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About "Table Beats"(3/3)

EPISTOPHに所属するビートメーカー Phennel Koliander、Ballhead、dhrmaが牽引する京都発のビートイベント「Table Beats」によるコンピレーションCD「Someone's order」が現在Jazzy Sportから展開し、関西を飛び越え席巻中。

Phennel Koliander、Ballhead、dhrma、Dyelo think、RACK、JohnnyKuroki、 この6人が今回の為に書き下ろした最新ビートを12曲一挙収録コンピリリースを記念して、全3回にわたる記事をEPISTROPH noteで展開!Vol.1では「Table Beats」とは何者か?、Vol.2はそれぞれのメンバーのビートの魅力に迫ってきました。Vol.3ではいよいよ、このコンピに関して深堀り。インタビューに登場するのは、引き続き、Phennel Koliander(P)、Ballhead(B)、dhrma(Ⅾ)の3人。軽~く4000字を超えるインタビューですが、一読の価値ありと、最初にお伝えしておきます。

― コンピの構想はいつからあったんですか?

P:もともとBallheadからCDで次のアルバムを出したいという相談があってんけどEPISTROPHはフィジカルをただ単にCDだけで出すっていうのは控えているタイミングやったからJazzy Sport Kyotoに相談してみようってなって。その時に

「まず手始めにTable Beatsとしてコンピで出したらどう?」

ってアドバイスをもらった。まずはTable Beatsっていう集合体でドーンと見せて、その後個人で出すとかっていうふうにできたらっていう提案を今年の夏ぐらいに。「ほなやりましょかー」ってなってんけど。ただ、それとはまた別に俺がそもそもTable Beatsをやったりコンピを作りたいって思うキッカケがあって。

2019年の4月4日に、俺らがLIVEでよく使う機材“SP404”の通称“404day”で製造メーカーであるRolandがメモリアル映像をリリースしてて。その映像の中でFlying Lotusへのインタビューがあるんやけど、“LAのビートシーンがなんでこんなに盛り上がったのか“っていう話で彼は「みんなで一致団結できたからだよ」って答えててん。それが俺、めちゃくちゃ刺さって。

↑※是非You Tubeの文字起こし機能を使って見てください。

もちろん今、音作ってSound CloudとかBandcampにアップロードして、拡散してって作業を一人でも十分にできるけど、人から人に直に伝わっていく力やったりを今やからこそ感じてるところがあって。自分の信頼する人から直接教えてもらったらやっぱり絶対聴くし、大体良かったりするんよね。信頼している人からもらう情報の質、良さがあるなーって思って。

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同じシーンの中で切磋琢磨するもの同士が共に情報共有しながら発信もサポートする事でいろんな才能が埋もれる事なくリスナーに伝導していけるかなって。それに加え、タイムライン見てて「誰々がリリースしました」ゆうてある種SNS特有の受け身の状態で入ってくる情報よりも、何か良い音源を探して「これ気になるな」って思って自分で動いて自分で買った音源を聴くっていう方が、何倍も聴く意味が増幅するっていう気がしてる。

なのでリリースしたフィジカル目掛けて行動して体感してもらいたいと思ったというか。少しでも多くの人が聴きやすいように、親切に試聴環境を整えたプロモーションも大事という前提も踏まえてるけど、それが飽和しすぎていつでもどこでも簡単に聴けてしまう状態が曲の貴重さとか思い入れを薄めてるなと。「いついつ、どこどこでどうやって買ったアルバムに入ってるあの曲はこういう時に聴いた」。そういう各々の生活の中の一部を経て(音楽は)聴いてる人のモノになる。

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B:フィジカルという形に、俺がなんでこだわっていたかというと、みんなやってないことを今やるべきなんですよ。“ビートチームがフィジカルでだす”それがカウンターカルチャーで、俺らはカウンターカルチャーやってるわけなんで。
P:俺が一番思ってたんは、情報が流れている中に生き、身をもって受けとめるだけじゃなくて、自分から情報をつかみにいく動作をとってほしいってこと。自分でもそうやんか。俺も最近CD買うこともなかってんけど、自分でCDを買ったらやっぱり聴こうってなる。「フィジカル」っていう言葉の通り。自分の体で動いて、行動して、フィジカルで出た音源を聴く。
B:こういう時代やから特に大事やなと思います。
P:来年はもっとそういうのを意識して動きたいなと思ってる。CDを出すっていうことだけが正解とは思わへんし、サブスクの良さっていうのも絶対にある。けど気持ち的には、情報の流れがすさまじい中でこちらに振り向かせるための仕掛けってなんやねん?って。この取り組みはその第一歩目やと思ってます。もちろんこのコンピかてサブスクだけのリリースにもできたけどいいタイミングで「CD作らへんかー」って声をかけてもらえて前述したような心境や考えとタイミングが重なったから「これはやってみよう」って。

―コンピのタイトル“Someone’s Order”の由来を教えてください。

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P:タイトルは僕が考えたんですけど。Table Beats=「テーブルの上でビートを鳴らす」っていう解釈へとひねってるんやけど、これまでもJazzy Sport KyotoからTable Beatsとのコラボのアパレルを何個が出させてもらってて、そこに毎回オマケとして俺らのビートをいれたCDをつけてて。そのタイトルが“Put away the dishes!”(皿を片付けろ!)。それっていうのは「今から俺らがテーブルの上でビートライブやるから、テーブルの上を片付けろ」っていう意味で、要約すると「かますで」ってことやねんけど。

コンピのタイトルもその流れと関連性があるもんにしたくて「Someone’s order」にした。簡単に言ったら“注文”って意味やねんけど、世の中のビート好きのビート欲求=注文に対して俺らが応えていくっていう、せやから「あなたたちが注文したんはこれやろ?」っていう。そういう意味。
B:そういう意味で言えばオーダーに対する期待に応えながら良い意味で裏切れてると思う。

―どういうコンセプトでそれぞれが楽曲を作っているんですか?

