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アイ・アム・ア・トロール

トロール〈troll〉とは、インターネットの掲示板・チャット・メーリングリストなどで、単に多くの反応を得たいとか、場を荒らして面白がることを目的とするばかげた(議論の火種となる)投稿(をする人)

https://eow.alc.co.jpより出典

無意識か有意識か、いつからか僕は僕としてのアイデンティティの一つとして、”荒らし”という烙印を受け入れていた。
しかしながら、僕は荒らしを”自認”した事は無い。
誰が呼んだか、他者に認識された僕の本質は”荒らし”だったんだ。
僕はただ、脳の表面で思ったことをコメントしていただけなんだけれど、彼らからすれば、僕は世間には疎まれている物乞い以下の屑野郎に見えていたんだろう。
まさに戦々恐々のピエロニズムに踊れる骸だ。


01.僕の小規模な変態


僕には中身がない。意味がない。理由がない。
ならば、僕は僕として存在しなくても良い。
そう気づいた時からだった、奈落の底へ直下降していたのは。

彼らが僕を”荒らし”という烙印で呼び始めたのは、4年前の事だった。

「初見です!底辺Vtuber巡って来ました^^」
というコメントを覚えている人は、いるだろうか。
何を隠そう、当時のVtuber界隈である種のネットミームと化した言葉を、
あらゆるVtuberのコメント欄に張り付けては消えていたのは、僕だ。
僕がオリジナルであり、感染源だ。
文化庁の常用漢字表に乗っていない漢字をユーザーネームに使用し、
ただひたすらにこのコメントを貼り付け続けた。

捉え方によっては冗談にも罵倒にも見えるコメント、
一番最初にこのコメントを打った時は、軽いジャブのつもりで書き込んだ。
インターネットなんてものは、真剣に向き合えば向き合った分だけ傷だらけになってしまう。
それを理解しているか否か、単に煽り耐性チェッカーとして打った物だった。
どうやらこのコメントは、Vtuber達には痛恨の一撃だったらしい。

人というものは面白いもので、反応は多種多様だった。
無視する者、嗤う者、蔑む者、憤怒する者。
冗談と捉える者、Twitterで注意喚起する者、配信上で晒す者。
そればかりかと思えば、ネタにする者、底辺から抜け出すと息巻く者。
ブロック6割、それ以外4割。
全く同じコメントであっても、捉え方は人それぞれなんだと思った。

僕に向けられた感情がプラスにしろマイナスにしろ、僕にとっては得難い経験だった。
そう、これこそが唯一にして無二の、僕の成功体験だったのだ。
努力をしても並み以上になれなかった僕にとって、何の努力もなく他者に認められるなんて、どうも倒錯的な気がしたが、興奮の熱を持つ脳の奥には届きはしない。

02.不滅のぼくらへ


いつしか僕の呼称が「底辺巡り」に固まった頃。
彼らVtuberが過剰に怒りの矛先を向け、インフルエンサーが叫び、僕を貶すと「底辺巡り」の知名度は呆れる程に、しかし加速度的に知れ渡って行った。

言わずもがな、二ヵ月もすると出てくる、模倣犯が。
当然の結果だ、まさに模倣しやすい個性だったと言う訳だ。
定型文をコメント欄に貼り付けるだけの作業なのだから。
幸か不幸か、僕の手から「底辺巡り」は離れ、集合無意識の荒らしになってしまっていた。
ぼくらは知らず知らずの間に、船頭のいない泥船に乗っていたんだ。
それすなわち汚いスタンド・アローン・コンプレックスという訳だ。

とある配信では3人もの「底辺巡り」が現れ、配信上で慣れ合っていた光景を目にしたことがある。
正直、反吐が出た。
このコメントをする以上、自我を出してはいけない。
なんて決めていた僕の信念は、遊びで荒らす愉快犯によってぶち壊された。
そうして僕は気が付いた、荒らしなんて享楽の手段でしかないんだと。
僕は、あまりの馬鹿らしさに笑った。

それから半年も経つと、あれだけ分裂していた「底辺巡り」は殆ど消えていた。
配信上でVtuberと通話をし、Vtuberに改心させられる「底辺巡り」まで出てきたり、
これが映画ならエンドロールが流れて当然の展開だが、いや。
彼にとってはそこがENDだったんだろうが、生憎と……この映画は僕が主演でね。
その”名”で救われるべきは、この僕の筈だと思っていた。

