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キンコン西野だって、もがいている

このnoteは2019年12月4日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:わたなべこうへい さん

おはようございます。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

終わらない旅

いま、スリランカのホテルにいて、ずっとホテルにこもってるんですね。

ホテルにこもっているわ、滞在中ずっと日本食食べてるわ、
それだったら日本でいいじゃないかって感じになっているんですが、
ちょっとわけあってスリランカにいます。

ひとつはね、オンラインサロンの新しいプロジェクトの準備できたんですが、
それはもう初日におわってですね、
あと3日、4日くらいは、なんのあてもなくスリランカのホテルに滞在している、と。

なんでこんなことをしているか、という話なんですけど、
仕事のサイズをアップするためにはスペースが必要なんです。

なぜなら、能力があがっていってるから、
あがった能力に応じた仕事が入ってくるかもしれなのにスケジュールが埋まっていたら、
仕事が入ってくる隙がなくなる。せっかく能力があがってるのに。

だいたい仕事のスケールがとまってしまうのは、スケジュールを埋めてしまうことにある。
スペースをあけるのをこわがるってことですね。

これはどうなのかな?って思うところがあったので、個人的にはスペースを空けるようにしています。

でね、僕がふだんやっているお仕事は何かと言うと、
まずオンラインサロンの記事を毎朝アップする。これは絶対ですね。
しかも、自分のフルスイングをここでだす。
どの仕事よりもいちばん精度が高くて、いちばん鋭いものを毎朝投げる。
これは決めているんですね。

あと、ブログの記事を毎朝書く。

で、voicyも毎朝する。
時間に余裕があったら、1日2回、3回するときもたまにあります。

ほかに自分のメインとなるお仕事、制作物のコアとなる部分は全部やっています。
いまだったら、絵本2冊と、舞台2本と、映画1本を同時進行で進めております。
これは、脚本から何からすべてですね。
コアとなる部分なので僕が舵を握ってやってます。

一方で、Webサービスをちょこちょこ作ったりするんですが、その運営は丸投げしてる。
スナックとか。渋谷でグッズショップつくるけど、その商品開発とか。
けっこう丸投げしてるんですね。考えてみると。

このvoicyの音源をYouTubeにアップする作業は、うちのインターンの小田っちがやってくれてる。
YouTubeの売上なんていらないんですよ。『株式会社NISHINO』の慈善事業で使ってって話なんで。僕は1円もいらないんですね。

知りたいのは、既存の音源をアップするチャンネルはどこまで伸びるのか?
っていうデータですね。

YouTubeチャンネルは僕らはやっているので。『毎週キングコング』で。
毎週アップすると30万回くらい再生されるっていうのはわかっているから、数字がわかったらどうだっていいんですよ。

こんど知りたいのは、既存の音源をアップするチャンネルがどこまで伸びるのか?っていう。
『西野亮廣エンタメ研究所』ってチャンネルでやっているのはその実験ですね。

お仕事って、けっこう丸投げしてるんですね。
いろいろあるんですよ。細かいこと言うと。
VRのクオリティチェックだとか。権利関係だとか。

これらを自分でやるのは簡単なことなんですが、そんなことしたって仕方がない、と。

結論ですね、オファーで仕事を埋めるのは簡単なんですよ。
シンプルにきたオファーをぜんぶ受けてればいいので。
けど、それで「あー忙しー」とか言ってても仕方がない。

一方で、ゼロから価値をうんでそれなりに形にするのって大変なんですね。
なぜなら、成果が出ない時間が長いからです。
これは、精神的にかなり苦しいものである。
手作業より農作業のほうが、個人的には農作業のほうが大変であるってことですね。

でもね、これもともとやってたんです。
デビュー当時なんて何者でもないところからはじまって、特技とよべるようなものを命がけでたぐり寄せて、どうにか世に出た。
いちどたぐり寄せてしまうと、これをどうやって2次利用するかって考える。

2次利用っていうのは、
じゃあ、漫才できるようになりました。その話術をつかってバラエティ出てください。とか。

この2次利用、3次利用っていうのは、使われることわかってるから気持ちいいんですね。
ちやほやされるし。生活も豊かになるかもしれない。

だけど、それを続けていってどうなんだ?って思うところがあったので、
「やっぱスペース空けなきゃ話になんねぇな〜」ってことで、スリランカにきてみました。

用事もすんだので、あと3日間はとくにやることもない。
さっきから海見ながらボケーっとしてるんですよ。

で、ちょっと自分の人生を振り返ってみたんです。

さっきも言いましたが、何者でもなかったから、19歳のときに漫才をつくりはじめたんですね。漫才つくらないとはじまらないから。

漫才作って、賞とかいっぱいもらって、それで評価されてテレビによばれて、つぎは話術をもって横展開していった、と。

でも、25歳のときに「どうなんだろうな〜」と思ってテレビの仕事をやめてみました。
じゃあ、また何者でもなくなってしまって、つぎは絵本をつくりはじめたんですね。
絵本つくらないと何もはじまらないから。

だって、僕テレビやめちゃったんで。
プー太郎になっちゃったんで。

それで、なんかつくらなきゃ!と思って、絵本つくりはじめて。
だって作んないと、つぎの人生がはじまらないからね。
で、いまもそういったことをしている、と。

できるような仕事はぜんぶスタッフにあげちゃって、僕はなんか作らないと価値がない
っていうところに身を投じてみました。

でね、新しい役目をつくらないと苦しいから、新しい役目をつくろうとしてきた。ずっと。
逆に言うと、新しい役目を作らなくても苦しくならないのであれば、新しい役目を作ろうとしなかった。

23、24歳くらのオファーをずっと受けてるときに、いまみたいな温度で、いまみたいなスピードでものを作っていたら、どうだったんだろう。

そのころ、作ってないんですね。
オファーをこなすことで、こたえることで満足してたんですよ。
役目があるから死なないって安心しちゃってるんです。

つまるところ僕は、
自分の意思で作り始めたことなんてほとんどなくて、いつも環境によって作らされている。意識が弱いんだと思うんだけど。

そう考えると、
作らなかったら何者でもない、という環境に身を投げ続けなきゃいけない。
あまりうらやましい人生じゃないかもしれないね。

バガボンドで言うところの
「戦いの螺旋」ってやつですね。
いつまで経ってもおわらない。

結論、たいへんだな〜と思うんですけど、
やっぱり、いまスリランカにきて「あと3日あるな〜」と思ったときに
ようやく「なにか作るか」って思ってるんですよね。

ここまでいろんなものを奪われて、いろんなものを無くして、ようやく作るかってなってるので。
やっぱこの環境はいるんだなって思いました。

とりあえずいまからプールにいってきます。

なんかおもしろいことを思いつくまでは苦しいから。
思いつくといいな。

この話があなたの人生のなにに寄り添えるかわかりませんが、
僕ももがきながら生きています。

おたがいがんばりましょう。
西野亮廣でした。


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