舞台「えんとつ町のプペルがキラーコンテンツになる理由」byキンコン西野
このnoteは2020年1月22日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供: 倉持 昌弘さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日はですね、
舞台『えんとつ町のプペル』がキラーコンテンツになる理由
というテーマでお話したいと思います。
あの舞台は、ちょっとヤバい!
毎朝voicyで7時に音源を配信してるんですが、今日はもう15時半ですね。
なんという時間に出してるんだって話なんですが、これもシンプルに酔っぱらってたんです。
昨日、舞台『えんとつ町のプペル』を見に行ってきて、そのあと演者さんと打ち上げをして部屋に戻ったら、主演の須賀健太から連絡があって「ちょっと、飲みましょうよ〜」みたいになって。
そこからまた部屋で飲んでウダウダ喋って、遅くまで飲んで東京に戻ってきて今に至ると。
だからこんな時間になってしまったんですけども。
とにかくね、
舞台『えんとつ町のプペル』が神戸で開幕しました。
もう最高でした!本当に素晴らしかった!
ちょっとだけ内容をかいつまんでご説明すると、シルクスクリーンって呼ばれる半透明のスクリーンの使い方が本当に見事で。
半透明のスクリーンなので、スクリーンの向こう側のセットだとか、キャストが透けて見られるんですけど、このスクリーンに絵本の映像だとか、今回の舞台用に作られた映像が投影されるんですね。
本当に、何だろうなぁ。もう絵本の中に役者さんがいるんですよ。もう見事。
舞台見に行ったのに演出が映像頼りになってたら「いやそれだったら、映画でいいじゃん!」ってなるじゃないですか。
でも、そこまでいってなくて、映像のさじ加減が本当に見事で。
『えんとつ町』がそこにあった。
昨日は家族連れも多かったんですが、近くの席に座ってた子どもはずっと興奮していて、ちょっとヤバかったですね。クオリティが。
見どころを言うと山ほどあるんですが、
そのうちの1つに、セット転換があります。
場面が変わるごとにセットが、グゴゴゴゴゴォ〜って動くんですけど、なんかもう、次のセットができ上がるまでの過程とその結果にルービックキューブのような気持ちよさがあって。
ガチャコン!ってできた瞬間に「うぉ〜!!」みたいな。
セット転換も、エンターテイメントとして成り立っていた。
『えんとつ町のプペル』の役者さんって、基本一人3役か4役ぐらいやって
いて、セットの移動も役者さんの仕事だったりするので、1時間半の間、役者さんが舞台袖に降りてる時間がほとんどないんですよ。
1時間半、全力疾走の全員野球。
あれは体力勝負!めちゃくちゃ痩せると思う。
で、最後にカーテンコールで役者さんがずらっと並んだ時のアベンジャーズ感。ヒーロー感。
これ、僕ブログに書いたんですけど、そこが本当にすごくて。
あんだけすごいことを、たったこの人数でやってたの?っていう。
体感は30人か40人がステージ上にいる感じなんですよ。
ご覧になられた方はわかっていただけると思うんですけど、すごいんです。
たった数人であれだけのエンターテイメント作ってたんか!って。
ヒーロー感、ハンパねぇ。
本当によかった!舞台『えんとつ町のプペル』。
神戸公演は、当日引換券みたいなのが出てたりするのかな。
東京公演はたぶんチケット完売してるんですけど、もしかすると劇場のホームページで買えるかもしれない。
チケットぴあとか楽天地チケットではもう全部ソールドアウトになっているのですが、もしかしたら劇場のホームページで売られてるかもしれない。
そこだったらギリ狙えるかもしれないんで、東京公演、ぜひ狙ってみてください。
で、今日は舞台『えんとつ町のプペル』がすごかったっていう話をしたいわけではなくて、舞台『えんとつ町のプペル』がキラーコンテンツになる理由についてですね。
もう結論から言うと、舞台『えんとつ町のプペル』、10年後も20年後も普通に上演されてると思います。まちがいない。
理由は何かというと、やっぱり、映画とかアニメの舞台化ではなくて、
絵本の舞台化だから。
原作が絵本にあるっていうところが、それを可能にしていると思うんです。