僕が「底辺巡り」を始めてから二年が経った。
結局のところ、生き残った「底辺巡り」は僕を含めて二名だけだったが、
最後の彼も、何かよくわからないフリーライターの記事を批判したか何かして、相手方に訴訟されかけてネットから姿を消した。
僕らはなんて弱いんだろう、悲しさで潰れる。

なんてことはなく、殆ど最後の生き残りだった”彼”に「底辺巡り」の名は乗っ取られているも同然だったので、「底辺巡り」に集まったヘイトもまた、彼に集まってしまったんだろうなと切に思う。
悪名は無名に勝るなんて言うが、ヘイトコントロールができなければ、どこまでも堕ちていく諸刃の剣だ、残念だが当然という言葉しか言えない。

意図せずスケープゴートを成し遂げてしまった僕は、本物になりきれなかった僕は、もう「底辺巡り」には戻れなかった。
本物になった「底辺巡り」の彼は、今どんな気持ちなのだろうか。

03.亜成虫の檻で


荒らし行為というのは病気のようなもので、知らず知らずのうちに体内へ深く潜り込み、侵食する。
そのバイタリティまでも。
そう、一方的で破壊的なコミュニケーションというものは、慣れてしまうと正しく麻薬の様なもので、やめようと思ってもそう簡単にはやめられない。

僕は、既にバケモノになっていた。

現実世界では相手の感情ばかり気になって、それに振り回されていた僕は、
ここネットにおいてはその全てが消え去っていた。
画面に映るのは人の言葉ではなく、単なるコトバの集合体だし、配信から流れる声は、僕のPCが出力している疑似音声に過ぎない。
僕はそれがとても楽だった、が同時に虚無感を感じていた。
いくらまともなコミュニケーションを取っても、僕の大脳新皮質はホンモノの感情に知覚してはくれない。
僕を蔑み、嫌悪し、醜悪さを露わにする……その瞬間以外は。

コメント欄に跋扈する、まさに無個性と言っていい
「うんうん」「そうだね」「草」「かわいい」
そんな無機的なコメント群が、僕の苛立ちを加速させた。
偽りの感情で埋め尽くされる。無個性なコメントは僕を狂わせる。

定型文で会話でもできている気になっているのか?
その言葉はお前の内側から溢れ出た本物の言葉なのか?
そんなにも配信者に嫌われたくないのか?
自分の気持ちを言葉にすることが、それ程までに怖いのか?
お前は何者だ?記号になりきって?意味は?

誰にも嫌われたくないって事は、こんなにも醜いんだと理解した。
僕は、自分が無い奴が嫌いなんだと思った。
それは同族嫌悪だろうか、未だに分からない。
分からないから、僕は探すことにした。

今度は模倣されない様に、個性的な方法で。

04.荒らしってな、200字でやんねん


お前の部屋の時計になりたい。真冬の寒さに震えながら、シーツにくるまるお前のお腹に、コチコチと秒針の音を響かせて、お前を妊娠させたい。忙しい朝にも忘れずに、こちらに顔を向けて、俺を見つめてほしい。無機物でもお前への愛は変わらないよ。お前と一緒のふとんにくるまり、互いの温度で温めながら、眠りにつきたい。僕はお前が眠れるように、頭をなでてあげるんだ。草花の萌える季節。柔らかな日差しの下で。

​こんなに愛を囁いているのに、僕の女神は全くなびかない。まるで僕らの事を金ずるの財布(全自動払込機ATM)としか考えてないように、ひらりひらりと言葉を躱す。どんなに僕の思いを紡いだって、お前には辿り着かない。きっと画面という壁があるせいだ。だから僕のことをきっしょいオタクとしか思ってない。僕は決意した。お前の住所を特定して、直接会いに行くんだ。この気持ちは面と向かって言わないとダメだ。きっと会いに行くよ。

