人生が差し出すレモン

好きな言葉/座右の銘はなんですか、という質問への答えはその時々によって違うけど、ここ1年ぐらいは次の言葉がしっくりきている。

When life gives you lemons, make lemonade.
人生がレモンを差し出すのなら、レモネードを作ろう。

ここでlemonは、辛く困難なもの、不運や逆境というニュアンスを表している。

有名なフレーズなのでいろいろなところで引用されているけど、実は先に知ったのはその派生したほうで、実際こっちのほうが気に入っている。

"I like to think that one day you'll be an old man like me talkin' a young man's ear off explainin' to him how you took the sourest lemon that life has to offer and turned it into something resembling lemonade."
「こう考えたいんだ─ 君も年老いたときに、自分の経験を若者に語るだろうと。人生が差し出した酸っぱいレモンをレモネードに変えた経験を。」(字幕版より)

アメリカで大ヒットしたドラマ"THIS IS US"第1話で、おじいちゃん産科医がジャックに語りかけるシーンでの一節。和訳もとても好きで、どちらを読んでも胸にすっと入ってくる。

生きていれば必ず困難な時間に出会うし、それは歳を重ねるほどより酸っぱくなっていく気もする。だけど、レモンがまさに自分の前に差し出されたとき、それがどんなに酸っぱいものであったとしても、"something resembling lemonade" を作ることはできる。それは理想の甘いレモネードではないかもしれないけれど、辛く困難だった分だけ、自分の個性と創造性はより色濃く発揮されているはずだ。

この言葉が好きな理由は、必ずしも困難に「打ち克つ」ことを指していないからだと思う。打ち克つという強いニュアンスではなく、ネガティブな、だけど大きなエネルギーをうまく利用して、ポジティブな方向に昇華させることで問題を乗り越えるやり方もある。これは、いろいろな制約をむしろ強みや魅力に変える、モノの設計やデザインの思考方法に共通すると感じる。

レモネードを作る経験を積み重ねることで、クリエイティビティは磨き上げられ、私という人間が形成される。困難に立ち向かうとき、どんなオリジナルのレモネードを作ろうかと考えたい。そういう経験が、未来の自分の拠り所になっていくと思う。

これからもがんばります。