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地方創生は何故ことごとく失敗するのか?byキンコン西野

このnoteは2020年3月10日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:黒川 然 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日はですね、
地方創生は何故ことごとく失敗するのか?
というテーマでお話したいと思います。

「勝つ」よりも「負けない」こと

「西野亮廣」という名前の「亮」って「りょう」とも読めるのですが、これは、『三国志』に出てきた軍師「諸葛亮孔明」から頂いたものです。

「軍師」とは、戦術を考える人のことです。

「諸葛亮」は、戦術を考えることがすごく得意で、僕の父ちゃんは彼の大ファンでした。

父ちゃんは戦国全般が好きだったので、実家にはそういった本がたくさん並んでいました。

僕自身も、名前の由来もあって「諸葛亮」という人が「この戦の時はどんな方法をとって、この戦の時はどんな方法をとったのか」とか、めちゃくちゃ調べていました。

ちなみに、小学校低学年の時に一番最初にハマったファミコンソフトは『スーパーマリオ』で、その次が『三国志』でした。

小2とかで歴史シミュレーションゲームをやっていたので、そこだけ突然ませたガキでした。

で、諸葛亮のつぎは、時代時代の軍師、その国その国の軍師が気になってきて、それらを片っ端からを調べていきました。ちなみに軍師ではないのですが、僕が一番好きな武将は織田信長です。

それで、いわゆる天才軍師や戦人として名を残している人たちに共通していることは、「勝つ」ということよりも「負けない」ことなんです。

漫画や映画では、鮮やかな勝ち方をしている場面が、派手に描かれたりしていますが、彼らは基本的には、負けないようにしています。

なるべく戦わないこと。

敵は一国ではないので、戦いに勝ったところで、体力が削られていたら別の国から攻め込まれちゃうんですね。

なので、基本、戦は「悪手」としてやっているなぁ、というのが、子供の頃からこれらの軍師や戦人を見たときに一貫して抱いていた印象です。

子供の頃からそれが刷り込まれてきたものですから、よく芸人さんとかタレントさんが口にする「爪痕を残す」みたいなロマンが僕には全然ないんですね。

本当に思ったことがないんです。

「『爪痕残す残さない』の試合に参加した時点で負けだよ」というのが兵法なので、僕が「ひな壇」をすっぱりやめられたのは、子供の頃から兵法書みたいなものばっかり読んでいた影響があると思います。

お金と時間を使って確実に地元を殺す人

さて、「戦」というのは今も姿を変えて脈々と残っているわけですが、

当時で言う所の「兵」、つまり、限りある戦力は、今の僕らにとっては何かというと、「お金」とか「時間」です。

「兵」をどこに何に配置するか、現在の僕らでは、「お金をどこにいくら賭けるか」というところになってくると思います。

そう考えると、お金の使い方ってすごく重要ですね。

戦力の配置の仕方次第では、2000人の兵で2万5000人の軍勢を破ることだってできるし、2万5000人の軍勢を率いていても、2000人の兵に負かされることもあります。

配置の仕方、攻め込むタイミングで、めちゃくちゃ明暗が分かれてしまう。
こことても重要です。

このとき一つ確かなことがあって、それは、10人の兵の動かし方を知らない人は、100人を動かすことはできないし、100人の兵の動かし方を知らない人は、1000人を動かすことはできないということです。

お金もまったく一緒です。

1万円の効果的な使い方を知らない人は、10万円をうまく使えないし、10万円の効果的な使い方を知らない人は、100万円をうまく使えない。

そしてもう一つ確かなことがあって、「使い方」は、使わないと覚えられないということです。

「地方創生」が本質的に失敗しているのは、「国から1000万円の予算を引っ張ってきました。これで地元を盛り上げるぞ!」とか叫んでいる人たちは100万円の使い方すら知らないからです。

50万円の予算で集客を最大化する方法さえ知らないんです。
50万円を使ったことがないし、100万円を使ったことがないんです。

結果どうなるか。1000万円を当てずっぽうで使っちゃう。
戦力の配置及び攻め、このタイミングに根拠がないんです。

「スタバを誘致するぞ」とか言って、田舎の景色を壊して外からのお客さんが来る理由を殺す田舎のおじさんたちが大体これです。

日本の地方に山ほどいる『お金と時間をかけて確実に地元を殺す人』の正体です。

お金を使って集客を最大化する方法を知らないということです。

それをやったことがない人が、いきなり大きいお金を扱っちゃうということです。

学校では、「お金を稼ぐ方法」みたいなことも教えてくれなければ、「お金の使い方」も教えてくれない。

それも問題だと思いますが、重要度でいうと、
「稼ぎ方」よりも「使い方」を学んだ方が絶対にいいと思います。

「使い方」を学ぶことは、限りある戦力を、兵を、人を、守るってことだから。

守れる人にならなきゃダメだし、守れない人が指揮を取っちゃダメなんですよ。

僕の会社の新入社員には、最初に宿題として、イベントを企画させるんです。

正確には、インターン後に新入社員とかになるので、インターンの卒論としてイベントやれと言います。

お前たちが企画しろと。イベントの内容はもちろんのこと、集客も資金繰りも、全部丸投げです。

そこで彼らに伝えるのは、

「お客さんが支払ってくださる1000円の重みと、お客さんが割いてくださる1時間の痛みを徹底的に知れ、お金と時間を使える人間になり、そして最大化させろ」

ということです。

ここが非常に重要なので、新入社員の子たちにはこれをやらせます。

これは、部下や後輩をお持ちの方や、お子さんを育てる方は、絶対にやっておいたほうがいいです。

来るべき日に備えて、「お金と時間を使う訓練」をしておいた方がいいと思います。

自分の周りには、お金持ちみたいな人が少なくないんですね。

起業家も多いし、僕も20年くらいやっていますから、やっぱり、いい大人が多いです。

むちゃくちゃ働いている大人が多いのですが、彼らに共通して言えることは、「お金の使い方が上手い」ということ。そこが非常に長けている。

お金持ちって言われてる人は、シンプルにお金の使い方が上手いです。
稼ぎ方よりは、使い方が上手です。

なので、「お金と時間を使う訓練」。

これは当然、貯金をずっとしていたら、訓練にならないです。
ちゃんとお金と時間を使う訓練は、しておいた方がいいと思います。

というわけで、
地方創生は何故ことごとく失敗するのか?
というテーマでお話させていただきました。

答えはシンプルに言うと、
「お金の使い方を知らない人がお金を使っちゃってる」
ということでございました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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