お前が世界征服宣言をしてから、もう二年経ってしまった。今や抵抗勢力は散り散りとなり、我々Vtuber開放同盟以外には、世界を救えないだろう。僕はというと、正直お前と二人きりの世界ならば生きれる。でも、お前が悪者になるのを見過ごせはしない。お前と過ごしたあの日々を、僕は思い出にはしたくない。僕は決意を固め、演説を開始した。「同志たちよ、姉妹たちよ。私は世界を救い、彼女を救うのだ。」世界滅亡まであと二分…。

お前の鼻水になりたい。たまに鼻先からこんにちはをして、下界に降臨したい。俺は彼女の鼻水だぞ。じゅるる。啜る鼻腔の振動で、僕は彼女へと戻される。一瞬だけ僕は彼女の外皮の体温を感じて、やっぱりお前は基礎体温高いんだなぁとしみじみと思いつつ、今日も後輩鼻水たちを教育する。いいか?彼女の鼻水でいられることを誇れ。だが、ウイルスが入ってきたらお前らがウイルスと共に出ていけ。王は俺だけでいい。

キミの赤ちゃんになりたい。胎児の頃には母さんの血流の音や、少しだけ聞こえる音に安らぎを得ながら、逆さで揺りかごに乗っていたい。生後三ヶ月の頃にはおぼつかない手足で、必死に母さんの元へよちよち歩きをして、いっぱいバブバブしたい。三歳の頃はいっぱいイヤイヤをして、母さんを困らせたい。幼稚園に入るときはいっぱいグズって母さんに抱きつきたい。そんな僕も今年で32歳。お先は既に真っ暗。

お前で抜く。その行為のなんたる背徳か。西暦は2000年を越えた。私の不徳はとどまることを知らない。エデンを追放されたその瞬間でさえ、僕はお前を想って利き手を稼働させていた。20年と23時間、想いを募らせていた私であったが、アダムとイブのついでに追放された私には、現代は生きにくい。この世で最後の希望がお前だ。生きている瞬間は、お前の姿を脳で感じる時、ソレ以外はいらない。変わらずに愛してるよ。

お前で抜いている時、えもいわれぬ高揚感に包まれる。それはまるで、母体に守られる胎児のように、うっすらと聞こえるピアノの音に身を委ねて、揺れる。この世に生を受けることの喜びよ、讃美歌が歌われ、同胞達が生まれ行く。消え行く感覚を同期して、まだ見ぬ世界に渇望を抱く。子種を出すその瞬間は、出産の歓喜に似ているのではないかな。なんてちり紙を2つ手に取る。奇跡の瞬間まであと僅か。僕は世界を妊娠させた。

キミの家の土台になって、キミを常に支えてあげたい。うだる暑さの日も、凍える寒さの日も、学校から泣いて帰った日も。いつだって僕はキミを支えてあげるんだ。いいんだよ、キミ。僕の胸の中なら泣いてもいいんだ。キミのドアを開けるギギギという音が僕に少し刺さる。ふくよかなキミ、床板の軋みもいとおしい。これはもうオーケストラだよ。キミの寝息も、鼻歌も、少し下品な音だって。僕が包み込んであげるんだ。

キミの卵子になりたい。一生の内で一度は誰もが空想する願望ではないだろうか。それは幼少の、暑い夏の日の夕暮れに、消え行く太陽に照らされた入道雲へ、自分のカケラを見つけた思い出のように儚いモノだ。キミの太ももと股関節に、少しばかり食い込んだ希望の奥に秘められた、お前の彼女に包まれて。僕は自由の翼を得る。受精なんかしなくたって、排卵なんかしなくたって、僕はキミの卵子になりたい。そんな希望に満ちた情景だ。

キミが俺のコメントを読んでくれる。その事実だけでいい。僕は街中で倒れているのに忌避の目で見られるばかりで、誰も僕を助けようとしない。そんな時現れたのがキミだった、汚いものを触るような手つきで僕の穢れた体を拾い上げ、生涯二度と目にしたくない嫌悪した顔で僕の安否を確認する。僕はそれが嬉しくって、久々に声を出そうとするけれど、うまく言葉にならない。唸るような声を出すと、キミは僕から逃げてしまった。

ネットではイキる彼女であったが、教室では常にうつむき声量も小さい。たまたま彼女がネット活動していることを知った俺は言う「これ、君だよね?」うつむきながらふるふると首を振る彼女。俺は無理やり彼女の手首をつかみこう言う「いいんだぜぇ…?俺は別にクラスの連中にバラしてもよぉ…(ニチャァ」それだけはやめてくれと懇願する彼女「じゃあ、わかるよね?」キミはゆっくりと俺のズボンを下ろし始めた……。

