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革の手縫いに使う道具

革小物や革鞄などを手縫いする際に欠かせない道具です。“目打ち”と呼ばれる道具で、英語では"Pricking iron"と呼ばれています。
世界の手縫い職人さんが使う道具ですが、昨今は趣味のレザークラフトツールとしても使われています。美しい縫い目を目指す人たちには、必要不可欠なモノです。縫い目に関しては、その他必要なコト、モノもありますけどね。

しかし、ニッチな道具...
手縫いでモノ作りをされる人ぐらいしか知らないですよね?  きっと。

革に縫い穴開ける、貫通させる道具ではなく、“マーキング”をするための道具で、目打ちで縫い穴をマーキングした後、また別の道具“菱錐”というモノを使用して、マーキングした箇所をひとつ、ひとつ、全て貫通させた後に手縫いします。

目打ちと言っても、数種類あり、主に“菱目打ち”と“ヨーロッパ目打ち”のどちらかを使用して手縫いされる方がほとんどです。私は現在“ヨーロッパ目打ち”を使用しています。縫い目に違いが出るのですが... 割愛しておきます。

先端の間隔(ピッチ)はたくさんの種類があり、財布など小物には、2.7、3.0、3.38、3.85mmなどが使われます。私は3.0と3.38mmを使用していて、日本製も持っていますが、今は海外製を使っています。
それぞれの先端の形状、角度が微妙に異なっています。作るモノのサイズ、厚みなどでも使い分けたり、理想の縫い目に仕上げるために使い分けたりします。

ピッチが小さければ縫う目が増えるので、なかなか縫い進まないなんて事も。。。


では、先ずはひとつ目、フランス製です。

目打ち01

こちらは、フランス老舗メーカーのブランシャール(Blanchard)社の製造しているヨーロッパ目打ちです。2本目と8本目、2本目はR部分などに使い、8本目は直線の部分に使用します。先端は仕上げられていなく、自分で研磨し、仕上げないといけない道具です。ちなみに、ブランシャール社の目打ちは、世界でもその名が轟いている高級メゾンの“エルメス(Hermès)”の職人様方も愛用されています。バーキン、ケリーバッグなどは手縫いという事です。


二つ目、中国製です。

目打ち02

中国のメーカー、アミーローク(Atelier Amy Roke)の目打ち、2本目と12本目。
フランス製と同じ3.38mmピッチですが、こちらは12本目を使用しています。
この目打ちを知ったときはビックリしましたが、先端が鏡面レベルまで完全に磨き上げられていて、もう何もする必要がない。デザイン、形状も理に叶ったバランスで使いやすいです。


三つ目、日本の目打ち。

目打ち03

こちらの日本製の目打ちは“火造り鍛造”で作られています。2本目と10本目です。日本でヨーロッパ目打ちを作っておられるのはこちらの岩田屋さんだけで、火造りで一つ一つ手仕事で製作されている受注生産品です。こちらも最終的に先端は自分で研磨して仕上げるようになっています。


過去は、道具をそれぞれの職人さんが好みの形状に仕上げる、仕上げは自分でするということが普通だったとか。現在は、仕上げられた目打ち、道具も増えていて、
ここ数年、ヨーロッパやアメリカよりも、中国、香港、台湾、韓国などのレザークラフトツールメーカーが増えている感じです。日本でも海外でも中国やアジアの精密に仕上げられた道具を使っている方も増えています。日本は、菱錐などを作られる方はいますが、プロツールは海外からの輸入品がほとんどですね。


最後に。

目打ち04

制作中に目打ちの影を見て... ひとり喜んで撮影する人です。(笑)

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