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【469回】「子どもは全て聞いている」〜特別支援学校に赴任する予定の人たちへ・その4(200329)


今回は、「ちょっとその話、子どもの前で話して大丈夫かしらん?」という説教臭い話です。

特別支援学校は多くの職員がいます。1つの学級に2人、3人と職員が配属されます。小・中・高と学部がある特別支援学校であれば、100人ほどの教員が配置されている学校もあります。その中で、実習助手、支援員といった、指導を補佐してくださる職員がいます。


さて、子どもの前で、うわさ話をする同僚がいたりしたらどうしますか。
子どものこと、他の同僚のこと、保護者のこと。

「えっ、それほんと?」
「ほんと、最悪だよね」

「あの学年の、ナントカ君がさあ…」
「ええーっ…」

例えば重い知的障害がある子を担任しているとしましょう。この子は発達段階でいえば、1歳程度。どうせうわさ話をしても、理解はできない。だからこの子の前でどんな話をしても大丈夫。わかってないからね…。

ところで、人間に感情を芽生えるのは、生後何ヶ月くらいの発達が目安と思いますか。
生後6ヶ月には、怖いとか嬉しいといった感情は存在しています。
例えば、生後6ヶ月の赤ちゃんをじっとにらみつけたらどうなるでしょう。恐怖で泣き出します。
つまり、まわりの大人の空気の変化はわかるのではないでしょうか。

ここで自閉症の子どもは空気を読むことが難しいから、違うだろうなんてことを言わないでください。

子どもはわかります。それは計算が理解できる、漢字を読むことができるというような知識の理解ではありません。「この人は、何かいやだ」ということがわかります。「自分を囲んでいる先生たちが、何かヒソヒソ話をして笑ってる。」

目の前の子どもを傷つけることにならないかということを考えてほしいのです。
僕たち指導者の一言。「どうせ、わからないだろう」という思いがあるから、変なうわさ話をする。
それは、子どもを尊重している行動でしょうか。

以下のような感覚でいるとどうでしょうか。
「この言葉は、学校外の大人に言うことができるか」
「この言葉は、保護者に言うことができるか」

気づきます。子どもを他の大人と…つまり同じ人間として、見ているかどうか。
上から目線で見ているのではないか、と。

「いま、そんなことを話す時間ではないですよ」と新人が言えば、同僚と仕事をしていく中で、やりにくさが残る。結果的に、影響は子どもにつながってしまいます。

うわさ話をするような人と仲良くする必要はありませんが、仕事はしていかなければいけない。

ならば、新人であるあなたができる具体的なことは何か。そのようなうわさ話が始まれば、その場を離れること、子どもに集中することだと思います。

子どもは聞いていないようで、聞いています。
話をするとき、話を聞くときは、それがはたして、子どもを傷つけるようなものではないか、子どもに聞こえてもいい話なのか、考えてみてくださいね。