テレビは何故、時代から遅れをとるのか?byキンコン西野
このnoteは2020年1月7日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:櫻田 純 さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日はですね、
テレビは何故、時代から遅れをとるのか?
というテーマでお話したいと思います。
「高齢者メディア」となったテレビ
以前、相方の梶原くんのYouTubeチャンネルにでたときに、梶原くんから「西野でも未来を読み違えることあるの?」って聞かれたんですが、そんなことはけっこうあります。
「時代はものすごいスピードで変わったのにテレビは変わらなかった」って言ったんですね。テレビは時代と伴走するものだと思っていたら、時代は未来に向かって、テレビは伝統芸能のほうに向かった。
くれぐれも言っておきたいのは、伝統芸能を揶揄しているわけではない。
僕は文化、歴史オタクなので、熟成されたものには目がなくて。
自然も好きだし、伝統工芸、落語もむちゃくちゃ好き。
テレビが伝統芸能のほうに向かうっていうのは、それはそれでありだと思っています。実際それによってたくさんの人を楽しませていることは間違いないので。
伝統芸能のほうに向かうのをアウトだって言ってるわけではない。
ここでは、テレビがなぜ伝統芸能のほうに向かったのか?って話をしたいんです。
おそらく、テレビ的にはね、伝統芸能をしたいと思ってなかったはずなんですよ。
なので、もうちょっと的を絞ると、テレビが伝統芸能のほうに向かわざるを得なかった背景には何があったのか?って話をしたいと思います。
テレビが時代から遅れをとった最大の理由は、説明するまでもなく、人口ピラミッドの問題がありますよね。
第2次ベビーブーム、1971年〜1974年くらいに生まれた団塊ジュニア層をピークに子供は減り続けているんで、早い話、いまの10代、20代が興味ある話をするよりも、いまの50歳以上の方が興味をもっている内容をお届けしたほうが、視聴率がとれるっていう、単純な人口ピラミッドの問題があります。
となってくると、当然、ブロックチェーンの話なんかよりも、芸能人の不倫だとか、他人の不幸のほうがメシウマなので、どうしてもそっちの比重のほうが増える。
テレビを伝統芸能のほうに走らせている理由として、いちばん大きいのは人口ピラミッドの問題ですね。
でもまぁ、これはどっちかっていうと、テレビが高齢者メディアになったっていう理由であって、今回お話したいのは、テレビがなぜ時代から遅れをとるのか?っていうことなので、これだと微妙にちがうんですね。
要は、時代から遅れをとるってことと、年齢ってあまり関係がないと思っていて。
古くさい10代もいれば、若い60代もいるので。
なので、今回、お話したいのはテレビがなぜ時代から遅れをとるのか?っていうことですね。
これに関して、実際に経験して思う。
テレビが未来をむかえにいけなかった理由は、僕が思う中では、最大の原因はテレビ画面のサイズですね。
テレビ画面ってサイズがでかいじゃないですか。
サイズがでかいから登場人物が多いですよね。
10人とか20人とか平気でいる。ひな壇とかそうですね。
場合によっちゃ、芸能人100人大集合みたいなのもあったりする。
これYouTubeではちょっと考えられないですよね。
これが何を意味しているかっていうと、テレビに出演する側、芸能人側に立ってみるとご理解いただけると思うんですが、これだけ共演者がいる中で爪痕を残さなきゃいけないのがタレントさんなんですね。
わずかな隙をみつけてアクションをおこさないと、つぎ番組によばれないんですよ。
つまり、待てないっていうことですね。構造上待てないんですよ。
「ふんふん、なるほど」って話を聞きたいんだけど、そのあいだにライバルがツッコミ入れて笑いをとったりするから、先を越されないように「我先に」と手柄を取りに行くんですね。
ここはツッコむことでもないんじゃないか?ってとこに無理やりツッコんで、ここを逃したら誰かがドーンってとるかもしれないから。我先に手柄をあげにいくんですね。
でもね、新しいものを説明するときって、「なにがどうしてこうなってるから、こういう問題が生まれて、その問題を解消するために今回はこういう方法をとっています」っていう前提知識の共有が必要ですよね。
つまり、じゃんけんを知らない人にあっちむいてホイを説明しなきゃいけないとなると、まずはパーが紙で、グーが石で、チョキがハサミなので、チョキはパーに勝って、ってじゃんけんの説明からしなきゃいけないじゃないですか。
そのときにその現場に手柄を急がなきゃいけないタレントがいると、グーが石はギリわかるけど、パーが紙?みたいな横槍をいれざるをえないわけです。前提知識の話の腰が折られるんですね。
だから、その世界に住む人たちは、一生あっちむいてホイまでたどり着けない。
でも、あっちむいてホイをやったほうが楽しいじゃん。
だけど、あっちむいてホイの楽しさをまだ知らないから、手前で話の腰を折って笑いをとってその日の収穫にしちゃうっていうことですね。
2016年頃に僕がテレビに出演しているときの動画とかがYouTubeにアップされているのでぜひみていただきたいのですが、基本、これが起こってますね。
じゃんけんの説明をしているキングコング西野が頭おかしいヤツみたいな扱いになっている。クラウドファンディングの説明をしている僕を全員で「バカじゃねぇの」ってイジる。それでみんなでキャッキャする。
番組のつくりもそんなかんじになっている。
これは、その当時のテレビマンが悪いっていうか、タレントが悪いっていうか、登場人物が多くなると手柄を急がなきゃいけなくなるから、そうなっちゃうよねって話ですね。
人は悪くないってことです。テレビ画面の人数の話なんです。
なので、テレビ画面が多くても登場人物が少ないダウンタウンなうとかは、ふつうにオンラインサロンの話ができたりする。
いまオンラインサロンでこういうことが起きていて、こういうお金の流れになっていて、みたいな。ダウンタウンさんも坂上忍さんも『ダウンタウンなう』では手柄を急がなければいけないわけじゃないのね。
だから、テレビを伝統芸能化させているのは人口ピラミッド、年配者は未来に興味がないって問題だけではないってことですね。ダウンタウンなうで喋れてるんで。
まとめますね。
今日はテレビは何故、時代から遅れをとるのか?ってテーマでお話させていただいたんですけど、結論は、テレビ画面がでかいから。人数が多いから。人数が多いと手柄を急がなきゃいけなくなるから。手柄を急ぐとなると話の腰を折るしかないから。話の腰がおられてしまうと未来の話ができなくなる。そういうとこですね。
人に罪をなすりつけるのではなくて、システムに罪をなすりつけたら、また別の答えがみえてくるのでおすすめです。
テレビの話だけではなくて、会社だとかチームつくるときもそうですね。
というわけで、
テレビは何故、時代から遅れをとるのか?
というテーマでお話させていただきました。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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