20191001_芸人とは何か

『芸人』とは何か? byキングコング西野

このnoteは2019年10月1日のvoicyの内容を文字起こししたものです。

どうもこんばんは。
キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をやったり、絵本作家をやったり、
オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今夜は、「『芸人』とは何か?」というテーマについてお話ししたいと思います。

この番組はオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の提供でお送りします。

さて、
「『芸人』とは何か?」っていう結構広いテーマになるんですけど、ここはきちんと整理しておいた方がいいだろうなと思ったので、今夜はこのことについてお話ししたいんです。

まず自分は何でこの世界に入ったかって言うとですね。

小学校2年生の時にテレビでお笑い芸人さんを見て
あ、こういう世界があるんだなと思ってですね、
自分もこういう人たちになりたいなと思ってですね、

そっから本当に寄り道せずにですね、
そのまま吉本興業の門を叩いたんですけど

小学校二年生の時からですね、今も変わらずですね、
目標は、1番の芸人さんになるっていうね。

これは、全然ぶれてなくて、
ずっとそうなんですね。

とにかく1番の芸人さんになる。

世界で1番の芸人さんになるっていうのは本当に今も変わらず、
その夢を追い続けているんですけど。

そんな中ね、
つい数年前までですかね?

例えば、ひな壇に出ないっていうことを選んだ時とか、
絵本作家になるっていうことを決めた時とか、

批判が凄くて、
同業者からの批判も勿論ありましたし、
同業者の方は当然メディアで活動している人たちですから、
その声に賛同した国民の皆様からの批判も結構あってですね。

何かって言うと、
「芸人だったらひな壇に出ろよ」っていう批判で、
本当にもう本当に大きかったですね。

同業者の方だとか先輩方だとか国民の皆様は、
「芸人だったらひな壇に出ろよ」って言っていたし。

でも僕は僕で、
「芸人だから出ない」っていう風に決めていて。

お互い『芸人』ってワードを使っているのに
「芸人だからひな壇に出ない」っていう人と
「芸人やったらひな壇に出ろよ」という人で
お互い同じ言葉使ってるのに、
ずれてるじゃないですか、着地が。

つまり『芸人』っていう言葉の定義に
そもそもずれがある。

同業者の方とか先輩方だとか国民の皆様が
指している『芸人』っていう言葉の意味っていうのは、
恐らく職業名として捉えていて。

芸人っていうのはひな壇に出る人のことで、
グルメ番組やロケレポートする人のことで、
大喜利をする人のことで漫才をする人のことで、
キングオブコントに出る人のことでっていう、

『職業名』として捉えている。

つまり消防士さんとかお医者さんだとか、
プロ野球選手、お笑い芸人みたいな感じで。

一方で自分はじゃあ、
『芸人』ってどういう意味として使っているかと言うとですね。

僕の言う『芸人』というのはそういうことではなくてですね、

例えばいいところの大学出て、
もう一流企業に入れるって決まっているのにも関わらず、
吉本に行っちゃうやつだとか。

あと2、3年働けば定年で退職金も出るって、
言ってるのにもう我慢できずに、
沖縄で喫茶店をやるって言っちゃうやつだとか。

そういったみんなが右って言ってる時に反対方向に行っちゃうやつで、
こういう選択肢もあるよっていう、
そういう人たちが取っている『姿勢』の名前を『芸人』っていう。

つまり、
音楽で言うところの『ロック』っていう言葉に、
極めて使い方が近いと思うけど、

別にエレキギターを弾いてたからと言って、
ロックっていうわけではなくて、
ピアノを引いてフォークギターがあいつロックだねっていう言い方をすると思うんですけど、

それっていうのは、
奏でてる楽器ではなくてどっちかって姿勢ですよね。

生きざまとか、
そういう人の生きざまの名称、
姿勢の名称をロックっていう風に、
音楽の場合は使っていると思うんですけど。

やっぱり自分もそうで、『芸人』でありたいってのは
決めているんですけど、
それが、『生きざま』の名称なので。

僕の中ではですね・・

みんながひな壇に出て、
ひな壇でご飯食えるっていうモデルはなんとなく確立された。
「じゃもうそれ分かったから、ひな壇1回出なかったらどうなるんだろ?」って、そこに張る人の『姿勢』の名前を、『芸人』って呼んでるんですね。

つまり僕はこれまで一度たりとも芸人じゃなかったことはなくてですね。
そこの線は崩してないですね。

とにかく、
選択肢が自分のところに2つ3つ来たときはどれを選ぶのが一番芸人なのか?

っていう。
姿勢としてのね。

絶対その判断なので。

僕の中で、
「ひな壇に出る」っていうことと
「ひな壇に出ずに単体で乗り出す」っていうのは
どっちの方が芸人かな?と思ったとき、

やっぱ「ひな壇にでない」っていう方だったので。
自分の中ではね。
1回それをやってみたっていう。

常にそうですね。

芸人であるか否かが、僕のやるやらないの判断基準で。

そんなことでずっと世間との乖離(かいり)がずっとあったんですけど、
「あいつ何で芸人のくせに絵本書いてんだ」とか、
ずっとあったんですけど、

最近あんまり言われなくなってきたのは何かって言うと、

もう世間もいよいよ、
『芸人』っていうものが、前までは職業名だったんだけれども、
「姿勢として芸人やってる人の方が芸人っぽくね?」
っていうのをなんとなく嗅ぎ取り始めたなっていうのが最近あって。

つまりですね。

最近だとカジサックとかオリラジのあっちゃんとか、
前までだったらああいうことをすると、

「芸人のくせにユーチューブやりやがって」みたいな。
「芸人のくせに教育系のユーチューバーになりやがって」みたいな、
結構言われていたと思うんですけど。

もう世間がその人たちを受け入れてしまったから、
そんなことは言われなくなってしまって。

「前までの『職業芸人』よりも『姿勢芸人』の方が最近勢い増してきてない?」

っていうのは、
なんとなくみんなが嗅ぎ取ってるなっていう。

これ面白い時代の流れだなと思って。
ここからしばらくその時代が続くと思います。

つまり生きざま。芸人やってる人。

これ分かりやすくて。

やっぱり、
すごいスピードで需要が変わってくるから、
すごいスピードで仕事が無くなっていくから、
当然職業として芸人をやってしまうとですね、
くいっぱぐれちゃうということですね。

常にもう職業なんか別に肩書きなんか、
今日変えますよ。明日変えますよ。

というように、肩書きを軽やかに変更できるようにしておくためには、
やっぱり姿勢として僕は芸人であります。

って言い切ってる人の方が
時代に対応できているので、
ここからしばらくその時代が来るだろうなと

前まではもうずっとこう迫害を受けていた生き物だったんですけど、
ここからはその時代が来るなって何となく思いますね。

じゃあそれを踏まえて、
次自分はどうやって動くかっていうところやっぱり考えるんですけど。

僕は小学校2年生のあの日から死ぬまで
とにかく芸人しかしない。

それだけは1回もぶれてないですね。

どっかで伝わればいいなと思いながら、
こんな話をさせていただきました。

『芸人』とは何か?

僕の結論はですね、
『姿勢』です。

そこだけはやっぱり貫きたいなと思いました。

お付き合い頂きまして、どうもありがとうございました。
それでは素敵な夜をお過ごしください。

西野亮廣でした。

※キングコング西野亮廣が毎朝、最新エンタメビジネスに関するコラムを配信しています↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?