ファーストパンチの「速度」と「クオリティー」の正解を探れbyキンコン西野
このnoteは2020年1月8日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:古村 理々子 さん
どうも。キングコングの西野亮廣です。
お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。
今日はですね、
ファーストパンチの速度とクオリティーの正解を探れ
というテーマでお話したいと思います。
速い方が絶対にイイんだけど、「速ければイイ」というわけではない。
僕は、毎朝神社でお参りしているんですね。
スピリチュアルなことには一切興味がないので、神様をうんぬんかんぬんってことではない。
神社で手を合わせて目をつぶって何しているかというと、自分が次に仕掛けるプロジェクトのプレゼンの練習をしているんです。
「こうでこうでこうなると思うからこういうことをやろうと思います」って。
整理することを毎朝の習慣にしてしまえば、必然的に考える時間も増えて成功角度も上がるだろうっていう根端ですね。
つまり、考える時間を増やしてしまうことで、それを習慣にしてしまうということで毎朝神社に行ってます。
この副産物として、話を突然振られた時に僕はもうプレゼンの練習が済んでいるので、スラスラと答えることができる。
相手からすると咄嗟に答えているように見えるので、さも頭の回転がむちゃくちゃ速いみたいなように思われる。
こういうことは結構あります。
たとえば、劇場で赤ちゃんが泣いたときに漫才師がギャグで返したりするんですけど、その時に「一瞬で対応できるなんてすごい!」みたいな扱われ方をするんですが、漫才師からすると、劇場で赤ん坊が泣き出すなんて日常茶飯事。
僕だけでも、何百回も経験しているんですね。
だから当然、赤ちゃんが泣いたときはこれ!という感じで、手札を持っているんですよ。
ほかにも、酔っ払いが騒いだ時はこうしたほうがいいよね、っていう手札とか、いろいろ対策を持っているんですよね。
お客さんからすると、すごい起点の効く漫才師みたいになるかもしれませんが、漫才師からするとマニュアルなので脳みそなんて1ミリも使ってない。
ただ手持ちのカードを切っているだけの話ですね。
ちょっと脱線するんですが、
僕は赤ん坊が泣き出したら最初はもちろんいじりますよ。
ただ5、6分も泣いているのに「よーしよーし」やる親がいたら、ロビーに出てあやしてもらうように伝えます。
そこで「赤ん坊だから仕方がないよね」って流してしまうことが優しさだと思わなくて。
やっぱり劇場にはなけなしのお金と時間を払って、芸を見に来てくれている中学生もいて、彼らは別に僕が赤ん坊をいじっているところを見に来てるわけじゃなくてキングコングの漫才を見に来ている。
彼らからすると、たぶん、赤ん坊をずっといじってる姿っていうのはあまり嬉しくない。
僕は劇場にいるみんなのことを考えなきゃいけないので、赤ん坊が泣き出したら、泣き出した用にカードを切って、それでもお父さんお母さんがずーっと泣いてるのにまだよしよししてたら「ちょっと出てって」っていうようにしてる。
「帰れ」ってことではなくて「また泣きやんだら戻ってきてください」ってね。それは親の務めだなと思うので。
これに対して「親に厳しい」とか言われたら、そういうやつは知らねえっていうところになっちゃうな。
それは勘違いしちゃダメだよ。劇場なんだから。
あなただけの世界じゃないっていうところですね。
話を戻すと、結局、頭の回転の速さの正体って、才能とかそういった類のものではないんです。
こういうときはこうっていう対応パターンをいくつ持ってるかっていう話だと思うんですね。
そうなってくると、もう事前準備の問題だけでしかないと思っていて。
頭の回転が速い人になろうと思ったら、現段階で想定できる質問、問題に対する対応策を準備しておいたらいいだけの話だと思っています。
ということを踏まえた上で 、今日は「準備って大切だよね」っていう話をしたいのではなくて、「準備していたものをどのタイミングで出すかというのは非常に重要だよ」っていう話をしたいと思います。
大前提として、『掴み』、『ファーストパンチ』ですね。
自分の印象を決定づけるものですね。
それって1回しかチャンスはないですよね。
で、ここからお話ししたいんですが、一昨日、僕のブログのほうで、映画『えんとつ町のプペル』のカバー曲を募集したんですよ。
「カバー曲をYoutubeにあげてくださったら西野があなたのYoutubeチャンネルをリツイート拡散しますよ」と。
そうすることで、配信者はいつもよりも多くの人に見てもらえるし、西野は間接的に映画の宣伝ができてWin-Winだと。
いま現在スタートしていて、映画『えんとつ町のプペル』をYoutubeで検索すると上がっていると思うんですが、それを僕は片っ端からリツイートしてるっていう状態ですね。
たとえば、あなたがYoutubeの配信者だったとして、こういうチャンスってときどき飛んでくるじゃないですか。
で、自分が準備していた手持ちの武器が30点くらいだったとする。
つまり、いますぐにギターを片手に持って歌ってYoutubeにアップしたら30点ぐらいなものを西野に見せることができる。世間に見せることができる。
もう少し練習して編集したら、50点ぐらいのものを見せられる。2ヶ月ぐらい練習したら100点のものを見せられるっていう状況だったとして。
30点の準備をしていたっていうのはもう圧倒的にえらいですね。
こういうのって、セオリーとしては対応スピードでインパクトを出すっていうことは、絶対大事。
ただ本当に気をつけなきゃいけないのは、先程も申し上げましたけど、掴みが1回しかないという点ですね。
この時考えなきゃいけないのは、このスピードで30点のものを出してインパクトが出るかどうかっていうところですね。
インパクトが出せるなら、もちろんGOです。
ただ、なんとなく40点ぐらいからスタートでしょみたいな、周りがそんな雰囲気になっているのであれば、ちょっとブレーキを踏んで、速攻で練習して、誰よりも早く40点のものを作り上げて出す。
自分の手札をどのタイミングで出すかっていうのは非常に重要で。
とにかく反応速度だーっ言って5点ぐらいのものを提出して、本人的にはね、1週間後に40点ぐらいのものを再度提出しますからと思っていても、
受け取る側からすると、西野からすると、世間からすると、5点の人っていうイメージが残ってるから、2枚目のカードはみないんですね。
その人の1週間後に切ってくる40点ぐらいのカードっていうのはクリックしないんですね。
一方でちょい遅れても40点のものを出してくれると、受け取る側が、当然このスピードからしても突貫工事だったってことはわかるわけだから、この人待ったらもっといいのだしてくれるかも、となると。
一方で完成度を上げすぎてファーストパンチを繰り出すのが遅すぎると、それはそれで、そりゃこれだけ時間かけたんだからこれくらいできるでしょっとなっちゃう。
この時間とクオリティのバランス感覚が非常に重要だなと思います。
整理すると、まずはファーストパンチの準備をしておくのは大前提ですね。
あとはチャンスが巡ってきたときに、自分のパンチをどこまで磨いて出すか。チャンスは1回しかない。ここが大事です。
速い方が絶対にイイんだけど、「速ければイイ」というわけではない。
というわけで、
ファーストパンチの速度とクオリティの正解を探れ
というテーマでお話させていただきました。
結構タイミングが重要ですよ。っていう話です。
それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。
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