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新型フィット4レビュー

1年ぶり? 2年ぶり? 恐ろしく久し振りとなるカーレビューです。レンタカー回送はコンパクトカー主体であまり面白くないんですが、人気車フィットの新車に乗れたのでレビューしてみます。

峠道から高速道路(80キロ制限の一般道)まで400キロ走ったから、購入時の参考になると思います。


外観

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何はともあれ外観。フィット最大の問題点はこの外観だと思った。ホンダは先代フィットをリリースした際、「僕たちは今後、格好いいデザインのみ作る」と言い切ったんだよ。それがこの釣り目。

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フィットやフリードで大成功し、アコードやヴェゼルにも採用され、そのまま「ホンダのツラ」になっていくかと思ったら、いきなり撤回した。新しいフィットを見たとき、ちょっと、ブサイクだなと思いました。

もちろん美醜の完成はそれぞれなので、これは良い悪いじゃありません。


運転席

まず、その開放感に感動した。

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ぶっといAピラー(天井を支える柱のうち最も先頭にあるものがAピラー)をクソ細くすることで視界を確保してある。

そのままでは衝突安全性能を確保できないから、細いAピラーの手前に太いA'ピラーとでもいうべき柱を持ってきてる。これは太いけれど視界に直接干渉しないため、存在するけど気にならないという、絶妙の位置取りになってて感動した。

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ハンドル

ハンドルのスポークはT字で3本が多いですけど、新フィットは横一文字の2本です。思ったより回しやすかった。

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ハンドルの10時10分部分は出っ張っており、握りやすい。

これ、2通りの握り方があるんだよね。

出っ張りを握るパターン(写真はインプレッサ)

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スポーク接続部分の凹みに親指を置くパターン

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僕は親指を置く派です。

握りがズレないため身体の位置もブレにくく、疲労軽減&走行軌道のブレ軽減につながると思う。


内装

黒をベースにしてあるコンパクトカーらしいプラスチッキーな内装・・・・・・なのだけど。白い加色を施してあるため、欧州車を思い起こさせます。

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エアコンは驚きのマニュアルだった。レンタカー用のベースグレードだからかな。それでも旧フィットはオートエアコンだったはずなのに。

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ただ、これが予想以上に快適でした。日本車ってタッチパネルで高級アピールするじゃないですか。新フィットのマニュアルエアコンは違った。クリック感のある物理ボタンを使用し、指先に動作を伝えてくれる。それでいて風量表示や温度の目盛りはLEDを使用してデジタル感を出してる。

そして見やすい。

デザインとは見た目と実用性のバランスである

そんなドイツ車っぽい設計思想を感じました。

特に感動したのは、エアコン吹き出し口の加色。ツマミの白い部分、普通は黒一色でしょ。これを白くすることで、送風口のフィンは上下どの辺を向いてるのか、直感で、一瞬で把握できるの。

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自分に風を当てたいとき、上手く位置取りできず、上下左右に動かすことの多い肥満気味の僕は、この吹き出し口に大層感動した。すごい。

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「あえてアナログ」を採用したパネル類と異なり、メーター周りは完全デジタルでした。

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数字のフォントが細めで現代風。視認性も高い。画面は情報量を増やしてあるのでごちゃごちゃしてますが、下半分を消すことも可能です。

※走行中は、胸元に固定したスマホと自動シャッターで撮影しています


走行してみて

高速道路

高速・・・ではないけど、国道1号浜名バイパス。

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ここは制限速度80キロの一般道で、太平洋を横目にみんな100キロくらい出します。もちろん信号はありません。たぶん覆面は、いる。

サスペンションは旧フィットやヴィッツよりやや固めかな。ステアリングは遊びに余裕が出て、旧フィットにあったタイトな感じはなくなりました。


一般道

くねくねした一般道で加減速してみる。朝焼けが綺麗。

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で、思ったのは、パワー不足です。エコモードを切っても加速に弱さを感じた。スポーツモードにしても加速そのものは変わらず、エンジンを高回転まで引っ張るだけ。ステアリング、操舵感は悪くないのに、エンジンの音が耳に障った。

これ、スイフトが神なんだよね。排気量はスイフトの方が100cc小さいのに加速が鋭いの。エンジン音の気持ちよさで一気に踏み込んでしまい、しかも高回転域まで気持ちよく吹き上がるもんだから、鋭い加速に感じちゃうのかもしれない。車重の軽さゆえか峠道も圧倒的にスイフトが楽しい。