エンタメって大きく2種類に分けられると思うんですね。
ファンと一緒に歳をとっていくエンタメか、
ファンが入れ替わるエンタメか。
どっちが優れているという話じゃなくて、ただ、シンプルにエンタメって、2つに分けられるよねっていう話です。
たとえば、漫画って、ファンと一緒に歳をとっていくんですね。
僕ら世代からすると考えられないんですが、今の10代とか20代の子って『スラムダンク』を知らない、読んだことないっていう人、結構いるんです。
連載が終わっていないもので言っても、ゴルゴ13のファン層って緩やかに上がり続けてると思うんですね。
くれぐれも、それがダメだっていう話ではないですよ。
そういうもんだ、ということです。
タレントでいうと分かりやすいかもしれないですね。
20年前に僕のことを応援してくれていたメインの層は、女子中高生なんですけど、やっぱりこれも年齢がどんどん上がってきている。
絵本とかやり始めたから、また次の世代が入ってきてたりはするんですが、
基本的にはファン層が上がってきている。
タレントが歳を重ねるにしたがって、ファン層も歳を重ねていくんです。
で、エンタメは、やっぱり、
ファンと一緒に歳をとっていくエンタメか、
ファンが入れ替わるエンタメか、
の2つに分けられる、と。
で、絵本っていうのは、
僕はこれを、
『ランドセル型のビジネス』って呼んでるんですけど、
『ランドセルビジネス』とかよくそういう言い方してるのですが、
絵本は、子どもがある程度の年齢になったときに、親が子どもに買うのがベースになっていると。
で、これ本当によく言ってるんですが、絵本というものは、子どもの頃に読んでもらって面白かった本を自分の子どもに買い与えるっていうループになっているんです。
だから、数十年前のベストセラーが売れ続けるという特異な現象が起こっている。
事実、Amazonの絵本の売り上げランキングとか見ても、20年前とか30年前に出た本が上位を占めていたりするんですね。
で、この無層モードに入って本あるじゃないですか。
『はらぺこあおむし』とか『ノンタンといっしょ』だとか。
そういう無層モードに入った絵本をいろいろ見てみたんだけど、1時間半程度の舞台ができる作品が見当たらなかったんですよ。
そこに『えんとつ町のプペル』が、すっぽり入った。
客席が老若男女になっていて、物販ブースでお土産として絵本がまた買われていく。
まず間違いなく、10年後も20年後も舞台『えんとつ町のプペル』の客席には、子ども、つまり新規ファンが座っていると思うんですね。
あとは、たぶん劇中で使われる音楽。
『あの歌を生で聴きたい需要』っていうのは残り続けるんで、舞台『えんとつ町のプペル』の次の課題は、ヒットナンバーを作ることだと思います。
それ作ったら、ちょっともう、しばらくは牙城を崩せないと思いますね。
絵本を舞台化するのはエンタメ的な観点から見ても面白いし、ビジネス的な観点から見てもかなり面白い。
いちばん近いモデルだと、ショッピングモールとかでやっている15分程度のアンパンマンショーがそれにあたりますかね。
収益を生みながら次世代のファンも作っているし。
ただ、アンパンマンショーは子どもを持たない大人の層が取れていない。
大人が1人で観に行くステージのつくりになっていないのが唯一の弱点。
でも、あれは成功ですよね。
ビジネス的に見れば完全にキラーコンテンツなんで。
で、舞台『えんとつ町のプペル』は作品のクオリティもさることながら、不死身なビジネスモデルだと思いますっていうのが今日の結論です。
10年後も20年後も、普通に上演されていると思います。
ちょっとこの辺は、注目して見ていてください。
絵本を舞台化したらこれだけ寿命が伸びるんだっていう、すごい面白いケースだと思うので。
舞台『えんとつ町のプペル』を、一度ビジネス的な目で見てください。
というわけで、
舞台『えんとつ町のプペル』がキラーコンテンツになる理由
というテーマでお話させていただきました。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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