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P:まずビートメーカー6人に「2020年、一番やばいって胸張れるビートを5つ送ってきて」ってまさにオーダーして(笑)。みんな気合入れて作ってくれて、最初に受け取った時はちょっとした感動を覚えるくらいやって。

そこから一人あたり2曲ずつを選んでいったんやけど。この記事のVol.2でも話してるように個性豊かなメンツが揃ってるから並べた時にどうなるんやろと思ってんけど、いい具合のまとまりもある中でそれぞれの良さもちゃんと出てるし、1枚のコンピとしてもいい展開があって。
B:普段Table Beatsを聴いている人が聴いたら、結構意外性があると思う。
P:そういう気合の入れ方している人もいます。

―2曲に絞るのって、結構難しくないですか?

P:5曲送ってもらう時に、各自に自分でビートに順位をつけて送ってもらっていて。要は各自の気合いを把握した上でアルバムとしてのバランスを見ながら2曲選んだ感じ。コンペのような側面もある中でのビート提出やったのでやっぱりみんな各自の推しが明確で、しかもそんな中で2020年ベストを叩き出すべく大胆にチャレンジしてくれたビートは自然と耳に残るので採用率は高かった。
B:間違いない。約1名を除いてはみんなが新しいことをしてる(笑)。Kuroちゃんだけは相変わらず…..
D:チャーハン(笑)※詳細はVol.2
P : チャーハン最高。
B:既存のビートアルバムとか今のビートシーンを聴いている人にとっては、逆に耳なじみじゃないサウンドばかりかなと思う。
P:それはある。はっきり言ってそれもメッセージ。「同じ事いつまでやってんの」っていう。
B:とにかくみんなと同じことやってても意味ないんだよっていうことを伝えたい。
P:それは俺らが常々思ってることやから。さっき話したみたいに、俺らが一致団結して提示したいっていうのがある。すごいある。
B:僕的には今回のアルバムは一石投じられるものになると思う。痛快っていうか。
D:うん、痛快。
P:痛快やし、日本のビートシーンは今ここまでいってるんやでっていうのを提示したい。それがあった上でそれでも俺はチャーハン作るんやでみたいなビートメーカーの良さも認識してもらえれば。そういう意味では、体当たり感もあると思う。個人の個性やこだわりがありながらもそれぞれの新しさがちゃんと混在している。

―リリースに際してリリパも開催されました。いかがでしたか?

P : 昨今の事情がある中でピリピリした状況ではあったけど、久々にお客さんを入れてTable Beatsできた事で再確認できたことがたくさんあってよかった。京都も東京もちゃんとTable Beatsを待っててくれてる人がいて我々がやってることが伝わってるのが実感できた、これもオンラインではできないフィジカルならではの体験。目の前で音に反応して踊ってくれたり声を上げてくれてるのを見れることが、こんなにも尊くて素晴らしいことなのだと。


特に初開催の東京はみんな待っててくれたんやなって思ったし、東京サイドの出演者も手応えを感じてくれてて非常に感慨深い一夜になったなと感謝してます。
D : 東京に赴いて、改めて東京のビートシーンの一角も実感できた最高の1日でしたね。今後も引き続きクロスオーバー出来ればと思います。


B : 地方にいると実感しにくいビートミュージックというシーンの熱量に改めて感動した一夜だったなと。今回指揮を取ってくれたFKDと会場の中目黒solfaにnuff respect!まだまだ腕を磨いてまたここでTable Beatsをやりたいなと思いましたね。

―最後に一言お願いします!

P:一致団結でかます!これまでのスタンスはそのままやけど、次は海外。海外にも同志がいるから、2021年はそことリンクをしていきたい。
B:国内に向けての発信もどんどんしていきたいと思う。
D:今の時点でこのコンピがひとつの答えなんで。2020年のオーダーに対して出したものがこのメニューです。(決まった!)

2020年12月中旬に既にリリースされた“Table Beats / Someone’s Order”。2020年の総決算ともいうべき彼らの気合いの1枚はJazzy Sport Kyotoを始め、各店にて絶賛発売中。

▼Jazzy Sport Kyoto online shop 

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Table Beats / Someone’s Order
1. Test Me / Phennel Koliander (3:09)
2. Ready /JohnnyKuroki (1:22)
3. one4caroline /dhrma (3:33)
4. MindScape / Dyelo think (3:57)
5. MiNDBLoWAH / Ballhead (3:31)
6. leave me alone / RACK (3:24)
7. burnt,lie. / dhrma (3:31)
8. Ayo Banger / Phennel Koliander (1:34)
9. Copernicus / Dyelo think (3:37)
10. yeeezus / Ballhead (2:07)
11. Distract / RACK (3:01)
12. Rebuild / JohnnyKuroki (1:57)

/SPEAKER/
Phennel Koliander
Ballhead
dhrma

/SPECIAL THANKS/
Jazzy Sport Kyoto

/EDITER, WRITER/
Momoe Hanatsumi(EPISTROPH)



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