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『お金』はどこから生まれたのか?

このnoteは2019年10月3日のvoicyの内容を文字起こししたものです。

おはようございます。キングコングの西野亮廣です。
芸人をやったり、絵本作家をやったり、
国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今朝は、「『お金』はどこから生まれたのか?」というテーマでお話したいと思います。

この番組は、オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の提供でお送りします。

『知らない』を作っちゃダメ

今日は、「『お金』はどこから生まれたのか?」というテーマなんですけども、そうだな・・

日本ってなんとなくいま、あんまり具合がよろしくないイメージがありますね。

ちょっとこう貧乏で、ちょっと苦戦しているイメージがありますよね、金銭面で。

で、これ政治家さんだけが悪いのかっていうと、そんなことはなくて、全員の責任で。

まず、これはもうセカオワも言っていたし、
僕のお友達のけんすうさんも言っていたんですけど、

まず大前提として、僕達人間が知らないものを嫌う傾向にあるという。『知らない』っていうことと『嫌い』っていう感情が、すごく近い位置にあって。

変なことを言いますけど、よくよく分解していくとですね、「僕たちは嫌いなものを嫌っていることはあんまりなくて、知らないことを嫌っているケースがほとんどである」と。

例えばそうだな、
「オンラインサロンよくわからない、怪しい。宗教でしょ、搾取でしょ、嫌い。」みたいな。

7、8年前で言うところの
「クラウドファンディング?怪しい、何それ聞いたことない。詐欺でしょ、宗教でしょ、嫌い。」みたいな。

内容をよく知らずに、とにかく知らないものを嫌っているケースが結構ある。

それでいうとですね、
僕たち日本人っていうのは、学校でお金の教育を受けてこなかったから、
お金のことを非常に嫌っているっていうことですね。

「お金をたくさん持っているやつは、なんかよくわかんないけど悪いやつに違いない」みたいな。

変な国ですよね。
たくさん稼いで、たくさん税金を納めたら、たくさん嫌われてしまうっていう。変な病気に掛かっちゃっている国なんですけど。

なので、まず根本は、もう1回金銭面で国を立て直そうと思ったら、まずは全員がちゃんとお金のことを知らなきゃいけない。

で、これは学校では教えてくれないので。
学校で教えてくれないってことがもう分かっているんだから、
僕たち一人ひとりが、ちゃんと自分からその情報を取りに行かなきゃいけないということですね。

これは子供だけじゃなくて、お父さんお母さんもですね。
ちゃんと情報を取りに行って、自分の子供たちに教えてあげなきゃいけない。

まずこれが大前提ですね。
今日お話しようと思った理由は、ここにあります。

『物々交換』からの終焉

では早速、本題の「『お金』はどこから生まれたのか?」。
本当はね、こんなこと小学校で教えてあげろよっていう話なんですけど、
学校で教えてくれないので、僕がだいぶ間をかいつまんでお話したいと思います。

まず、諸説ありますが、いわゆる一般的によく言われてるのは、
もともとお金なんて存在しなくて、元々人間は物々交換してましたよね。
魚を取った人と山で肉を取った人が「ちょっと交換しようぜ」みたいな。
だけど、これはちょっと問題があったんですよ。
魚を取った魚屋さんが山に魚を持って行くまでに、魚が腐っちゃうんですね。
腐らなかったとしても「持ってきましたよ!」って言っても、
肉屋さんが「いや、俺今は魚いらねえんだよな」って。「今わらじが欲しいんだよ」って。

ここで、物々交換があんまりうまく回らなかったんですね。

それで、どうしようかなってなった時に、
「じゃあ一旦、みんなが持っている魚とか肉とかわらじとかを
別の腐らないものに置き換えよう」っていうことで、

「1回貝に置き換えてみない?」って。

つまり、「魚1匹が貝5個分です」とか、「肉1個が貝7個分です」とか。
「わらじが貝4個分です」みたいな感じで、
1回、何か腐らないものに、そして持ち運びができるものに
置き換えてしまおうみたいなことで。
1回、何か別のものに置き換えたんですね。
貝だったり、まあ日本の場合だったら稲かな?
持ち運びができるものに置き換えたんですね。
この瞬間に、お金っぽいものがまず誕生した。

