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「属人性を消し切らない」という戦い方【キンコン西野】

このnoteは2023年6月9日のvoicyの音源、『CHIMNEY TOWN 公式BLOG』の内容をもとに作成したものです。

 
 

コンセプトもコモディティ化している

 
今日の話は、分かりやすいエビデンスがあるわけではなく、僕が「今はコッチかもなぁ」と勝手に感じているだけなので、話半分で聞いてください。
 
昨日か一昨日、幻冬舎の箕輪さんがYouTubeで「コンセプトもコモディティ化している」というような話をされていたんですね。
  
「コモディティ化」というのは、もともとはオンリーワンであった商品(他社と差別化できていた商品)が、多くのライバル達に見つかった結果、類似商品が出てきてしまい、一般的な商品になることです。
 
当然、「コモディティ化」が起こると、価格競争が始まり、商品の価格は下がってしまい、企業は利益を得にくくなります。
 
箕輪さんの言う「コンセプトもコモディティ化している」というのは、もともと、あらゆる商品は「機能」を売りにしていたのですが、この「機能」がコモディティ化し、「機能」が売りにならなくなり、勘の良い人から順に、その商品の背景なんかを売り始めた。
 
背景というのは、「生産者の想い」や、「この商品が存在しなければいけない意味」や、あるいは、「この商品が生まれるまでの物語」のことですね。
 
これを「コンセプト」と呼び、この「コンセプト」で持って、他社と差別化をはかっていたわけですが、「残念ながら、ここも満席になってきた」というのが箕輪さんの言い分です。
 
皆、「どうやらコンセプトが大事」ということに気がついて、やたら「生産までのプロセス」なんかを発信するようになりました。
 
これに関して僕はかなり自分ゴトとして語れるのですが、少なくとも10年前ぐらいまでは、「完成までのプロセスを積極的に発信して、苦労を共有し、仲間を増やす」というようなことをやっていた人って、あまり見当たらなかった。
 
「プロが見せなきゃいけないのは、完成品だ」みたいな価値観があって、プロセスを共有して、時にプロセスを販売していた僕は、ずいぶん変わり者扱いされたもんです。
 
でも、まぁ、今となってそれは普通で、「制作過程を共有する」だけでは、他社と差別化を図れなくなりました。
 
箕輪さんの結論は「コンセプトも売りにならなくなってきたので、自分でストーリーを語るのではなくて、プロダクトに語らせろ」で、別の言い方をすると、「皆が語りたくなるような圧倒的に強い商品を作るしかない」という身も蓋もない結論になると思うのですが…本当におっしゃる通りだと思います。
 
 

「マンパワーに頼らず仕組みで売る」に勝ち目はない

 
僕、「ニシノコンサル」と称して、いろんな企業さん(時に個人)のコンサルをやらせてもらっているのですが、今回のお話に関係のある出来事がここのところ立て続けにありまして…まず、一つ目が「協会ビジネス(家元制度)」に関するご相談です。
 
「協会ビジネス」というのは、自分が編み出したノウハウ(メソッド)を有料で教えて、有料で学んだ人を「認定講師」として、「あなたは認定講師として、このノウハウ(メソッド)を使って商売をしていいですよ。だけど、月々、いくらか納めてくださいね」というものです。
 
そういったことを始めようとしている方からの相談だったのですが、その時の僕は、「拡げ方ウンヌンの話の前に、あなたの商品自体がメチャクチャ強くないと成立しない」と返したんですね。
 
「かたづけ」で世界をとった、こんまりサンの「こんまりメソッド」なら分かるのですが、今回は、まだ名前も聞いたことがない、そして、商品力でズバ抜けているかどうか(まだ)分からない人が、「私の協会を作りたい(認定講師を増やして、食っていきたい)」と言ったわけです。
 
それは今の時代、「マーケティング」や、それこそ「コンセプト」やらでは絶対に補えないんですね。
 
そういったもので、補えていた(誤魔化せていた)時代が確かにあったのですが、今は無理。
  
やっぱり「圧倒的に強い商品を作ってください」としか言いようがない。
 
そして、もう一点。
 
昨日、とても面白い相談を受けたのですが、その方の商品は、どうやら「強さ」を持ってそうなんです。
 
その商品の力が「業界NO.1か?」と聞かれたら、どうか分かりませんが、かなり上の方にはランクインしているのは間違いない。
  
この方は、お一人で活動されていて、自分の営業力でもって、去年はこの商品を結構売って、二年目の今年は、「販売を仕組み化したい」と考えられていた。
 
今日の話のコアはこれなんですけども、これ、メチャクチャ共感できるんです。
 
これまで自分のマンパワーで売っていた人が「自分のマンパワーで売るのではなくて、これからは自分は後ろに下がって、仕組みで売りたい」と考えるのは、共感しかない。
 
本とか読んでいても「マンパワーに頼るな」とか「仕組みで売れ」とか、よく出てくるもん。
 
だけど、ここにきて、「マンパワー < 仕組み」という考え方は、そこそこ危険だなぁと個人的には思い始めています。
 
「機能」で差別化を図れなくなり、「コンセプト」で差別化を図れなくなった今、「商品の強さで勝負するしかない」という世界線に入ったわけですが、多くの人は「商品の強さ」では勝ち抜けない。
 
そんな中、「マンパワーに頼らず仕組みで売る」というのは、言ってしまったら「圧倒的な商品力をもっている大企業と同じ戦い方」をすることになるわけじゃないですか?
 
それこそ勝ち目が無い。
 
 

「マンパワーを残した販売方法」を工夫するべき

 
そんなこんなで、昨日は、「マンパワーに頼ってしまうといつか限界が来るのは凄くよく分かるのですが、とはいえ、『仕組み』に移行するの、ちょっと早くないっすか?」という話をさせていただきました。
 
これ、本当に気をつけた方がイイと思っていて、弱者が強者の戦い方をすると必ず負けるんです。
 
弱者は弱者の戦い方をしなきゃいけない。
 
昨日は結構踏み込んだ話をさせてもらったのですが…その方は、去年1年間走り回って、その方の営業力(マンパワー)でもって、1000万円(仮)を売り上げたんですね。
 
そこで2年目は「自分がいなくても売れるようにしよう(仕組み化しよう)」と考えられたわけですが、どう考えたって「マンパワー」こそがその方の(商品の)競争力なので、「今年も引き続き、あなたは広告塔として前に出て、稼働を今の3分の2にして、去年と同じ1000万円の売り上げ(あるいは少し落ちてもいい)を作る工夫をしてみてください」とお伝えしました。
  
「ゼロor 100」の仕組み化ではなくて、「マンパワーを絡めた(残した)販売方法」の工夫ですね。
 
今のこの状態で「売り上げを3倍にする」という目標を立てると、必ず「仕組み化」の話になるのですが、それをしてしまうと、箕輪さんの言う「皆が語りたくなるような圧倒的に強い商品を作れる会社」に飲み込まれちゃうので。
 
「食べチョク」の秋元里奈さんが、毎回、『食べチョク』と胸にデカデカとプリントされたTシャツを着てメディアに出演されているのって、一周まわって、凄く今っぽい感じがしていて、「属人性を消し切らない」という考え方も一つ持っておいた方がイイと思います。
 
 
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