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キンコン西野が『映画プペル応募者全員プレゼント』を仕掛けた理由

このnoteは2020年8月25日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:世界を旅するバックパッカー たまがきともき さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「キンコン西野が『映画プペル応募者全員プレゼント』を仕掛けた理由」
というテーマでお話しします。


映画『えんとつ町のプペル』関連のことで昨日の夜から少しバタついております。

まずは、昨日、『ゴミ人間』という酷いタイトルの新連載がスタートしました。

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▼西野亮廣新連載『ゴミ人間』

これは、僕が芸能界から足を洗った25歳のあの日から、今日までの「迫害と実験の日々」を綴ったコラムです。

「えんとつ町のプペルがどうやって生まれて、どうやって届けられたのか?」という建て付けになってはいますが、方法論というよりも、その時に抱えていた「誰にも言えなかった気持ち」を吐露した内容となっております。

人数は多くないかもしれませんが、あの日の僕と同じ目に遭っている人は、今もどこかにいるハズで、そういう人に届けばいいなぁと思いながら書いています。

 
もちろん、この時期に書いているということは映画『えんとつ町のプペル』のプロモーションも兼ねていることは間違いないのですが、「それにしても何故、この方法をとったのか?」という戦略的な部分に関しては、後々、オンラインサロンの方に書かせていただきます。

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そんなこんなで今日の本題です。

すでにお聞き及びの方もいらっしゃるかとは思いますが、映画『えんとつ町のプペル』のムービーチケットを応募者全員にプレゼントすることにしました。

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ムービーチケットというのは、「映画を見れる券」ですね。

要するに、「映画『えんとつ町のプペル』は応募者全員無料」というやつです。

もちろん、いくつか条件はあります。

たとえば「反社の人はダメだよ」とか、これは運営サイドの事情(チケット配送の都合)なのですが、応募は「団体様に限る」とか。

まぁ、言ってしまえば、「一人一人にチケットを送っていたらキリがないので、まとめて送らせてね」です。

このあたりは、応募フォームに書いてあります。

昨日、この応募要項を読んで、「個人はダメですか?」という質問がたくさん届いたのですが、それって、「女性専用の店」のオーナーに、「男性はダメですか?」と訊いているようなもので、そりゃダメだろ。

あと、「友達と二人は団体に入りますかぁ?」という質問なんかもありました。どうか、自分に聞いてみてください。

「行政の人」って、こういうハードな質問が毎日山ほど届くんだろうなぁということを痛感しました。

一つ。

行政が仕掛けているキャンペーンと圧倒的に違うのは、今回のキャンペーンは税金でまかなっているわけでも何でもなくて、僕の自腹だということ。

1万人の応募がきたら、「チケット代×1万人=1800万円」ぐらいを僕が自腹で払うことになって、応募が10万人来ちったら、僕は自腹で1億8000万円を払うことになる。


僕が毎日20時間ぐらい働いて稼いだお金でプレゼントさせていただくので、応募要項を破っている面倒な応募に関しては僕の独断でバンバン無視させていただきます。ちゃんと、優しい人に届けたいです。
#これに関しては異論は無いよね

応募方法に関するお話はこのへんにして、今日は、このキャンペーンに懸けた想いについて、お話しさせてください。

もちろん「一人でも多くの人に映画を届けたい」という下心があることは認めます。

ただ、理由がそれだけだと、届ける方法はもっと他にもあったハズで……結論から言うと、『デタラメなことをしたくなっちゃった』です。

今はテレビをつけても、SNSのタイムラインも見ても、右も左も風紀委員だらけです。

正論で制裁行為を行うと「ドーパミン」という快楽物質が出るそうです。
なので、皆、正論中毒になっちゃって、不必要に人を叩く。

タレントが不倫をした時に、「許さない」とか言っちゃう人いるじゃないですか?

「お前の人生に一ミリも関係ねえよ」という話なのですが、その人は、正論で他人を制裁することで発生する快楽物質以上の快楽を持ち合わせていないから、不毛な正義に溺れる。

そこに時間を費やして、より不幸になり、より「正論で他人を制裁することで発生する快楽物質」に頼る人生になってしまう。
残念ながら【薬物中毒者】とさして変わらない人生です。


ついには芸人までもが、正論で他人を制裁し始める始末で、芸人が世界を息苦しくしてどうするんだ。

芸人が他人の色恋に口を挟み出すなんて世も末だなぁと思うわけですが、僕は時々、「こんな息苦しい世界が始まったのは、いつだっけなぁ」と考えます。

少し心当たりがあるのは、1999年です。

インターネットが普及し始めて、答え合わせが容易にできるようになったおかげで、正論中毒者が生まれやすくなりました。
これは一つ大きな出来事だったと思います。

忘れもしません。
「1999年」は世界の終末を予言した『ノストラダムスの大予言』というものがあって、「もしかしたら世界が終わるかも」と思っていた人が本当にいたんです。

その予言には「空からアンゴルモアの大王が降ってきて」的なことが書かれていて、「これは宇宙人襲来のことだ」とか「巨大隕石のことだ」とか、皆、各々銘々、予想していました。


その少し前は、テレビのゴールデンタイムで、UFO特番とか心霊特番がバンバン放送されていて、僕、その夜とか怖くて眠れなかったんです。
「宇宙人が誘拐しに来るかもしれない」って本当に思ってた(笑)。

テレビの中の、お笑い芸人さん達は、昨日、遊んだお姉ちゃん達との恥ずかしいエピソードを明け透けに喋っていて、それも「バカ野郎」で済まされていた。


あの頃、世界は間違いだらけだったし、デタラメだらけだった。

僕は、まともに勉強ができない子供だったから、そんなものに随分救われたんですね。

「ああ、こんなにダメでも、チャーミングさがあれば生きていけるんだ」とか、

「頑張って有名になったら、大人になってもこんなデタラメな挑戦が許されるんだ」とか。

そういったことに救われ、夢を見ました。

「人を裁くのは、あくまで「法」である」というラインを守らないと、皆、もう身動きがとれなくなってしまいます。
僕は、そんなものを「未来」とは呼びたくないし、そんな世界を子供達に渡したくありません。

 
今回のアクションは、そういったものに対する僕なりの反抗で、これを見て、「頑張ったら、あんなデタラメなことができるんだ」と子供達に思ってもらえたら、子供の頃の僕に胸を張れます。

世界が、今よりも、もう少しだけバカになればいいなぁと思いながら、今日も頑張っています。


「映画『えんとつ町のプペル』の応募者全員プレゼント」が、どう転ぶかはわかりませんが、どう転んでも面白くしてみせます。

応援よろしくお願いします。


【追伸】
『映画プペル 応募者全員プレゼントキャンペーン(自腹!)』は、昨日一晩で1800万円が飛びました。。#完全に死んだ

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※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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