でね、ここはやっぱり漢字の名残がやっぱあって、
よく言われてますけど、「買う」とか「貯める」とか「財」っていう字とか、
全部「貝」っていう字が入ってますよね。
もともとそれだったからって言いますよね。
それで「稲」っていうのもね、当時は「ネ」て言われてましたから。
だからこれが変わって変わって、値段とかの「値」。
「値(あたい)」っていう字にやっぱり今残っているっていう。

そうなった訳ですね。

とかく1回物々交換から、何か持ち運びできて腐らないものに置き換えようっていうことでですね。
この瞬間に、お金っぽいものはまず生まれました、と。

でも、これちょっと問題があったんですよね。

貝って何かその辺に落ちてんじゃん。
で、稲は腐らないっていっても、ちょっと腐っちゃうぞ。
貝はちょっと割れちゃうぞ、みたいな。

結構、問題があったんですよね。

稲も結構量獲れちゃうしし、貝もその辺に落ちているから結構量取れちゃうし。
貝を集めたら、もう肉でも魚でも何でも買えんじゃん、となっちゃうから
これはあんまりよろしくないということで。
じゃあ傷まずに、腐らずに、そして数が少ないものにしよう、と。
貝とかじゃなくて、稲とかじゃなくて、
もうちょっと地球的に、数が少ないものにしようということで。
その辺に落ちてないものを交換のアイテムしようっていうことで、
ここで金銀銅みたいなのが出てきた。

銀とか銅とかはちょっと時間がたったらどんどん汚れて行くけど、でも、金は全然汚れないから。

「やっぱ、金だよね。」みたいな。

じゃあもう金を持っていたらあらゆるものと交換できるようにしようということで、
結構ここらへんからもう『お金』ですよね。
通貨とかコインになっていきましたよね。

でもここでもまた問題があったんです。
金、重いんですよ。

東京から大阪に運ぶ時に、大阪で結構でかい家を買いたいなってなった時に、金めっちゃ持っていかなきゃいけないじゃないですか。

重いんですよ。
で、目立つっていう。
やばくない?

大阪で家買うためにさ、東京から大量の金を運んでたらさ、もう山賊に狙われんじゃん。金重いし、ポケットに入れてもパンパンになるから目立つんですよね。

で、これは困ったなってことになる訳です。

お金は『共同幻想』

ここで、「金は重いし、目立つし、ちょっとリスク高いなあ」って
みんなが思っていたところに、面白い人が現れるんですね。

「いや、うちで金預かりますよ」っていう『両替おじさん』みたいなのが。この両替おじさんの名前は国によって違うから、『両替おじさん』とだけして下さい。

とにかく、金を預かりますよっていう、
ええ感じの金庫か何か持ってたんだと思います、頑丈な。
この両替おじさんが「金を預かりますよ」って言い出した訳ですね。

つまり、「100ゴールドをうちで預かります」と。
その代わりに100ゴールドを預かった時に、100ゴールドの預かり証をお渡しします、と。
この預かり証をまた家に持ってきてくれたら
いつでも金をお返ししますので、お渡ししますのでみたいな。
この『預かり証』みたいなのを、両替おじさんが撒き出す訳ですよね。
確かにそれでみんな助かるんですよ。

預かり証はもう紙ペラですから、100ゴールドの預かり証さえ持っていれば、1000ゴールドの預かり証さえ持っていれば、

その両替おじさんのところに行って、
じゃあその「100ゴールドください」とか「1,000ゴールドください」とか
言えてしまうので。
みんなこの預かり証を配ってくれる両替おじさんにですね、
金をバンバンバンバン預けた訳ですね。

代わりに預かり証を貰ったと。
で、この両替おじさんから貰った100ゴールドの預かり証でですね。
例えば、焼きそば屋さんとか行って焼きそば買うんですよ。
焼きそば屋の店主に言うんです。
「この預かり証をあの両替おじさんのところに持って行ったら、100ゴールドをもらえるから」って。
それでもう預かり証で焼きそばを買うんですね。
焼きそば屋の店主も、「ああ、そうかそうか」みたいなことで
預かり証を受け取って、焼きそばを提供すると。
そして焼きそば屋は次に、この100ゴールドの預かり証を
両替おじさんところに持っていかなきゃいけないですけども、

