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【読書】「泣かない女はいない」長嶋有

気持ちの揺れ、動きを丁寧に描く、短篇2作。本の題名「泣かない女はいない」がちょっと扇情的だからと言って、重厚な恋模様を想像してはいけない。

読書会に参加するので、本読みさんが自分の好きな本、作家について熱く語る機会に接する。読書会でリアルな人となりに触れていて、その方が全作品読みたいといっていた作家が「長嶋有」だった。その方はこのnoteに日記を書いていらして、それが実にいい。別けあってフォローはしていないが、どこにいけば辿り着けるか分かっているので、読みに行く。ご家族との心温まる情景の描写に心が和む。そんな方が熱く、暑く!?推す作家さんの、図書館から借りてきた1冊。

短篇2編、
「泣かない女はいない」
「センスなし」
どちらに登場する女性も私は好きなタイプ。ただ、
”いや、そこちゃんと言うところでしょう”とか、
”そんなこと言ってないで、もっと本質いいなよ”
なんてツッコところも多い。
書評では「退屈」という感想もあったが、そう思う方も一定数いるだろうな。他人からみると「退屈」の連続がその人の「人生」なんだな。その日常の退屈の連続を読ませるのが作家。

それと、最近読まれている本に多い、幼児虐待のトラウマがベースにあるとか、サイコパスが徹頭徹尾、物語を引っ張る、徹底的に意地悪な人が登場する、というのがなかったのが良かった。
「泣かない女はいない」に登場する、あらたな「所長」もサラリーマンとしてある典型的な姿で、その描き方も嫌みを深追いしていない。

旅のお伴にしたい「物語」を書く作家さん。

さ、次、「三の隣は五号室」を読もう!

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