秘教参入者としてのマーラー

2020-07-14のツイート

マーラーは8つの交響曲を通して、あたかもタロットに於ける〈愚者〉が3週間(21日間)掛かる旅、つまり歴史の三重構造を巡っていくような意味で、愚者ならぬ〈巨人〉が1週間と1日(8日間)掛けて一巡する壮大な周回するドラマを音楽で作り上げた。

もっと分かりやすく例えれば、それは死してやがて戻ってくる救世主であり、滅びてまた蘇る高度に洗練された文明そのものでもある。

そしてマーラーの8つの交響曲のそれぞれの番号は、我々の知る歴史的エポックの一つ一つに正確に相当するものである。1週間掛けて隆盛を極めて行き、六日目に宿命の一撃を数度に渡って浴びて滅び、七日目の長い夜の時代を経て、また復活する人類文明史をそのまま反映している。

また一つ一つの交響曲自体も、ここでは詳述しないが、入れ子構造のようにこの宇宙観を反映する仕掛けが潜ませてある。この8つの交響曲で宇宙的サイクリカルな構造を描こうとしたマーラーは真の天才である。

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