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逆にマーケティングにクラファンを使わない理由は何なの?

このnoteは2020年8月31日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:映画『えんとつ町のプペル』公開おめでとうございます。はったまこと さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
「逆にマーケティングにクラファンを使わない理由は何なの?」
というテーマでお話したいと思います。

ほぼメリットしかなくね?

昨日、「映画『えんとつ町のプペル』を全国の子供たちにプレゼントしたい」というクラウドファンディングの第4弾がスタートしました。

内容は、今年12月に公開される映画『えんとつ町のプペル』を観たいと手を挙げてくださった子供施設と、子供施設に映画『えんとつ町のプペル』のムービーチケットをプレゼントしたい方を、クラウドファンディング上でマッチングするプロジェクトです。

マッチングが成立しなかった子供施設に対しては、僕がクラウドファンディング上で仕事をして、そのお仕事の売上を全額ムービーチケットの購入費にあて、マッチングが成立しなかった子供施設の皆様にプレゼントさせていただいております。

つまり、手を挙げてくださった施設には映画『えんとつ町のプペル』を全てプレゼントという、結構めちゃくちゃな企画ですね。

クラウドファンディングに詳しい方は今の説明でわかると思うのですが、クラウドファンディングに触れたことがない人からすると、ちょっと今回のやり方を理解することは難しいと思うんですね。

というのも、クラウドファンディングは一般的に「支援」という形で「リターン(返礼品)」を買ってもらうものですが、今回のクラウドファンディングはちょっと特殊で、そのリターン自体を募集をしているんですね。

「○○小学校の子供たち50人に、映画『えんとつ町のプペル』のムービーチケットをプレゼントできる券」というリターンは運営側が用意したのではなく、○○小学校の代表の方にご用意していただいているんですね。

これは、あまりクラウドファンディングでは見られない形だと思います。

さらには、マッチングが成立しなかった子供施設にプレゼントするムービーチケットの購入代金を稼ぐために、同じクラウドファンディング上のリターンとして、西野が直接、営業をしています。

今回の場合では、「西野本人が『西野絵本』のストーリーの全貌を語る会」というイベントチケットを800円で販売しています。

これって、厳密に言えば、寄付ではなく、ただの「商品の予約販売」じゃないですか。

今回のクラウドファンディングは、このような感じで「マッチングサイト」にもなっていますし、『チケットぴあ』のような役割も果たしていますし、「オンラインショップ」にもなっています。

ちょっと複雑なんですね。

ここの整理がついていない人は、「西野がクラウドファンディングの支援金を使って自腹で寄付したという演出をしている」といったことを思われたりすると思います。

しかし、まず、マッチングは僕の自腹ではないですよね。つまり、映画『えんとつ町のプペル』を観たい○○小学校の子供たちと、その小学校の子供たちにムービーチケットをプレゼントしたい人とのマッチングに関しては、僕の自腹ではありません。

そして、僕個人のイベントチケットの収益は、僕が自腹として子供達に使っているものですが、これは本来、僕の財布に入るお金なので、何に使ってもいいですよね。

「購入型のクラウドファンディング」って支援100%ではないんですよ。
ECサイトとしても使われているのです。

「クラウドファンディングはかくあるべし」みたいなことは、個人ではなく時代が決めるものなので、クラウドファンディングが支援サイトとマッチングサイトとECサイトのハイブリッドになっても、ただの決済手段になっても、それはそれでいいと思っています。

マーケティングにクラファンを使わない理由はなんなの?

タイトルで90%言っていることなのですが、「新商品」を届ける時にクラウドファンディングを使っていない会社って結構あると思うのですが、逆に使わない理由って何があるのかな?というのが、普通に疑問なんですね。

商品を開発して、工場に発注して、500個ぐらい作って、全く売れずに在庫の山ですみたいな事態に陥っている会社ってあるじゃないですか。

それ、博打すぎないですか?

クラウドファンディングで開発段階からお客さんと商品の内容を共有して、リターン(返礼品)として商品の予約販売をしておけば、おおよその需要がつかめるじゃないですか。

それでリターンが2個しか売れなかったら、さすがに500個注文しちゃダメなのはわかるはずで、あまり売れるものではないなということが事前にわかるじゃないですか。

あと、「オールオアナッシング」という形でやれば目標金額に達しなかったときに返金することができるから、頂いた注文をもう一回ばらすということができます。

そういう約束で進めば、全く需要がない商品が世に出る前までに「全く需要がない」ということがわかります。そして、工場に大量に発注する前に、ブレーキを踏むことができるのです。

こんな安全な方法って他になかなかないと思うのですが、何でみんなそこまで博打をやるんだろう?ということを僕は思うんですね。

「自社の販売サイトが充実していて、人の出入りも多いので」ということであれば、まだ分かります。それはそっちでやった方がいいと思うんですね。

そうではなく、宣伝も上手くできず、商品がどれだけ人様に求められているものなのかも分かっておらず、毎回在庫を結構余らせてしまう会社がクラウドファンディングをやらない理由って何なんだろう?と思うんですね。

「アイデアが盗まれる」ということは理由として一つあるかもしれないですね。

ただ、その商品が良いものであれば、遅かれ早かれそのアイデアはどのみち盗まれるので、盗まれても問題がないようにオリジナルの価値をその商品の中に埋め込んでおけよというだけの話だと思うんですね。

それ以外にクラウドファンディングをやらない理由って、「社長がクラウドファンディングのことをよく分かっていないから」ぐらいしかないんじゃないかな。

こんなことを言ったらダメかもしれなけど、そんな社長ダメでしょ。

クラウドファンディングはあくまで手段の一つだから、手段を頭に入れておいて、その手段を取るなら取る、取らないなら取らないで、そこに意図がないといけないはずです。

取らない理由が「よく分からないから」というのは、ちょっとアレじゃないですか。

「スマホのことよく分からないから弊社はスマホは使えません」と言う会社があったとしたら、結構ヤバめの会社じゃないですか。

これは主張ではなく疑問なのでビシッとした結論はないのですが、あまり意固地にならずに、とりあえずやってみたらいいのになと思っております。


というわけで今日は、
「逆にマーケティングにクラファンを使わない理由は何なの?」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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