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『昨日より進んでいればいい』というわけでもない byキンコン西野

このnoteは2019年10月19日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:田村 有樹子さん

おはようございます。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をやったり、絵本作家をやったり、
国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

さて今朝ですね、
「『昨日より進んでいればいい』というわけでもない」というテーマで
お話したいと思います。

この話はですね、
今朝のブログに書いたんですけれども、
非常に重要な話だなぁと思ったので、
ブログに書いた内容をもう少し噛み砕いて、
お話したいと思います。

「『昨日より進めばいい』というわけでもない」
というテーマでお話するんですけど、

これ如実に、
『昨日より進んでたらいい』っていうことでもねーな、
本当に気をつけなきゃいけないなって、
何年か前にですね、
 ETチャレンジっていうのをやったときに思ったんですよ。

ETチャレンジって何かというと、
東京の目白かな?に、都内最大級の急勾配の坂があってですね。

一番急な坂があって、
『のぞき坂』っていう名前の、まあすごい急な坂なんですね 。

それを自転車で一気に駆け上がったら、
そのままの勢いでETのラストシーンみたいに空が飛べるんじゃないかっていう、まあそういうチャレンジですね。

当然坂のふもとから自転車を漕ぎ出しても勢いよくのぼれないもんですから、やっぱり助走がいるなぁと。

で、助走もね。
10メートル50メートルの助走ではその坂はのぼりきれないので、
相当な助走がいるぞということですね。

助走距離を随分とって、
大阪の難波、ミナミから約600キロ助走してですね、ママチャリで。
助走して最後とぶっていう企画だったんです。

当然あのね。
間に信号機が2000個くらいありますから2000回くらい止まってますし、
なんなら途中ホテルで4泊くらいしておりますので。

もう助走もへったくれもないし、
しまいにはですね、坂の手前で信号で止まっちゃったので、
実際の助走距離っていうのは、5mぐらいだったんですけど。

まぁ企画としては破綻してます。

でもこんなことはもうスタートする前からわかってた上で、
ただのシャレでやったんですね。

あの時はですね、
自分が喉のポリープの手術をしてあまり大きい声が出せない時だったので、
2週間まるまる休んで、その休みを費やしてやったんですね。

Youtubeにあがってます。
もう薬飲んでるから顔パンパンで、みっともないんですけど。

まあ1週間くらいかけて、そのチャレンジをしましたと。

じゃあね、例えばこれって、
2週間ただただ自転車でバカなことをしてるだけじゃないですか。

一方で・・
自分のライバルと言われるような人たちはですね、
その間もいろんなエンターテインメントを作って、
いろんなお仕事をして、
テレビでいろんな人をたくさんの人を笑わせて、
劇場でたくさんの人を笑わせて、
ラジオでたくさんの人を感動させてっていうことをしている裏で、

僕は人知れずですね、
大阪から東京まで自転車でこいでたわけじゃないですか。
別に誰に見られてるわけでもないですよ、やってる間は。

で、そうするとね。
「こんなことしてていいんだっけ」
っていう不安に陥りそうなんですけれどね、
普通に考えると。

ライバルたちが頑張ってるなか、
おれなんで東京から大阪から東京まで自転車こいでんだろうって
不安に陥りそうなんですけど、

実際やってみると、全然不安は感じなくてですね。

やっぱり思ったのは、
実際距離的に進んでるわけじゃないですか。
ゴールがちょっとずつ近づいてきていると。

そのときやっぱ思ったのは、
進んでいることが確認できれば精神が安定するっていう。

「あとちょっと、あとちょっと」が、
「昨日よりも進んだ、昨日よりも進んだ」で、
その進みが確認できれば、全然ニヤニヤできたんです。

焦りがなかったっていうことですね。
これは非常に自分の中でも発見だったんですね。

だって、何も生み出してないのに、
進んでいることが確認できれば精神が安定しちゃってるんで。

で、これはひとつ発見ではあったんですけど、
危ういなと思ったんですね。

じゃあ進んでいることが確認できれば、
別に、何も生み出してなくても、人は落ち着くっていうことだから。

危ういなと思ったのが、例えばですね、
仕事のオファーってあるじゃないですか。
自分に舞い込んでいる仕事のオファー。

だいたい今の自分が応えられるサイズのオファーが来ますよね。
そうするとまあその仕事のオファーってだいたい応えれるんですよ、頑張れば。

じゃあですね、
仕事のオファーに応えると、
クライアントさんは喜んでくれるし、
お客さんは喜んでくれるし、
何なら給料みたいなものも増えると。

これ進んでるんですよ、確かに。

そのオファーに応える前よりかは進んでいるので、
やっぱ精神安定しちゃうんですね。

ただ考えなきゃいけないのは、
「じゃあ自分のゴールはどこなんだ」っていうところですね。

そうなんです。

大切なのは自分のゴールから逆算することで、
僕の場合だったら

『エンターテインメントで世界を獲る』
『ディズニーを超える』
みたいなことを言っているんですけど。

このゴールから逆算した時にですね、
そのスピードでは制限時間までにゴールにたどり着けない
っていうことがあるわけですよね。

つまるところ、ETチャレンジずっとしてても、
安定はするんだけど、当然エンターテインメントで世界は獲れないし。

じゃあ今、僕に舞い込んでくる仕事のオファーにぜんぶ応えていたら、
世界獲れるかというと、獲れないですよね。

仕事のオファー出してくださる方は、
別にキンコン西野に世界を獲らそうと思って
オファーを出しているわけではないので。

つまりところ、
考えなきゃいけないというか、目を向けなきゃいけないのは、
昨日よりも進んでいるかどうかではなくて。

進んでるのは当たり前で、
どれぐらいのスピードで進んでいくかっていうところが
非常に重要だなあと。

で、ここから目を背けてしまうとですね、
どれくらいのスピードで進んでいるかっていうところから目を背けてしまうと、
「よし、昨日より進んでる」
「昨日よりもたくさんのクライアントさん喜ばしたし、
なんなら銀行の残高増えてるぞ」

みたいなことで安心してしまうので、
これでいいんだっていう風に思い込んでしまうっていうことですね。

いいわけないんですよ。
それでいいわけはなくて。

遠くに目標を掲げた場合は、
絶対に目を向けなきゃいけないのは、
どれくらいのスピードで進んでいるか、成長しているかなので。

進んでいるのはもう当たり前だっていうことを忘れないように、
定期的に自分に言い聞かせないと。

やっぱり思うのは、
『ディズニーを超える』って言ったところで、
ディズニーは結構な勢いで・・
例えばスターウォーズ買っちゃったりするわけじゃないですか。

その瞬間にばって差があいているわけですね。

当然ディズニーを超えようと思ったら、
ディズニーよりも早いスピードで僕は成長しないといけないので。

ってなってくると、
結構いろんな仕事はもう受けれなくなってしまうし、
それを受けていると成長スピードが落ちちゃうんで。

進むかもしれないけれども、成長スピードはをしてしまうので。

っていうところが、仕事を大きくしていく上で、ゴールにたどり着く上で、
結構気をつけておかなきゃいけないことだなと思いました。

で、ほんとにこういうことを毎日のように自分に言い聞かせていないと、
本当に僕たちは前に進んでいることが確認できれば、
それで安心してしまうので。
精神安定してしまうし、これでいいと思ってしまうので。

くれぐれも『進んでいればいい』というわけではないという。

「『昨日よりも進めばいい』というわけではない」
というテーマでお話させていただきました。

というわけで、それでは素敵な一日をお過ごしください。

西野亮廣でした。

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