見出し画像

CBDを語るうえで切り離せないCoAの話【その1:CoAの定義とその歴史】

Twitter上で@GixTanvという名前でADHDあるあるを適当につぶやいたり、CBN/CBGリキッドをメルカリECサイトで販売している株式会社ENFRIARTEのがっちゃんというものです。
商品情報やプレゼント企画等はこちらのアカウントで発信しています。

本記事はCBD部まさきさんに研究員として弊社にjoinしていただき、初めて執筆していただいた記事になります。
あれもこれもと詰め込んでいったら、とても長くなってしまったので3分割してます。

流れ

気になるところだけでもかいつまんで読んでいただきたく、以下に流れをまとめました!!
その1では、CoAについてまとめてみたいと考えるに至った背景や、CoAの定義、歴史についてまとめています。
その2では、アメリカのラボ(検査機関)が実際にサンプルとして公表しているCoAを例として実際のCoAの見方、我々の考える消費者が注目すべき点/事業者が注目すべき点についてまとめています。(CoAを見る際の参考になるので、ぜひ読んでいただきたいです)
その3では、アメリカにおけるCoAにかかわる制度これまでに起こった問題についてまとめています。
※参考文献はその3にまとめて記載しています。

1.導入

CBD業界にいる方にとって、切っても切り離せない関係であるCertificate of Analysis(以下、CoA)。
CBDユーザーの方でも、一度は見たことがある単語かと思います。
CoAはCBD業者の方にとって必ず必要な知識である一方、ユーザーの方はCoAを知らなくてもCBD製品を購入できるので、特に知る必要がないと思う方もいるかもしれません。
しかし、ユーザーにとってCoAは製品を購入する際の判断材料の1つです。
当記事では、CoAに焦点を当てます。

1-(1)当記事の目的

CoAについて基礎的な情報を調べ、CoAの見方やCBDユーザーが注目すべきポイントをまとめることでCoAについての認識を深めます。さらに、海外で起こった事例を参考に日本のCBD業界でCoAに関して起こりうる問題を考察します。これらの調査によってCoAを全く知らなかった方が学べるだけでなく、既に知っている方に新たな発見や考慮すべきことを提示し、ユーザーと業者間でのCoAに関する認識の齟齬を減らす一助となるような記事を目指します。

1-(2)背景

日々、CBD業界が着実に大きくなっていることを実感しています。
株式会社矢野経済研究所が2022年の8月に発表した調査によると、2022年の国内CBD製品市場規模は小売金額ベースで、前年比139.9%の259億3,600万円を見込むと発表しました。[1]
数年前に比べると製品の種類も増え、製品を購入する際に値段・含有量・使いやすさの他にも考えることが増えたかと思います。しかし、CoAを購入する際の判断材料に加えている人は少ないのではないかと考えました。記事制作者自身もついチェックすることなく購入してしまうことが多いです。
しかし、CoAはCBD原料・CBD製品に必ず存在するので、重要な判断材料の一つです。それにもかかわらず、CoAが購入の際に軽視されてしまうのは、単に知識と認識が不足していることやCoAへの信用性が低いことなどがあるのかと考えます。

CoAについて知識を深めることで、安全性・信頼性の高いCBD原料/製品を購入することができます。ユーザーの方々のCBDに対するリテラシーが高まれば、当然CBD業者の方々も製品検査により力を入れることになります。ユーザーと業者が安全性をより求めるようになれば、CoAが偽装されていたり何が入っているか不明瞭な粗悪品は市場から淘汰されるでしょう。

ユーザーがCoAについて知ることは、ユーザーの方々にとってプラスであることはもちろん、CBD業界にとってもプラスの影響があると考え、当記事を作成しようと考えました。