「でも、ちょっと待てよ」と。
家も、商店街の連中も全員、
この100ゴールドの預かり証は、両替おじさんのところに持っていったら100ゴールドと換えてくれる、ということはもう知っていると。
わざわざ両替おじさんのところに持っていかなくても、
「この100ゴールドの預かり証でかき氷買っちゃえばいいじゃん」みたいな。
「この100ゴールドの預かり証で自転車買っちゃおうぜ」みたいなことになった訳ですね。
つまり、もう両替っていう段取りをちょっと省いて、
預かり証でまた次の何かを買って、そこで受け取った預かり証でまた次の何かを買って、みたいな。

預かり証だけで、ぐるぐるぐるぐるぐるぐる回り出したんですね。

もう金と両替なんかもうしてないんですよ。

預かり証っていうこの紙ペラ1枚だけで、モノが買えるようになっちゃった。

これが紙幣の誕生ですね。

つまり、お金っていうのは「100ゴールドの預かり証には100ゴールドの価値がある」ってみんなが信じたから、そこに価値が発生したということですね。

当然、これはただの紙切れですから、ここには何の価値もないと。
「これただの紙切れじゃん」って言われてしまったら、価値がなくなるということですね。
皆さんが持っている、千円札とか、一万円札とかも。

これも日本だから使えますけど、アマゾンの奥地に行って、何とか部族のところ行って、
「じゃあこのバナナ1000円で売ってください」って言っても、買えないじゃないですか。
なぜならその部族の人は、この千円札に千円の価値があるって信じていないからですね。

つまり、お金っていうのは、みんながそこに価値があるって信じているから価値が発生している。

これ『共同幻想』なんですね。
みんなが信じているから。

ここですね、まずここを押さえておかないと、
「あ、お金ってそういうものなんだ。」と。
なんか「信じてるから」っていうと、すごく神様みたいな感じですよね。
でもそんなもんなんですよ、やっぱり。

お金ってそういうもので、そういう性質があるんですよっていうのと、
そういう歴史があったんですよっていうことは、まず知っておいた方がいいです。
これを押さえておかないと、
この先々で出てくる色んなお金にまつわるサービスっていうのが、
ちょっと理解を追い付かなくなってしまうので。
まず大前提としては、

お金っていうのはこういう歴史があって、
お金っていうのはみんながそこに価値を信じているから価値が発生していますよっていう。
こういうことですね。

まとめ

まとめますね。
このお金誕生の歴史を振り返るとですね、
まずはお金に必要だった機能っていうのは『尺度』であるということですね。

つまり、魚5匹が貝5個分だったとか。
貝7個分で肉が買えますよっていう。
お金には『尺度』としての機能が必要であったと。

そして、やっぱり『交換』ができなきゃいけなかった。
魚や肉やわらじと交換ができなきゃいけなかった。

そして、持ち運びができなきゃいけなかった。
さらには、腐っちゃダメだった。
もうひとつ言うと、数が増えすぎちゃダメだった。

この5つくらいの条件が整って、
ようやく僕たちはその交換するアイテムを『お金』として信じることができたんですね。

この時に、お金が誕生した。

こういう歴史があったよということですね。

で、もしみなさんにお子さんがいらっしゃるんだったら、
こういった話は、なるべくお子さんが小さいうちから教えておかないと、
たぶん大人になった時に、たぶん苦労すると思うので。

結構こういう話っていうのは、恐れずにですね、
カジュアルにしていった方がいいと思います。

どうしてもね、
この国だとお金の話をするとなんか「銭ゲバかよ」とか、
なんかこう汚い人みたいに扱われるんだけども、

生きていく上でとってもとっても大切なアイテムだから、
そのアイテムの歴史のことだとか、その背景ですね。

それは知っておいた方がいいと思います。

まずは、こっからですね。

国を盛り上げようとか、明るい未来を作ろうと思ったら
まずはこういうところからひとつずつひとつずつ勉強していった方がいいと思います。

少し長くなってしまいましたが、本日はこの辺で終わりたいと思います。
今朝は、「『お金』はどこから生まれたのか?」というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。
西野亮廣でした。

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