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プロコフィエフ短編集

2017年の読書記録より。

局所的に話題になっていた『プロコフィエフ短編集』、わたしも読んでみました。ロシア革命の翌年、亡命ではないけれど、創作活動がしにくくなったのでちょっと祖国を離れてみようと、極東経由日本へ、そしてアメリカへ。その途上、身近にピアノを置けず、プロコフィエフの意識は小説を書くことに向かったらしい。アメリカに渡って、音楽活動を本格的に再開して、小説からは遠ざかり、結局そんなに沢山の作品は公表されなかったようだが、どの小説も不思議な風合いを持っている。未完の小説もあり、続きが読みたかったね。集まってファゴットを吹くのは背徳的??? 
プロコフィエフはずっと日記を書いていたらしいが、小説を書いていた時期の日記が合わせて収録されている。1918年5月31日、ウラジオストクから敦賀へ上陸、その後東京に出て、アメリカ行きのビザが下りるまでの2ヶ月で、京都に行き、大阪に行き、奈良に行き、東京に戻って横浜に移り、ピアノコンサートで3回演奏し、軽井沢に行き、戻ってからは大森に逗留し、箱根に行く。なんか忙しそうだ。合間に少し作曲、そして小説執筆。日記文に現れるプロコフィエフは、俗物的で、いつもお金のことでくよくよしている。革命の影響もあり、色々なところが音信不通で、母親のことを気に病んだり、自分自身も、アジアにいる知り合いへの手紙を預かってきていたり。ビザ発給手続きに必要な電信代を請求されて高さに驚いたり。小説も面白いが、その時代に外遊した人の体験記が興味深いよ。
マニアックではあるが、楽しい読書でした。

#プロコフィエフ #読書 #ロシア革命 #ファゴット

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