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キンコン西野は何故『ひな壇』に出ないのか?

このnoteは2019年12月11日のvoicyの内容を文字起こししたものです。
voicyの提供:島崎 麻美 さん

どうも。キングコングの西野亮廣です。

お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、国内最大のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』の運営をしたりしております。

本日はですね、
キンコン西野は何故『ひな壇』に出ないのか?
というテーマでお話したいと思います。

テクノロジーは止まらない

もうこれに関しては、10年前から言い続けていることなのですが、
聞いたことない方もいらっしゃると思うので、その方に向けて懇切丁寧にご説明したいと思います。

覚えてますか?
2年か3年前に「ひな壇でろよ!」っていう批判がずっとあったんですよ。
覚えてるのは27時間テレビかな。僕行かなかったんですよ。芸人大集合みたいなやつ。

めちゃイケの座組だったと思うんですけど、岡村さんが率先して言ってて、
「なんで西野おらんねん!ひな壇やれよ!」みたいな。その場に僕いないのに。

梶原くんもよく言ってたかなぁ。向上委員会とかで。
とにかく芸人さんが「ひな壇でろ!」ってのをすごく言ってたんですよ。

当然、芸人さんがメディアでそう言うもんですから、お客さんも一緒になって「ひな壇でろ!ひな壇でろ!」って魔女狩りのようにみんなすっごい言ってたんですよ。

それに関しては、僕はシンプルに気持ち悪いなと思った。

当時、岡村さんを名指しで「気持ち悪いんだよ」みたいなこと言って、ケンカしたりもしました。

最終的にめちゃイケで共演して仲直りってところで落とし所があったので、いまはほんとに岡村さんに関してなんのネガティヴな感情もないし、むしろすごく尊敬しているんですが。

まぁ、当時はそういうのがあったと。

で、キングコング西野はひな壇になぜでないのか。

僕、ほんとにでないんですね。
若手の頃からひな壇に滅多にでていない。

なんででないのか、理由はふたつあって。

ひとつめは、いちばんの理由で、ニガテだから。

僕はとっかかりのあるようなビジュアルしてるわけでもないし、先輩方みたいに瞬発力あるようなタイプでもございませんので、そういう才能もないから。

シンプルにひな壇がニガテだっていうことですね。

で、ひな壇がニガテだからでないっていうところが
切り取りハラスメントポイントになっていてですね。

「ひな壇ニガテだからでない」って言ったら「西野はひな壇を批判している!」みたいなニュースがまわったんですよ。当時。

同業者からも、国民のみなさまからも、
「西野はひな壇を批判している」って言われて。

これおかしいなと思って。

「ひな壇にでない」=「ひな壇批判」ではないじゃないですか。

「サッカーがニガテだから、サッカーやりません。将棋をやります」
って言った人がいて、この場合、その人はサッカーを否定していないですよね。

「文系がニガテだから、理系選びます」
って理系選んだ人は、べつに文系を否定してないですよね。

それと同じなんですよ。

だけれども、「やらない」っていうことを言っちゃうと、
「批判してる!」っていう風にとっちゃう人がけっこういた。

「やれない」って言ってたらまだもうちょっとゆるかったのかもしれないですね。

まぁでもなー、これに関しては過ぎたことだからいいや。

とにかく、いちばんの理由はニガテであるっていうことですね。

ニガテなところから撤退するのって戦略的な撤退だと思うんですよ。
撤退のようで、僕は前進だと思っているから。

学校に通われている方とか、会社につとめている方も、やられるといいと思いますね。ニガテだからやらない、っていうのは。
ふつうに前向きな選択だと思うので。

むしろニガテなのに無理矢理ガマンしてやることのほうが自分を追い込んでしまうので、あまりオススメしないですね。

でも、なんとなくね、これは日本の風潮なのかな。
ぜんぶの国をみたわけではないので、ちょっとわかんないけど。

日本はなんか、ガマンしてやれ、みたいなのありますよね。
でもなー、ガマンしてやるってコスパ悪いんですよね。

自分が楽しんでやってたときのうほうが生産力もあがるし、
楽しめなかったらやらないっていうのはそんなに間違った判断じゃないと思います。

で、ふたつめの理由としては、テクノロジーに食われるだろうなって思ったのは大きいですね。

要はなにかっていうと、ひな壇の形態は昔からあったんですよ。
1980年代の『元気が出るテレビ』でひな壇って形はありました。

ただ、そんなひな壇って形ってそんなに多くなかったんですよ。
ひな壇っていう形がとられてよくみられるようになったのは2000年はいってからなんですね。

ひな壇って昔からあったのに、2000年入ってから急に増えて、
「なんでこんなことになったのかな?」
「その裏でどういう時代の動きがあったのかな?」
って時代の動きと照らし合わせたときに、あのときに薄型テレビがでたんですよ。

薄型テレビが急激に普及して、テレビの画面が大きくなったんですね。
テレビの画面が大きくなったから、登場人物が多くないと画面のバランスが悪くなった。

なので、昔からあったひな壇がそこで適用されて、登場人物が多くなって、
画面のサイズにあうエンターテイメントだったってことですね。

それですごいひな壇は盛り上がったんだけど、いまもうテレビでもなんでも、映像メディアはスマホでみるじゃないですか。

スマホでみたときにひな壇っていうものが、
「おもしろい」「おもしろくない」という議論ではなくて、シンプルに登場人物が多い番組って、スマホの画面が小さいからみにくいなって思ったんです。

そうなってきたら、ひな壇なくなるな、って思ったんですよ。

ここからは登場人物がたくさんいて、その中からでていく瞬発力よりも
ひとりで画面何分持たせることができるんだ?っていう持久力のほうが必要
になってくるな、と。

まちがいなくYouTubeの時代がくるな、と思ったのが6年、7年まえくらい。

たぶん僕はインタビューで言ってると思います。
「これからはYouTubeですね」って。

「ひとりでしゃべれる人のほうが価値がでてくるな」って思ったので、自分はもともとひな壇は得意ではなかったし、ひな壇はテクノロジーによって生まれて、テクノロジーによって殺されてしまうなと思ったので、そこからは撤退した。

このふたつですね。理由は。

僕は何年も前からこれを説明してるんですけど、どうしても途中から切り取られて「ひな壇芸人を批判して!」とか言われるんですけど、そういうことでは決してないってことですね。

いろいろ考えた末、このやり方が自分にあってるんじゃないかと思って、ひな壇はかれこれ10年以上でていないということでございます。

というわけで、
キンコン西野は何故『ひな壇』に出ないのか?
というテーマでお話させていただきました。

それでは、素敵な1日をお過ごしください。西野亮廣でした。


※オンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』では、毎日、議論&実験&作品制作&Webサービスの開発&美術館建設を進めています。
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