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迷い続けるキンコン西野byキンコン西野

このnoteは2020年7月24日のvoicyの音源、『西野亮廣ブログ』の内容をもとに作成したものです。
voicyの提供:淡路島4児の母こうは さん


どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

今日は、
「迷い続けるキンコン西野」
というテーマでお話しします。


まずは、近況報告を2つほど。

一つ目は、オンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」の会員が6万9000人になりました。

すごい人数ですし、人数が増えれば増えるだけ、やれることも増えてくるのですが、もう無理に増やそうとは1ミリも思っていなくて、そんなことよりも、今いるメンバーを大事にして、彼らに向けて、僕なりにできることを誠実にやっていこうと思っています。

二つ目は、そのオンラインサロンの会費の未納額が6000万円になりました(笑)。

もちろん、運営の方から「滞納されていますよ」というメールは送らせていただいているのですが、気づかれていない方も多くて。

これに関しては、ペナルティーを与えればすぐに解決するのですが、そんな真似はしたくない。

なので、「それでも、メンバーを信じる」という解決方法を図っています(笑)。

「解決すること」が目的ではなくて、「好きな方法で解決すること」が僕の目的です。

【関連記事】『管理されなければ生きられないのか?』https://gamp.ameblo.jp/nishino-akihiro/entry-12599328099.html

近況報告は、ザッと、そんなところです。

エンターテイメントを作りながら、九州豪雨の支援は引き続きやらせていただきますし、今後も、日本に住む以上は様々な天災に見舞われることが決定しているので、迅速に対応できるように準備しておきます。

そんなこんなで、今日の本題です。

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もしかすると世間的には「やってまえ! とにかく前に進め〜!」といった感じのイケイケ野郎に見られているかもしれないですが、僕は「思いつきで何かをやる」みたいなことは、(ゼロではないですが)あまりなくて……それこそ、「奇をてらう」とか、「逆張り」とか絶対にやらないです。

基本的には自分の行動は全て説明できるようにしていて、ミリ単位で戦略を設計する、豪快さの欠片もない奴です。

やっていることの規模が大きいので、「豪快に見えている」というだけです。

「ここは待とう」という時も少なくないし、「この企画は寝かそう」という時もあるし、あと、「撤退」はメチャクチャ早いです。

なので、サロンメンバーさんのコンサルをさせてもらう時に、「それは、やめておいた方がいい」と言わせていただくことが意外と多いので、よくビックリされます。

「ええ?」みたいな(笑)。

「西野さんなら、背中を押してくれると思ってました」的な感じで。

早期の撤退は、一応、背中を押しているつもりです。

これは、何度も言っていることなんですけども、「乗り物」を間違っちゃダメです。

乗り物には、それぞれ「限界速度」があって、そして、「辿り着ける場所の限界」がある。

「車」を選んだら、「自転車」よりも速く進むかもしれませんが、海外には絶対に行けない。

海外に行こうと思ったら、「船」か「飛行機」を選ばなきゃいけないんです。

一方で、「海外に行く気がない」というのであれば、車を選ぶのは圧倒的に正解だと思います。

「目的に応じて乗り物を選ぶ必要がある」という話です。

具体例を挙げます。

さすがに今になると想像できると思いますが、TVタレントは「ひな段」を主戦場に選んだ時点で必ず限界があるんです。

若い子の家には、もうテレビは置かれていないし、エンタメはスマホで観られている。

そうなると、「出演者がたくさんいる番組」は、おのずと減ってくる。

加えて、テレビの広告費は少しずつ落ちてきていますから、おのずと出演者の数も減ってくる。

時代が求めているのは「大勢の中から前に飛び出す瞬発力」ではなくて、「一人で画面をもたす持久力」です。

何度も言っていますが、これは「ひな段批判」ではありません。

「車は海を渡れない」というのが「車批判」ではないように、「そういうものだ」という話です。

コロナが加速させた感はありますが、今、ひな段を主戦場にしていたタレントさんは、なかなか厳しい状況にあります。

瞬発力はあるのに、瞬発力の使いどころがない。

ですが、この日が来ることは、何年も何年も前から決まっていた。

問題は「いずれ使いどころがなくなる瞬発力を身につける為に時間を費やした」という点です。

長く活動することを前提とするのであれば、あの時間は「持久力」を身につけることに使うべきなんです。

ここは、本当に残酷ですが、抗いようがない。

「乗り物が辿り着ける場所の限界」というのが必ずある。ここの判断が超大事です。

 

今、僕がボンヤリと考えているのは、映画「えんとつ町のプペル」のことです。

映画って「観客動員数」で競っているじゃないですか?

個人の好みはさておき、世間一般的には「映画館に、より多くのお客さんに足を運ばせた作品が勝ち」みたいなルールになっています。

お客さんもそうだし、映画関係者も、そこを「モノサシ」にしている。

ただ一方で、「その競争の勝者が手に入れたものって、何があるんだろう?」と考えた時に、名声や財産的なものは手に入れているのですが、多くの場合それは一時的なものだったりする。

少なくとも、世界のエンタメを一変させるようなものにはなっていない。

もちろん今も僕は一人でも多くの方に映画「えんとつ町のプペル」を観に来てもらう為の施策を打っていますが、一方で、「この観客動員数合戦に参戦することが本当に正解なんだっけ?」という自問自答は常にあります。

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https://silkhat.yoshimoto.co.jp/projects/1699

皆がCDの打ち上げや、ダウンロード数を競っている時に、ライブの体験価値にフルコミットした「きゃり〜」ちゃんや、「セカオワ」みたいな、そんなゲームチェンジは無いものだろうか?と。

そして、そのゲームチェンジのタイミングは今なのだろうか?と。

ここに関しての答えは出ていないのですが、考えることを放棄してはいません。

キチンと迷い続けています。

でも、大切なのは「迷うこと」だと思っています。

それこそ、さっきの「ひな段」の例で言うと、当時は誰も迷わなかった。

皆、盲目的に信じ切っていて、「芸人やったら、ひな段に出ろよ」という声が一般の方や同業者から、たくさん飛んできた。

今、同じことを、たぶん誰も言えないと思います。

少なくとも同業者は、YouTubeのやり方や、それこそオンラインサロンのような有料のクローズド空間を模索し始めている。

これは忘れもしないんですけど、僕、基本的には相方の梶原君の活動には口を挟まないようにしているんですが……

6〜7年ほど前に、「お前が戦う場所は、ひな段じゃない」と言って、YouTubeをススメたんですが、当時は全く響かなかったんです。

僕が、口を挟むのって、本当に珍しいのですが、それでも全然ダメだった。

ここから学んだことは二つ。

一つ目は、「皆が乗っている乗り物というのは、信じ込ませる力が強い」ということ。

二つ目は、「それゆえ、自分で問い続けないと答えは出せない」ということ。

「僕がやってることは、あってるんだっけなぁ」ということを毎日考えています。

とにかく、映画「えんとつ町のプペル」に関しては、まだまだ迷ってみます。

一つ確かなことは、「映画の内容は間違いなく面白い」ということです。

この言葉には、一つも迷いがありません。

というわけで、
「迷い続けるキンコン西野」
というテーマでお話しさせていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。

※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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