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ちなみにスイフトは、エコモードどころかアイドリングストップすらありません。信号が青になった瞬間加速できる。世のトレンドをガン無視してるのがメチャクチャ格好いいと思う。


シート

これ、デブにはキツイ。シートベルトの差し込み口が、フトモモに食い込んで痛いの。痩せろ。長時間ドライブとなるので、タオルを折りたたんで、差し込み口とフトモモの間に挟んで緩衝材としていました。

後部座席のヒップポイントは高い。ホンダのこだわりで、シアターレイアウトっていったかな。違ったかな。

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後ろに座る人も景色を楽しめるようにしてるんだよね。

後部座席はフロントより高くしてるから、当然頭上の余裕は少ないです。

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そんなリアシートは、倒すとフラットになります。

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座面が下へ潜り込むため、トランクルームとの間に段差ができない。これも初代フィットからの伝統じゃなかったかな。これ、大きい荷物を積むとき、とんでもない実力を発揮するのよ。

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家族連れなら後ろの席でも景色を楽しめて、ソロユースでも大荷物を便利に積み込める。道具として極限まで研ぎ澄まされた、変態的と言えるほどの使いやすさがあります。


クルーズコントロール(ホンダセンシング)

マニュアルエアコンなのにクルーズコントロール付いてることに驚いた。しかも安いタイプではなく、渋滞時に0キロから追尾してくれる最新型です。

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ホンダのクルコンって性能イマイチだったんですよ。制動が急激すぎて酔うんです。前車に近付くと急にブレーキを掛けて、離れると急加速するイメージ。

また、遅い前車を抜こうとして車線変更する際、ホンダセンシングは問題があった。例えば100キロの高速道路。走行車線の前車はなぜか60キロで走ってる。100キロに設定しても、クルコンは自動でスピードを落として60キロになります。

追い越そうとして、ウインカーを出し、ハンドルを切り、追い越し車線へ出ます。この時、スバルのアイサイトだと、ウインカーとハンドルの組み合わせを感知した瞬間に加速をはじめるため、追い越し車線へ出る時は時速80キロくらいまで一気にスピードアップしています。

ホンダセンシングだと、追い越し車線に出て、前の車がいなくなったのを確認してから加速を開始する。このワンテンポ、5秒ほどのロスは案外致命的で、追い越し車線を100キロ以上で突っ込んでくる後続車は驚いてパッシングしてくるんです。そりゃそうだよね、こっちは(数秒とはいえ)追い越し車線を60キロで走ってるんだから。

旧フィットより大分マシになったけど、まだ加速が遅い。追い越し車線に出てから数秒待たされます。


ただ、車線維持装置、レーンキープアシストは優秀だと感じます。アイサイトはセンターラインをすぐにロストしますけど、ホンダセンシングはしつこく探してくれて、交差点くらいじゃロストしない。かなりの制動力で車道の真ん中を走ってくれました。

頻繁に追い越す人はスバル。前が遅くてもゆったり追尾するならホンダといったところ。

ちなみにスイフトは、高速道路のカーブを壁と誤認識して、東名高速で急ブレーキ掛けやがった。東京方面、都夫良野トンネルを抜けた後にある、下りの連続急カーブね。ご存知の方は分かると思いますが、あんなところで急ブレーキ掛けられたら、一歩間違えたら大事故ですよ。ほんとスイフト。


新型フィットは、買いか

ズバリ、買いです

クルコンは弱点だけど頻繁に利用しないしね。峠道も攻めないですし。極めて欠点の少ない、開発者の執念を感じる優秀な道具でした。

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一般論としてコンパクトカーは、日常の用に供するクルマなので、どうしても面白くないというイメージになりがちじゃないですか。

でも、フィットは〝道具〟として考え抜かれた思想の美しさがあるし、スイフトは何もかも割り切って走りの楽しさへ極振りしてるし、デミオは身体の姿勢がクルマと一体となって気持ちいいし。

さすが、日本の自動車メーカーが考え抜いて生み出したクラスだと思うよ。ハズレなんてあるはずない。各社とも力を入れてるからこそ、意外なほどに個性が出る。

ぜひぜひ、用途を考えてお選びください。

もしも予算的に厳しいなら、FIT3の後期型をオススメします。あれも欠点の無いクルマです。

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