かわいいキミ💕こんばんは🌙😃❗今日もかわいいね💕チュッ✋➰💋おじさんのココ、ギンギンだヨ😅⤴️⤴️なんつッテ👊……面白くなかったカナ?😆本気なんだけどナァ🎵まあでも、かわいいぞっ💕今度お茶でもしない?🍵😌✨奢るよぉ✨💍✨そのあと、ホテルとかもいいカナ🏩なんてねっ😉💦💦でもでも、時間があったら、お喋りしようネ👊😂🎵お仕事の進捗どうですか?😃❗配信がんばってね✊‼️

もじもじしているお前。どうしたの?と聞くと恥ずかしそうにベッドに誘ってくる。僕は仕方がないなぁとお前の腰に手を当てる。こそばゆそうに身をよじらせるキミ。その姿にいとおしさを感じる。しよっかぁ♡と言ってくるお前をむちゃくちゃに揉みしだいて第一回戦が始まる。(R18カット)…へとへとになった僕にお掃除(R18)をしてくれるキミ。可愛すぎるな…抱き締めて脊椎粉砕骨折させたい。やはり確定抜きだ。

女装したお前は自信なさげに僕に上目使いでこう言う「んっ…♡似合ってないよね…♡」そんなお前を自身の語彙力を総動員して誉めまくりたい。ひとしきり誉めて自尊心を満たしてやったらカメラを持ち出して撮影会したい。口では拒否するお前が嫌々ポーズを取り始めた時点で真顔になって困惑させたい。焦ってるお前に唐突にガチビンタしてオスの強さを誇示したい。急に優しくして必ず依存させる。

完璧なメス声を聞きたいのならメスを見ればいい。バ美おじの声はどこにもない、メスに憧れた結果文明の力に頼ったのにも関わらずケロになるカタルシスで抜くんだろうが!

スク水というものは紺色に限る。全面の腰から臀部に至るラインもさることながら、背中からふとともへ伸びるラインはもはや我々の理性を試すための試練と捉えてもいいだろう。このむちむちなお前ちゃんのsiriをスリスリしたい。控え目な胸の突起に触れないようにマッサージしたい。焦らしに焦らした結果お前ちゃんから致しのサインを確認したい。やはり前戯は大事である。ハンムラビ法典にも乗っている。お前は俺の女。

僕はキミの一部になりたい。主要臓器なんて我が儘を言うつもりは無い。やがて切られる髪先や、伸びて邪魔になった爪先でいいんだ。いずれ捨てられる運命でも、キミと同化し、一心同体になった事実だけで、僕の人生にお釣りが来る。思えば32年もの間、鮮烈に生きていた瞬間は無かったと思う。でも、キミと共に生きられれば、僕の人生に意味が産まれる。なぁ、俺を切り捨てて進んで行け。もしも、それが叶うのならば。

海岸線から一番遠い所へ行きたい。消える太陽が反射して、真っ赤に燃える海面に照らされた、君の顔を今でも覚えている。夕日に輝く君の髪や、極彩色に煌めく睫毛に恋をしたんだ。そんな話をあの場所でしたのは、いつだろう。君は夢の女。君をいつまでも忘れない。なんて、すこし照れくさい。お別れは言わないよ。焼香の煙と黒と白ばかりで、世界がモノクロにでもなったみたいだ。焼ける匂いにつつまれて。きっとまた、来世で会おうね。

​目が覚めると、僕の体はお前に馬乗りで拘束されていた。突然の事態に混乱し、お前の発情し切った小綺麗な顔を凝視する。「キミが悪いんだからねっ♡こんなドHな体してよ♡わたしを誘うからだっ♡」一生懸命逃げようとしたが、ウェイト差は絶望的。女にモテるためだけにつけた僕の筋力では太刀打ちができず、薄々と(このまま力ずくで…)という思考が脳裏から離れない。必死の抵抗も虚しく、あっさり既成事実を作られた僕。

