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「グリーンエネルギーチャレンジ47都道府県ラリー@佐賀県_佐賀県立九州陶磁文化館」

*写真は、ミュージアムショップで学芸課の藤原課長と。

 佐賀県でもうひとつ、忘れていけない日本を代表する「磁器」。
「磁器」という白く光沢のある焼き物は、ケイ酸とアルミニウムを主成分とする白色の粘土や、天然に産出する陶石を原料として、高温の還元炎で焼き上げて作られます。
この独特の原料(陶石)の産地は、九州の佐賀県で発見されたことから日本の焼き物が大きく発展したことを知り、その土地が育む特色を生かした陶磁文化について、「有田・肥前」を軸にお話を伺いたくて、佐賀県立九州陶磁文化館を訪問しました。

佐賀県立九州陶磁文化館

お話をうかがったのは、学芸員課長の藤原 友子(ふじわら ともこ)さん。

佐賀県でこの原料が採れることがわかったのが、17世紀初頭。そのころまで、実は磁器は主に大陸(中国)からの輸入にたよっていたそうです。朝鮮の陶工、金ヶ江三兵衛は、この原料を有田の泉山で発見したとされています。この発見により有田焼の産業化の基礎がうまれ、肥前陶磁の産業化だけでなく、日本の「陶磁文化」発展へと大きな影響をもたらしました。

*陶器の原料となる「泉山陶石」 
佐賀県立九州陶磁文化館所蔵 第1展示室「有田焼の歴史」より

有田焼などの陶磁器へのイメージとして、みなさんが持たれている印象は「白に華やかさ」ということが思い浮かぶかもしれません。ところが、初期はとてもシンプルな陶磁器でした。生活の中に溶け込むように意識された表現が多くあります。そして、江戸時代のものには作者の名前などの記載が無く、「願い」「希望」「祈り」「祝福」など、縁起を招くための福や寿など「吉祥文字」の銘(マーク)が多いそうです。そのため作者が不明な作品や器が多いことから、「この器はどの作者でしょうか。」という問い合わせが尽きないそうです。
藤原さんは、「焼き物をみれば、その時代が垣間見れます。陶磁器は熱を受けて非常に固くなることで丈夫になる点がポイントです。」とおっしゃいました。壊れにくくなり加熱などに加工方法により物質の性質が変わるため、焼き物そのものを見ると「すべて器自身が語ってくれる」・・・重要であり素敵な技術だと思いました。

*最も初期に製作された有田焼
染付花唐草文小皿 佐賀県立九州陶磁文化館所蔵 柴澤コレクション

このように磁器生産が日本ではじまり、この「白さ」「光沢」を活かした色鮮や華やかな模様や表現、形状応用の豊かさは、世界をも魅了する文化へと成長を遂げてゆきます。マイセンなどのヨーロッパ磁器なども、この肥前で培われた有田焼の影響を受けているそうです。有田町とドイツ連邦共和国マイセン市が「陶都」として交流を永く深めていることからも、その影響力を知ることが出来ます。また、江戸時代に長崎から世界中に輸出され世界各地で愛される陶磁器は、日本美術として浮世絵よりも早く西洋諸国に認められました。

色絵椿文皿(鍋島藩皿) 佐賀県立九州陶磁文化館所蔵 小荷田謙一氏寄贈
色絵唐獅子牡丹文十角皿(柿右衛門様式) 佐賀県重要文化財 佐賀県立九州陶磁文化館所蔵
色絵花鳥文六角壺(柿右衛門様式)佐賀県重要文化財 佐賀県立九州陶磁文化館所蔵
色絵菊花唐花花菱雲文菊花形鉢 佐賀県立九州陶磁文化館所蔵 柴田夫妻コレクション
染付花鳥紋VOC文字入大皿 有田町所蔵 蒲原コレクション

日本国内での陶磁の展開は、江戸時代が最も大きかったそうです。九州陶磁文化館では、この江戸時代の中でどのように生活の中で陶磁が活かされてきたのかを表す展示や、この日本陶磁に惹かれた方のコレクション「柴田夫妻コレクション(登録有形文化財)」約1,000点の常設展示で知ることが出来ます。

第1展示室「有田焼の歴史」より
第2展示室「柴田夫妻コレクション」より
第1展示室 「有田焼の歴史」より 有田町所蔵 蒲原コレクション

有田焼など肥前の陶磁は、「食」と非常につながりがあるといわれています。「食」を豊かな体験へと導く・・・季節の食材を活かすことを意識する創作視点には驚かされます。
また、肥前には様々な陶磁産地があります。もともとの技術は朝鮮半島から渡ってきましたが、この技術を日本でどのように使われるか(市場づくり)を考える事が大切であり、価値である・・・その意識が様々なスタイルを生み出す大きなきっかけとなっていることがわかります。
ちなみに陶磁の銘柄は、出荷する港の名前からも変わることがあったようです。江戸時代の伊万里焼は船による流通を行う際の港にちなんでおり、その多くの産地は有田でした。

豊かな自然環境の中で

唯一無二の日本初の磁器発祥の地として、自然、生活、産業という文化を国内外で育む大切さを改めて知った訪問でした。進化しながら世代を超えてゆくエネルギー(活力)を、佐賀県で知ることができました。

佐賀県立九州陶磁文化館のみなさま、学芸課 藤原課長 ありがとうございました。

佐賀県立九州陶磁文化館:https://saga-museum.jp/ceramic/

外務省 グローカル外交ネット:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/local/page24_001201.html

肥前やきもの圏:肥前やきもの圏|400年熟成観光地 (hizen400.jp)

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