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仙川駅前が好きな理由

京王線仙川駅の改札を出ると、視界いっぱいを覆うほどの桜の木があって、その先にはまっすぐと歩く人の流れが見える。そこにはおしゃれなお店が続いてるみたいだ。初めてこの駅で降りたとき、直感的に、ここに住みたい、と思ったのをよく覚えている。
仙川に住み始めて1年以上経った。この街が好きな理由は、人とかお店とかたくさんあるけれど、今回は駅前広場の空間にフォーカスしてみたい。

下手な絵だけど、仙川駅駅前広場の平面パースを書いてみた。

1箇所しかない改札口を出ると、かなり老木のソメイヨシノの木がまず目に入る。駅前広場には3本の桜の木があって、仙川のランドマークだとも言える。改札口前の2本にはそれぞれサークルベンチがあって、木陰の待ち合い空間を提供してくれている。そして春には、仕事帰りの人たちが花を見上げて、控えめに一枚だけ写真を撮ってそれぞれの帰路につくあの時間がたまらなく良いなと思う。駅舎の改修時に、住民の署名活動で撤去を免れたらしく、確かにこれは欠かせないものだなと今は身に染みて理解できる。

その先に視線をやると、サルスベリの並木とポールライトに導かれるように、車が入ってこない歩行者専用の通り(この通りと一本隣の商店街が仙川のメインの歩行者軸だと思う)が伸びていて、沿道には1階部分が開け放ちかガラス張りの日用品店や飲食店が並んでいる。だから夜でも明るく暖かみがある。個人的には、歩行者者のための空間だからといって、その軸・動線を舗装パターン等のデザインで強調しすぎていないのもいい。駅前広場としてはコンパクトだから、周辺の建物と一体となり、広場としての囲われ感もある。乗降場の周りを注意深く見ると、紫陽花や金木犀などの季節の花木が丁寧に植えられていて、実は春以外にも季節を感じることができる。

一般に、駅前広場を構成する空間としては、交通空間と環境空間に分けられる。ざっくり言えば交通空間には車両が通行する部分、環境空間は歩行空間、憩い空間、植栽、モニュメントなどが含まれ、景観や暮らす人の快適性に大きく関わる要素だ。駅前広場が単なる公園ではなく交通結節点である以上、交通空間の最適な配置によって乗り換え等の交通利便性を確保することは前提として必要となる。ただ、そこで暮らす人たちのためには環境空間の配置や設えがとても大切で、そのため駅前広場は環境空間が一定以上の割合となるように設計されている。仙川駅前でも環境空間の割合は確かに大きいけど、公園のようなまとまった広場があるわけではない。それでも、仙川駅前が何だかいい空間だと感じるのは、駅(特に出口)と交通空間の配置の関係による理由が大きいと思う。

図のように、一般的な駅だと出口を出ると正面に交通空間(ロータリー)があって、周りに十分な環境空間があったとしても、「駅前広場=ロータリー」といった印象になりやすい。対して仙川駅では、ロータリーの長手方向が90度回転しているのに加え、駅の出口がロータリーとずれた位置にある。さらに、目の前の環境空間が、便利な乗り換え場所であると同時に魅力的な「ストリート」になっているため、広場全体の印象としても、このストリートを中心としたイメージがあり、それが好きだなあと感じるのだと思う。

休日は、ここを起点としてお気に入りの場所を歩いてめぐる。平日、仕事で疲れた日も、ここへ帰ってくると少し前を向ける気がする。また明日から、この街で頑張ろう。

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土木と写真とデザイン。