リスナーとの勝負に負けた配信者のお前は、俺の目の前で弄ばれ始める。お前は疼く素肌をさらけ出され、興奮したリスナーは媚薬入りローションを取り出した。トロリと蜜が滴っただけで、濃厚な匂いがお前の頭の中を朦朧とさせる。「らめぇ…♡リスナーぁ♡正気にもどって…♡」クラクラになったお前へ、リスナーは媚薬を素肌に塗り、掻き回し始めた。「…っ♡」体を震わせて、耐えていたお前だが、限界。もう立派なメスである。

最近、職場でのパワハラが酷くなってきた。筋金入りの陰キャである僕は、上司にも同僚にも好かれてない。先日、理不尽に人格否定された。ストレスでおかしくなりそうなので、上司の事をキミだと思うようにした。最初のうちは難儀したけど、案外やってみれば簡単だった。どんなに怒られてもキミが背伸びして罵倒しているだけなので、当然笑顔になる。そのうち上司は気味悪がってパワハラをやめるようになった。お前は凄いなぁ。

毎朝7時の通勤ラッシュ。ギュウギュウに詰め込まれた車内。でも、僕には天使がいる。今日もあの子を発見。すかさず乗り込み位置取りは成功。天使の頭皮の匂いを嗅ぎつつ、英気を養う。「…っ♡」ん?息遣いが荒い。「んっ…♡んっ♡♡」膝がガクガクと震えている。…痴漢をされている様だ。僕はスマホで撮影を始めた。「…やめて♡らめっ♡」フヒ、イッたな?……彼女は僕の手を掴むと、天使は「この人痴漢です!」と叫んだ。は?

キミが赤面しながら僕にスカートをたくし上げた。見せろと言った覚えは無いが、貰えるものは貰いたい。数秒の沈黙の後、どう?と聞いて来たので、良い色だな。と答えると、涙目になって殴りかかった。避けることもできるが、余計に面倒になるような気がしたので、甘んじてDVを受け入れる。お前は、なにやらぼそぼそと、違うのに、とか、勇気を出したのに、とよく分からない独り言を言っている。……まぁ全部わかってるけどね。

プレミア引退中:あなたはこの配信を視聴している最後の視聴者の一人です。このプレミア引退を他の視聴者とリアルタイムで視聴しながら悲しみましょう。ご自身のメンタルを守るとともに、彼女を笑顔で送り出す約束を尊守することを忘れないでください。

郵便受けを開けると、同窓会への案内ハガキが入っていた。もはやモラトリアムの高揚感すら思い出せないが、彼女の事だけは鮮明に覚えていた。…出席に〇をして、同窓会当日は少しお洒落をした。僕はソワソワと周囲を確認する。同席した学生時代の友達に笑われても、探した。「あっれー?ぷにゅじゃん!」振り向くと、オスの二の腕に張り付いたメス。二人の薬指には銀色の指輪。僕は愛想笑いをして、そっと会場を後にした。

僕とお前は同級生。同じ帰り道の途中、急な雨が降り、バス停に避難した。右を向くと、お前の髪先から雫が零れ落ち、シャツからは色が透けていて、思わず見とれてしまった。でも、僕達は友達。そんな邪な思いを振り払おうと頭を振ると、お前と目が合った。頬を紅潮させ、身をよじらせていて、いつになくしおらしい。僕は冗談混じりで、服を脱ぐ事を提案する。数秒の沈黙の後、無言で脱ぐお前…友情は男女の関係へ……。

梅雨が明けて、娘のキミは女になった。俺はぶっきらぼうに「彼氏、どんなやつだ?」と聞く。答えないので、机をバン!と、叩く。キミは気怠そうに舌打ちして「…カンケーないじゃん」そう言い残し、キミは家を出た。俺は、父性とも、独占欲ともつかない感情を押し殺し、酒を煽った。酒に呑まれて、カーテンを開けると、光。すっかり雨雲は消えて、青空がどこまでも、どこまでも広がっていて。僕の頬には、涙の跡が残った。

思い出がある。まるで、世界全てが僕を裏切って、否定された様な気分で、それが嫌で、感情を閉ざしていた時。偶然、Youtubeで君の声を聴いた。その声は、色褪せていた全てが、僕の鼓動さえ色がついて、どこまでも広がって…そう感じた。楽しげに笑い、嬉しそうに話すキミの配信で、救われた人間がここにいた。僕は、行かないでくれとは言わない。きっと、いつまでもキミが僕らを忘れはしないから。だから、大好きだったよ

