ジャニーズグループ『Snow Man』が面白い byキンコン西野
このnoteは2019年12月8日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:清水 雅之 さん
おはようございます。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
さて、今日はですね、
「ジャニーズグループ『Snow Man』が面白い」
というテーマでお話したいと思います。
超一流ホスト
20歳のときに『はねるのとびら』っていう東京の深夜のローカル番組がスタートしたんですね。
その頃、まだ芸歴1、2年目で、まったく無名の若手芸人なんですよ。
共演してるインパルス、ロバート、ドランクドラゴン、北陽も
キングコングよりは先輩だったけど、芸歴3年目とか。4年目とか。
みんなまったく無名。誰も世にでてない。
つまり、世間の人が『はねるのとびら』をみる理由がないんですね。
だって、まったく知らない11人の芸人がテレビにうつってるところからスタートしてるんですよ。
そんな状態で、僕は番組のMC=ホストを任せられたんですね。
当時、芸歴1年とかですから、MCの経験なんてなかったんですよ。
テレビでも舞台でも。
吉本の劇場でもいちばん下のグループだし、その中でも若手っていう扱いなのに。それでも、いきなり番組MCに抜擢された。もちろんMCのノウハウも、共演者の方との関係性もない。
自分がそんなにおもしろくないのもわかってたし、
チャンネルとめてもらうほどの影響力もない。
だから、ゲストの方が番組に出る理由があんまりないんですね。
ゲストの方からすると、自分が『はねるのとびら』の客寄せパンダになって番組を盛り上げてるだけになってしまうから。
そうなってくると、
僕がMCとしてゲストの方に提供できることはひとつしかなかったんです。
西野とからんだら得をする。西野とからんだら気持ちよくなる。
って思っていただくこと。
僕が点をとるわけじゃなくて、ゲストの方がいかに得するか。
「西野とからんだら私めっちゃおもしろく映るわ〜」
「僕はいっつも気持ちいい思いさせてもらえるわ〜」って。
当時の視聴者の方からしたら
『はねるのとびら』の西野って絶対おもしろくなかったはずなんですよ。
なぜなら、ポイントを全部ゲストにあげてたから。
でも、そうするしか世に出て行くすべがなかったんですね。
だから、徹底的にホストをやった。
「そんなに視聴率はないし、有名人はでてない。でも、あの番組でたらいつも気持ちいいから、また出よう」
ゲストの方にそう思ってもらうしかなかった。
そういうところからスタートしたんですね。
で、ここからはものすごくプロの話だけど、
からんだ方を気持ちよくする技として、
相手が気持ちよくなるようにさせるというのがあります。
たとえば、先日あった『よしもと男前ランキング』。
中間発表で僕は4位だったんですよ。
1〜3位はイグジットとか和牛とかアインシュタインとか若手の方で。
これに関して、
「西野さん思うことありますか。4位ですけど」
みたいなインタビューをされたんです。
YouTubeとかに動画転がってると思います。
そのインタビューの中で僕は、
「こいつらの票には、お笑い芸人としてのおもしろい票も入っていて、純粋な顔面に対する票ではない。ドーピングだ」って言ったんですね。
一部のファンの方には「なんてひどいこと言うの!」って怒られたんですけど、この放送をお聞きの方はお察しですよね。
僕が伝えていたメッセージは、
顔が取り上げられていますが、芸人としてしっかりおもしろい人たちですよ。ってことなんです。
このメッセージをそのまま言っちゃうと、ただほめるだけになってしまうから、「こいつら、ただおもしろいだけだよ!顔はなってないじゃないか!」
って言うことで彼らにポイントをいれるっていうことですね。
つまるところこれは、
あなたをリスペクトしていますよ
っていうメッセージです。
これをはさんでおくと、距離が縮まって、回路が潤滑になる。
こういう小ワザがいっぱいあるんですね。
で、MCをやってると、ツッコミをやってると、
いちばん多様するのがパスとばれないパス。
ナイスパスはバレちゃダメなんですね。
なぜなら、
シュートが決まっても「パスをだした西野がすごい!」ってなっちゃうから。
パスが見事すぎると絶対ダメなんですよ。
シュートがすごいってならなきゃいけない。
『はねるのとびら』で帝王学みたいなことを徹底的に叩き込まれたんですけど、まず最初に叩き込まれたのが「目立つパスをだすな」ってことだったですよ。
パッサーがすごい、ってなっちゃったら、
ボケの魅力が弱まってしまうから目立つな。
なので『はねるのとびら』はパスにテロップいれないんですよ。
あとパスをだしてボケでシュート決めるじゃないですか。
それにナイスツッコミをいれたとしても、ツッコミにはテロップいれない。
テロップをいれてしまうと「このツッコミおもしろい」ってなって
ボケのおもしろさが弱まってしまうから。
とにかく裏に裏に隠れるんですね。
場合によっちゃ、肝心の演者さんにもバレない場合もある。
そういうときは「僕、パスなんかだしてませんよ」みたいな顔でプレーを続行するんですが、とはいえ、演者さんの中にはこのステルスパスに気づかない方がいらっしゃる。
梶原くんは完全に気づきますよね。彼とはもう長いから。
僕らの会話では0コンマ何秒の間に「次あそこにパス出すから走りこんどいて」みたいなコンタクトを心の中でして、一撃で仕留めちゃう。
このへんは『毎週キングコング』をみてください。
台本かよってくらいのパスワークをみせておりますので。
すごいですね、キングコングっていうのは。
よろしくお願いしますね。
で、Snow Manの話です。
このグループ、バラエティのカンがほんとにいいんですよ。
若いからときどきノリを間違うこともあるんですけどね。
『7G』っていうフジテレビの特番で彼らと共演させてもらっていて、
このまえ第2回目の収録があったんです。(2019年12月25日放送)
ここでびっくりしたんですけど、
第1回目の収録を終えてからのSnow Manの伸び率がすごいの。
1回の収録ですごい吸収したんだと思うけど、
走ってほしいときに走ってほしいところに走ってくれる。
そういうのって何回も手合わせして熟成していくものなのに、
Snow Manは2回目にはあわせてきた。
『7G』にはさすらいラビーとか、四千頭身とか、さや香といった
次の世代の芸人さんもでてるんですが、彼らも僕と同じこと思ったと思う。
「Snow Manってこんなにやりやすかったっけ?」って。
これ、僕が同じ経験したのが堂本剛さん。
彼ってクセ強そうじゃないですか。たしかにファーストコンタクトは歯車がうまくかみ合わなかったような気がする。僕も未熟だったからね。
でも、2回目にはスパーンとあわせてくるの。
「ほしいのこれでしょ?」って。
そこで改めて思ったんですけど、
『はねるのとびら』で「西野とからんだら得をする」って振る舞いをしていたって言ったけど、ジャニーズさんはずっとそれをやってるんですよ。
彼らは、相手を気持ちよくさせるプロなんですね。
それがアップデートされまくってるのがSnow Man。もう見事です。
共演者を気持ちよくさせるのが。まあ注目でございます。
あとシンプルにいい奴らなんで、大好きです。
『7G』12月25日放送です。ぜひみてください。
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