえない。
・小早川ゆたかは、もうひとりの「こなちゃん」である。こなちゃんのような身体的ハンディキャップを負った者の「本来の姿」と見なすことができる。こなちゃんのお母さん「泉かなた」はすでに死亡している。死因は不明だが、成人してもこなちゃんと同様の小柄な体型であることから、どちらかといえば「小早川ゆたか」寄りの虚弱体質であった可能性が高い。つまり、こなちゃんにとって「小早川ゆたか」は、こなちゃんの「ありえたかもしれない姿」なのである。
・テレビアニメ『らき☆すた』の第1クールは、一見すると未成熟体型の虚弱児である「こなちゃん」のじつはパワフルで奔放な日常を描いており、第2クールでは見た目どおり虚弱な「もうひとりのこなちゃん」である小早川ゆたかの困難な日常を描いている。
・原作マンガでは、小早川ゆたかは「連載を維持、継続するために必要な新規キャラクターのひとりにすぎない。アニメ化するにあたり、おなじ虚弱属性であるこなちゃんとの対比を強調して描くことによって、『らき☆すた』の世界観に深みを与えることに成功している。制作を担当した京都アニメーションの面目躍如である。

第20話「夏の過ごし方」

 こなちゃん、3年生の夏休みでも柊かがみの宿題を丸写しさせてもらう。ただし、去年いなかった「小早川ゆたか」が同居・同席しているため、こなちゃんに初めて羞恥心が生まれる。年下の虚弱児との同居生活によって、こなちゃんに「見栄」や「矜持」のようなものが芽生えたからである。こなちゃんの数少ない「成長エピソード」である。

第22話「ここにある彼方」

・柊かがみが焼き芋を買い食いしている。それをこなちゃんも回し食いする。間接キッス!
・こなちゃんのお母さんが存命中だった頃の「回想シーン」あり。泣きゲーのCGイラストみたいな場面ばかりである。

第23話「微妙なライン」

・こなちゃん、くしゃみをするとき手を当てないタイプだった。至近距離につかさがいるのに。これは将来嫌われて陰口を言われる。
・こなちゃん、多数のエピソードにおいて「同級生の高良みゆき」に対する萌えを表明している。だが、その多くは高良みゆきが失敗したり恥をかいたりする場面において表面されている。こなちゃんは人の不幸をみて喜ぶタイプの人間なのである。これは将来嫌われて陰口を言われる。

おわりに

 以上のとおり、小ネタはあるが、論考するには小粒なものばかり。小早川ゆたか等の新1年生にまつわるエピソードが増える「第2クール」以降は、ますますこなちゃんネタが減っていく。連載を維持できるほどネタを見いだせなかった。おしまい。