突如やってくる学問
「生涯学習」という言葉はよく耳にしますが、今でも新鮮な気持ちで新しい情報を仕入れることはとても楽しいと感じます。一方、子供の頃に比べると学ぶことを余儀なくされるシーンはほとんどなくなっていると感じています。自分にとってそれはとても幸せなことなのですが、大人になっても余儀なくされている人から見たら、ちょっと腹立たしいことかもしれないですね。
そんなえんじろうが、ここ数週間、学習を余儀なくされる事態に陥っているんです。
楽譜浄書ソフト
えんじろうが現在販売している楽譜集や、レッスンで使用している楽譜などはすべて浄書ソフトというものを使って作っています。記譜ソフトとも呼ばれたりするようですが、とにかく楽譜を作ることに特化したソフトウェアのことを言います。
数ある浄書ソフトの中でえんじろうが使っているのは「Finale」というソフトでした。これは6万円近くするこうかな業務用といった感じのソフトなのですが、本来プレイヤーとしてのえんじろうは楽譜自体を必要としていません。だって視覚的にルーペを使って下から五線を数えてようやく1つの音程にたどり着けるなんてやり方では話になりません。なので結局暗譜してから演奏するというのが当たり前の話になっています。
このため、浄書ソフトはあくまで販売できる楽譜を作るにはどうしても必要だから仕方なくという理由で購入して使っていたという具合です。
Finale
はっきり言って「どうしてこんなものを覚えなきゃいけないんだよ」という思いが大半の状態でソフトをいじりだしたのが5・6年くらい前だったのではないでしょうか?
これがワープロならば、行を揃えて文字を書く。行の頭に句読点が来ないように調整するなど文字の書き方のルールを知っている状態で始めることになりますから、ソフトの設定などの項目も理解しやすいのです。
ところが楽譜の基本的なルールが分かりきっていないえんじろうの場合、知っている人なら当たり前で済ませられるような事がとりあえずわからないのです。自分が分からない状態で、そのわからないものを書くソフトを使ったところで分かるはずがないのです。
お箸の使いかたも分からないのに、食べるならこれを絶対に使いなさいと言われたようなものです。
戦いの日々
Finaleとの日々は、本気で格闘と言いたくなる内容でした。
まずは理想的な楽譜とは何かという情報を一生懸命集め、それからそれを楽譜ソフトで表現するにはどのようにしたらいいかを探すという工程を何度も何度も繰り返していました。
あまりにもイライラして「今日はもういい」と言って投げ出すこともしょっちゅうありました。
それでもそんな日々が数年と続いていくと、少しずつ慣れていくもので、今度は自分の楽譜の書き方のルールのようなものも見えてくるようになりました。というか、楽譜の書き方のルールが思っていたように絶対的なものでないことに、えんじろうはすごく驚かされたんですけどね。
時に励まし合いながら、切磋琢磨の末にと言うよりは、Finaleと拳と拳を交え合う中で距離が縮まっていったという感じだったのです。
ところがそんな関係に突然終止符が打たれました。
1年後にサポート終了
楽譜業界のデファクトスタンダードとして35年ほどの実績を持つこのソフトが、突然の販売終了を発表したのでした。ところで「デファクト」って何って思ったので調べてみると、事実上のという意味だそうです。
買っちゃった人にとって販売終了はまったくどうでもいい話なのですが、サポートとライセンス認証まで後1年で終了してしまうと言うのは捨て置けない話なのです。
実はこのソフト、インストール直後に「ライセンス認証」という手続きを行わないとまともに使える状態になりません。現在使える状態になっているものはそのまま使えますが、パソコンの不都合などで再セットアップをしなければならなくなったときには、もう復活できないのです。
購入して大事に使っていたオカリナが急に「サポート終了だからもう音は出しません」というようなものです。なんなんだよと言いたくなりませんか?
対策の希望
数多くの戦いの末、ようやく扱えるようになってきた自分にとって、この衝撃は大きなものでした。勇気を出して高額を支払って買い切っているのですから、その辺に対する配慮が欲しいところです。
昔持っていたパソコンゲームソフトの場合、運営がサポート終了を決めた際に「オフライン対応パッチ」というものがアップデートによって提供されました。この最終バージョンにアップデートすることにより、オフラインでも継続して遊び続けることができるというものです。1000回遊べるという売り文句のゲームソフトなだけに、サポート終了でもう遊べなくなってしまうのかと思っていたところに差し込んだ光明でした。
王者の責任
35年間もデファクトスタンダードという地位を思うままにしてきたのだからこそ、それなりのフィナーレを飾ってもらいたいと思うのは自然な話ではないでしょうか?
1年後のサポート終了がもうひっくり返ることのない絶対的な決定なのか?ライセンス認証が不要になるアップデートをしてくれるか?とても気になるところではあります。
代替ソフト
Finaleに替わるソフトとしてっ提案されているのがDORICOというソフトです。これまた高額なソフトなのですが、Finaleから乗り換えする人に限って格安で提供しますよと言う手を打って来ています。
そんなことを言われてしまっては、乗り換える前提で体験をしてみる必要が出てきますよね。まんまと罠にハマっているという感じではあるのですが、今月になってから体験版を入手していろいろいじってみているところです。
前はこうしていたことがどうすればできるのだろうかという場面に当たることが非常に多くて、ほんのちょっとのことで一歩前に進めないという場面の多いこと。歯がゆい・・・。
インストールから
なんかインストールしなきゃいけないものがものすごくたくさんあったので、最小限になるように本体だけをインストールしてみたら、音がまったく出ないのでやり直し。今度は大量のものを全てインストールしようとしたら、パソコンの容量不足。
そりゃ確かに最近のパソコンはどんどん高性能化してるよ。だからってその高性能パソコンが遅いと感じる程、いろいろ詰め込む必要はないんじゃないか?腑に落ちないことはたくさんあります。
ファイルサイズ
試しにFinaleで作っていた楽譜を変換して(これにも色々と障害があったのですが)DORICOとファイルサイズを比べてみました。なんと約十倍の分量になっています。曲の長さも音符の数も何も変わっていないのに、どうして十倍になるのでしょう?
頭の中がハテナだらけです。
体験入学
この学校ならきっとうまくやっていける。だから入学しよう。そういう流れが一番自然だと思うのですが、1カ月という体験入学の期間だけで、そこまではたどり着けない気がしています。
格安とは言っても数万円払うわけですから、やっぱり使えなかったという気持ちにはなりたくないのです。
残り半月でどこまで理解できるようになるのか?決断の時は迫ってきています。皆さんにとってみやすい楽譜を作れるようになるためにも、ここはなんとか頑張って覚えたいなと思っています。
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