ミュージカル『フランケンシュタイン』~こんな舞台を観ている①~

こんばんは、一保です。

劇場に足繁く通っているとトンデモ作品によく出会ってしまうのだけれども、【トンデモ】というのはWeblio辞書さんによると[現実や常識から逸脱した趣旨・内容、荒唐無稽な主張などを含むものを指す語]らしいのね。

先ほど、「よく出会う」と書いてしまったんだけど、よく出会ってしまっているならばそれはもはやトンデモ作品ではなく、実は私が【トンデモ人間】なの!?と不安になってしまう一粒万倍日の夜。

そんなこんなで、出会ってしまいすぎる”トンデモ作品”を突き放すのではなくトンデモ作品として楽しみ始めている自分もここにいる。

というわけで、2020年になってから観てきたものまだ3作品なんだけど、3本ともトンデモ作品だったの。今のところ、ハズレ無しでね。

その中でもミュージカル『フランケンシュタイン』はトンデモすぎて思わず2回観に行ってしまった。

というのは嘘で、本当はめちゃくちゃ期待して気合いを入れて先行予約で2回分ゲットしちゃっていました。初演時はチケットを取らずにいたら、SNSでやたら盛り上がっていて、じゃあ行ってみるかと思ったらチケットが全くなかったから、再演と聞いて今回は絶対観るぞって。それにここ数年で加藤和樹さんへの信頼度が爆上がりしていることもあり、つい。

まず1回目は柿澤ビクターと小西アンリのペアで拝見。

この世界観の嘘くささは一体・・・!?

名作ミュージカルの名場面っぽいものが次々と脈絡も無く目の前に現れ、大作感を漂わせている。が、実際は支離滅裂な物語ミュージカル『フランケンシュタイン』。

以下、あらすじ

19世紀初頭の欧州(どこの国かはわからなかったな・・・)

兵士を生き返らせる”生命創造”の研究に情熱を捧げているビクター・フランケンシュタイン(柿澤勇人/中川晃教)とビクターに戦場で助けられた軍医アンリ(加藤和樹/小西遼生)は、ビクターの熱い想いに胸を打たれ共に研究を始めるんだけれども、戦争が終わって軍からの出資が絶たれてしまいビクターの故郷へと帰っていく。

その故郷ではビクターは人々からあまり好かれていない模様。その理由が幼少期にビクターは母親を病気で亡くしたことから死体を生き返らせる研究をはじめて、犬を生き返らせることに成功した関係で悪魔の子だ~みたいな感じになってしまったかららしい(このあたり、ものすごく眠たくて観ていた2回とも意識朦朧としていたので、誰か詳しく教えて欲しい)

そんな中、研究を続けるビクターとアンリなんだけれども、戦場と違って研究材料の遺体がなかなか手に入らなくなって、ついには調達のためにビクターは犯罪を犯してしまっていた。(たぶん殺しだよね?)

アンリは”生命創造”への想いから、ビクターを救うためにその罪をかぶり斬首刑となる。(この時のナンバーはやたらと盛り上がりがあり、印象的)

ビクターはアンリの首を持ち出し、生き返らせることに成功(首だけもって帰ってきてたんだけど、首から下はどうしたの?誰の身体なの?)

しかし、生き返ったアンリは過去の記憶は持たない獣のような生物だった。

鈴木壮麻さん演じるゲイの執事が噛み殺され、ビクターはアンリに銃を向けるが、アンリは危険を感じどこかへ逃走してしまう。

アンリは逃走後、サーカスみたいなところで見世物として酷い扱いを受け、こんなことになったのはビクターのせいだと復讐をしに、幼馴染と結婚した幸せなビクターの元へと戻る。

アンリの考えた最高の復讐は、ビクターの命を直接奪うのではなくビクターの大切な人々の命を次々と奪い、最後は北極へとおびき出し(謎!?)

ビクターの足を攻撃し負傷させ、そしてビクターにアンリにとどめを刺させる。

そう、ビクターは北極という場所で足を負傷し動けないまま(しかも超薄着)、敵であるアンリさえも失い孤独を感じながらじわじわと命を奪われるという復讐を受けるのであった。。。(終)

こんなに真剣にあらすじ書くつもりなかったけど、自分の中でこの謎物語をまとめる作業にスイッチが入ってしまったわ。今後はこんなに詳細に観劇した作品のあらすじ書くことはしません宣言!

一度ちょっとネガティブなこと書いちゃうんだけれども、

これを読んだら、まあ、なんかそういう物語あるかもねって思っちゃうかもしれないけど、そうじゃないの!!!もっと登場人物もいるし、なんじゃいな?というナンバー沢山ちりばめられているの。特にアンリが逃亡後に虐げられるところとか主要キャストが別役として出てくるし超長い。

生命創造の装置もめちゃくちゃ、ちゃっちくて、研究室も研究してるようにはとても見えないし・・・ジキハイとかはなんか研究してる風味あるじゃない?大きな装置とかなくても。

さらに、最後の北極での戦いとかマジ意味わからない。北極ってそんな簡単にいける?しかも、北極のどこでとか待ち合わせせずに出会える??