2.CoAとは

2-(1)定義

CoAとは、Certificate of Analysisの略称で、分析検査証明書品質証明書という意味です。
特定の商品が検査を受け、どのような結果であったかを証明する文書を指します。規制がある国へ輸出入する際に証明として作成される他、取引先の要件を満たしているか、消費者へ混入物がないことを証明するなどのために使用されます。食品、ワイン、化学薬品、医薬品等でもCoAは作成されるので、CBD業界の専門用語というわけではありません。
それでは、なぜCBDとCoAが切っても切り離せない関係なのでしょう?
それは、CBD原料/製品を輸入する際にCoAが必ず必要になってくるからです。ご存知の通り、日本ではTHCやHHCが規制されているため、CBD製品/原料を輸入する際に規制対象の成分が入っていないことを証明する必要があります。輸入についてどのように表記をされているか、厚生労働省が公表している輸入に関する情報を一部抜粋します。

・厚生労働省が行う「大麻」に該当するか否かについての回答は、あくまで提出された資料に基づいて行うものです。実際に輸入しようとするものが「大麻」に該当しないことを判断するものではありません。なお、厚生労働省に対し提出した資料については、実際に輸入を行う際、再度、税関又は厚生労働省に対し提出する必要が生じる場合があります。
・したがって、提出された資料に基づいて厚生労働省が「大麻に該当しない」と回答した場合であっても、輸入の際の税関若しくは厚生労働省の検査又は国内における検査で THC(テトラヒドロカンナビノール)が検出された場合等には、「大麻に該当する」ものを輸入したものとして大麻取締法に基づき処罰を受ける可能性があります。 
・「大麻」については輸出についても禁止されていることから、上記の検査で THC が検出された場合等には、相手国に返送することはできません。 

■成分分析書 
輸入しようとする CBD 製品のロット番号ごとの検査結果が記載された分析書・成分分析書には、以下の内容が記載されていることが必要です。 
・THC、CBD の分析結果
・分析日又は分析書作成日
・CBD 製品のロット番号等輸入する製品が特定できる番号
・分析機関の責任者又は分析実施者の署名及び肩書
・分析方法及び検出限界値(LOD;Limit of Detection)

[2]

抜粋内容から、CBD製品を輸入する際には、厚生労働省と税関の審査を通過する必要があることが分かります。厚生労働省が資料に基づき「大麻に該当しない」と判断した場合でも、税関が「大麻」であると判断する場合があり、CBD製品の輸入に遅れが生じる大きな原因の一因となっています。
また、THCやHHCが検出された場合は廃棄/没収されてしまうので、輸入元に返品等をすることができません。
成分分析書の詳細は、「3.CoAの見方」で後述いたします。

2-(2)歴史


WHO(世界保健期間)は、品質管理においてCoAを作成する重要性を様々な議会で推奨してきました。[3] どのような情報が必要であるかをモデル化されたのは2002年に行われた第36回WHO ExpertCommittee on Specifications for Pharmaceutical Preparations (WHO医薬品規格専門委員会)です。[4] その会議では、CoAに含まれるべき情報を以下のように設定しました。

(a) サンプルの登録番号
(b) 受領日
(c) サンプルを検査する検査機関の名称及び住所
(d) 検査を依頼した者の氏名及び住所
(e) 必要に応じて、試料の名称、説明及びバッチ番号
(f) 最初の製造者の氏名及び住所、また再包装/取引した者がいる場合には、その者の氏名及び住所
(g) サンプルを試験するために使用された規格書
(h)規定された限界値で実施したすべての試験結果(場合によって平均値及び標準偏差)
(i) サンプルが規格の範囲内であるか否かの結論
(j) 有効期限または再試験日(該当する場合)
(k) 試験が完了した日付(l) 検査室長またはその他の権限を有する者の署名

[4]

これらの情報を基準に、法規制などの必要に応じて情報を追加していく必要があります。
CoAの理念自体は2002年より前に存在し、初めてモデル化されてから20年ほどが経過していることが分かりました。

【その2:CoAの見方】へ続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?