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新型コロナウイルスを前に何をすればいいのか? by キンコン西野

このnoteは2020年5月12日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:こしだもとき さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「新型コロナウイルスを前に何をすればいいのか?」
というテーマでお話しします。

我慢も行動の一つだ


よく言われますが、時間は有限です。
1日24時間・1年365日。
これは、イーロンマスクであろうと、田舎の中学生であろうと同じ条件です。

であるならば、自分の持ち時間をどこに投資するか?どこに投下するか?という時間割が、勝負の決め手となってきますが、これは対新型コロナウイルスの場合も、同じだと思っています。

今、新型コロナウイルスが猛威をふるっていて、経営者、個人事業主、クリエイター、表現者、そういった方々は、これについてどう対応していくかということを本当に毎日毎日考えられています。
ただ、今の状況が、あと一ヶ月続くのと、あと半年続くのと、あと1年続くのとでは、当然打ち手は変わってくると思うんですね。

つまり、ここから先は「読み」の世界になってくるでしょう。
もし1年続くと見るのであれば、やはり根本からサービスを見直さないといけない。

一方で、「あと1ヶ月くらいでなんとなく収束するんじゃね」という感じで見ている人がいたとします。そんな人が、サービス内容を根本から改めている場面を結構見たりするのですが、サービス内容を改めてしまって、読み通り、1カ月で終息したとするじゃないですか。そうするとまたサービス内容を元に戻さないといけないですよね。

個人的には、これが一番、時間とお金のロスだと思っています。

例えば、車で目的地に向かっていたとします。途中、土砂崩れで車両通行禁止になっていました。
仕方がないから、車を乗り捨てて歩いて土砂を登って1日がかりで土砂を乗り越えて、目的地にたどり着くためには、やはり車に乗らなきゃいけないので、再び車を手に入れるために、そこから10キロ先にある中古ショップまで歩くとする。

そうこうしていると、思いの外早めに、土砂が撤去され、道路が開通し、昨日まで自分の後ろを走っていた車に追い抜かれてしまいましたということがあったとしたら、これだったら、あの時あの瞬間、おとなしく土砂の前で待ってたほうが良かったじゃないですか。

当然、土砂崩れがあったので、車で待っていようが、車を乗り捨てて土砂を乗り越えることを選ぼうが、どちらを選ぼうが、目的地に着くことは遅れるのですが、土砂が早く撤去されるなら、まだ土砂の前でおとなしく待っていた方が、早く着きますよね。

そして、今回のコロナの対応は、ここの判断を誤っている方が結構いるなと感じています。ここで待つか行くかという判断は、非常に重要だと思っています。

やっぱり、動いている方が、前に進んでいることが確認できて安心はするんです。精神衛生上いいんですよね。

ですが、トータルで見たときに、動いたことによって遅れを作っているということが往々にしてあります。
何が言いたいかというと、「その場から動かずに我慢をする」ということも、一つの戦略であるということです。戦に勝つための方法の一つでもあります。

「戦略的撤退」というのもあるし、「戦略的待機」というのもある。
これが、見落としてはいけないことだなぁと思っています。

飲食店の「テイクアウトを始めました」、「デリバリーを始めました」程度の変化なら、つまり、この当面のキャッシュを確保するために、そういうサービスを始められたなら、すぐに元の状態に戻せるので、何の問題もないと思うんです。

ただ、サービスの根幹に関わってくる部分を再構築するのであれば、変な話ですが、コロナが1年以上続いてくれないと割に合わないということがあります。

例えば、このラジオをお聴きのあなたが、ディズニーランドを運営していたとして、コロナが襲ってきたとします。じゃあここで、ディズニーランドを運営するあなたはどうするか。

コロナの期間中、ディズニーランドを閉園したとしても、従業員の給料は払わなければいけません。ここであなたは何をするかという判断を迫られた時に、2つの方法があると思います。

1つ目は、コロナ期間中に自宅でも楽しめる「ビッグサンダーマウンテン VR」みたいなものを開発します。開発費は、1億2000万円です。

2つ目は、コロナ期間中に何もせず、従業員の給料で1億円が飛びます。
これ、どちらをとりますか?

僕がオーナーなら、1億円払って我慢するという道を選んで、パークの再開後に猛烈に回収に行きますね。そっちの方がプラスになるなというそろばんをはじきます。

これは、今の状況がどこまで続くか次第で、個人的には「おそらく世の中はこうなるからこうしておいた方がいいな」という見通しはあります。

ブレーキの精度を上げろ

おそらく自分の読みは当たると思うのですが、まず「意識高い系」の人が議論しているような未来は確実にやってきません。

詳しい話はサロンに限っておりますが、「世の中こうなるだろうな」という僕なりの見立てはあります。
それに向けて自分は行動を決めているのですが、いずれにせよ、今回のコロナに限らず、「我慢も一つの戦略である」、「我慢も行動の一つである」という考えは、経営者さん、個人事業主さん、クリエイターさん、表現者さんは、持っておいた方がいいでしょう。

僕は、やたら行動しているイメージを持たれていると思うんですね。
やっぱりそこが面白いじゃないですか。次から次へと新しい挑戦をどんどんしていますよね。

成功と失敗が派手なので、見栄えがします。
なので、メディアでも、そこが切り取られることが多いのですが、僕は結構、守備を固めるんです。サロンに毎日記事を投稿しているので、サロンメンバーは知っていると思います。

思想として持っているのは、「ブレーキの精度が良いからアクセルをベタ踏みできる」という考えで、場合によっては、がっかりするぐらいリアリストかもしれません。

「食料も体力も削られるけど、ここはステイだ」という判断をすることが多々あります。「攻めろー」一辺倒ではなくて、「ここはちょっと我慢しよう、耐え忍ぼう」という判断を結構します。
「行動」とは、そこも含まれている言葉だということですね。

というわけで、
「新型コロナウイルスを前に何をすればいいのか?」
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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