ここまでが1回目の観劇の感想。

それからね、ちょこっとだけフランケンシュタインについて調べたの。

もう、2回目楽しむ気なんてその時はなかったから、ほんのちょっとだけ。

そしたら、フランケンシュタインの映画って同性愛的解釈をされているっていうのを読んだのね。道理に反する行為=生命創造=同性愛。

ふーんとしか思わなかったんだけど、いざ2回目の観劇日がやってきてしまったのね。

憂鬱な気持ちで2回目はちゃんと観ようと思って買ったS席に座ってしまったんだけど、開演直前にその同性愛説を思い出したの。

だから、同性愛の物語としてミュージカル『フランケンシュタイン』の2回目(柿澤勇人+加藤和樹)を観劇しました。

すると、見えてきた物語は

ビクターは本当の幸せを見つけるために手当たり次第の男と関係を持ちまくるが、どうしても本当の幸せを見つけることが出来ない。

そんな時に出逢ったのがアンリ。初めは同性であるビクターを愛するなんて!となるものの、日に日にビクターに心を奪われるアンリ。

自分の命を捧げられるほど、ビクターへ愛を募らせたアンリをついに開発し 同性愛者へと仕上げた!(差別的な視点ではないの。下品なだけです。)

しかし、同性愛者となったアンリが鈴木壮麻さん演じる執事の身体をむさぼり食う姿を目の当たりにしたビクターはアンリを突き放す!(執事はビクターの好みじゃなかったので嫌悪感を示したのでしょう)

ショックを受けたアンリはそのまま村を飛び出し街へ!!

町へ出たアンリは同性愛者として生きていくもひどい目に遭い続ける。そして、もう男以外欲しない身体に開発したビクターを恨み、再び彼のもとへ。

すると、なんとまあ幼馴染の女性と結婚しているわけじゃないですか、ビクターは。結局お前は女を選んだのかよ!!!と怒りと嫉妬に燃えたアンリはビクターを最上級に嬲って孤独を感じさせ、そして最期は彼を自分のもとから離れることは出来ぬよう仕向けて独り占めして死んでいくのであった。。。

こんな感じのドロドロ愛憎劇でした。2回目の後の感想。

自己中心的に男も女も手に入れていくビクターに柿澤さん、ぴったりすぎでしょう!ノンケ(!?)っぽいのけど男も食うよ。でも結婚は女体持ちとしちゃうよ~っていう無邪気にゲイの男を振り回す顔してる。

そして、開発されちゃったアンリは加藤和樹さんの方が、私は好きだった。言いなりになっちゃって、ビクターの色に染められていく姿。ギロチンの前で見せる加藤アンリの笑顔を観た瞬間、あなたはテレサ・テンなのか!?と。あんたが歌ってんの♪時の流れに身をまかせ なんですか!?と。

とにかく、あの意味不明な物語の穴埋めをするのには、この同性愛的観測は私にとってぴったりでした。いや、まだ足りなくてスカスカしてるとこあるけど、とりあえず納得はさせた。やたらと男同士顔近づける演出とか、執事がゲイなのも、この解釈をにおわせるためなのねと勝手に解釈。

ちなみにこれは元の韓国版もこんな感じなの!?と知りたくて仕方がなくなってきてる。今、この文章を書いているうちに。韓国版もそうなら、まあそれでもいいのかなって思うけど、そうじゃなかったら、この作品のこの同性愛的要素は演出家の方の趣向が入りすぎなのではないだろうか?

演出作品は今まで観てきてはいますが、演出家さんゲイなのかな?

それも実りのある恋を出来ていない、ノンケを追うタイプのゲイ。

好きにさせられたけど、結局女性のもとへと去っていく男を逆恨みして、自分と共に命を果てさせたい。しかも、孤独を感じさせながら。

というアンリに非常に心を寄せているねじれた恋愛遍歴の持ち主なんじゃないのかしらん?と勝手な予想。

ノンケへの復讐への想いを日生劇場で昇華させるなんてめちゃくちゃ贅沢なことしていらっしゃってうらやましいかぎりですが、それは”潤色”とは呼ばないで欲しい。”潤色”というのは小池修一郎先生のようなお仕事っぷりのことを言うのだと思うから。

あ、最後にもう一つ。柿澤さんが歌う時に何度か腰の前あたりで親指と人差し指で○を作っていたのに萌えました(下品でごめんなさい!!!)

疲れたから、今日はここまで。


ミュージカル『フランケンシュタイン』

2020年1月8日(水)~30日(木)
日生劇場
音楽:イ・ソンジュン
脚本/歌詞:ワン・ヨンボム

潤色/演出:板垣恭一
訳詞:森雪之丞
音楽監督:島健

ビクター・フランケンシュタイン/ジャック:中川晃教 柿澤勇人 
アンリ・デュプレ/怪物:加藤和樹 小西遼生 

ジュリア/カトリーヌ:音月 桂
ルンゲ/イゴール:鈴木壮麻
ステファン/フェルナンド:相島一之
エレン/エヴァ:露崎春女

朝隈濯朗 新井俊一 岩橋 大 宇部洋之 後藤晋彦
白石拓也 当銀大輔 丸山泰右 安福 毅
江見ひかる 門田奈菜 木村晶子 栗山絵美 水野貴以
宮田佳奈 望月ちほ 山田裕美子 吉井乃歌

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