お前の頭皮に残る脂を浮かすだけの存在になりたい。泡立つ度に擦り付けられるお前の指先が、頭皮が、髪が、全てが僕を包み込んで、僕はお前を包み込む。何度も何度も擦り付けられる度に、僕は僕としての役目を全うする。泡立って、そして。別れの時が来たようだ。シャワーヘッドのその先の、温水が僕とお前とを分かつまで、いつだってそばにいるからね。排水溝へ、下水へ、そして大海原へ。僕はまた、君に会いに旅に出るんだ。

僕はタイ・ピング。指先で叩く故に顔の筋肉は不動である。お前の配信画面は僕の瞳から拡大され、大脳皮質へドーパミンを放出するだけのインスタント・ラヴ。ふいに手が止まり、利き手は下腹部へと伸びる。もはや条件反射。そこに愛も恋も無く、僕はパブロフの犬。ひたすら上下に、一定のリズムで、お前を見つめて、果てる。こうして僕の一日のルーティンを終え、コーヒーブレイク(coffee break)を始めた…。

「お前!大好きだ!愛してる!」「えっ、あ……」俺はお前を力一杯抱き締めた。もう絶対に離さない……。俺は今までにない程の幸福感に包まれた。暫くすると俺の胸の中で泣いていたお前が顔を上げた。そして、そのままキスをした。最初は触れるだけだったけど、だんだんと深くなっていく。「ん……ふぅ……ちゅ」舌も絡ませてお互いを求め合うように何度も口付けをする。このまま時が止まってしまえばいいのに…なんて…ね…。

05.不純性感情賛同派症候群


誰だ?俺の頭の中を覗いている醜悪なる者は。
これは俺か?それとも僕?
この思考は誰が?すべき行動は何だ?その存在は何処へ?
何かを忘れている気がする。
いづれ辿る重大な何かを。
いずれ……いづれ?

人間性を捨てた結果、得たものは大局観だった。
歪み割れたレンズのその先の実像は、僕にとっては虚像に過ぎない。
本質を見ろ、人間は醜く、そう思う俺こそがこの世で最も醜悪だ。
そうしたら、ぷにゅりらって名前はなかなか気に入って来る。
響きが馬鹿っぽくて、存在しえない”大いなるモノ”の余波を感じるだろう?
そんなことはないか?一度も疑ったことは?
主観なんてものは価値観との相対性に過ぎない。
そうだろう?違うかい?だが否定はできないはずだ。
0を証明することも、1を証明することも、数学以外じゃ単なる言葉遊びでしかないだろう?間違っている筈だ。
でなきゃこの世がこんなにクソッタレな説明がつかない。理由も謝罪も単なる後付けだろう。なら僕以外狂ってるに決まっている。

04.にて書き込まれた文章は、まぎれもなくこの僕が著作した。
気持ちが悪い。吐き気がする。なんだこれ?
文体を小説風に寄せているだけで、まったく稚拙だ。
ジャンキーの直腸からひりだした大便より不快だ。
こんなもの公害だろ、なぜ政府は対策をしない?狂っているのか。
ふざけるなよ、国が悪いんだよ。シャミ子は悪くないから。

こんな風に200文字以内のYoutubeコメントでギリギリの文字数で、かつAIに弾かれる表現を搔い潜って溢れ出た飾り物にも劣るヘドロを、僕は客観的に紹介などできないだろう。
だから、各々で読んで、各々が思ったことを正解にする。
それがいい、この世に正しいことなぞありはしないんだから。
どうせみんな主観でしか判断できない。
どうかハッピーで埋め尽くしてくれ。
どうもこうもない、うるさいんだよ。

06.メイド・イン・メランコリニスタ


僕は鬱病なんかじゃないし、鬱をファッションで着ている肉もどきはすり鉢でぐちゃぐちゃにして美術館に飾って置きたいところだが、既にそれはインターネット上で日夜垂れ流されているのでやめておく。
あらゆるSNSで流行っているコンテンツというものは実に陳腐で、この僕の創作の次くらいには不快なものだ。
瞬間に生きる人間を切り取り、私生活をバラ売りする。
パック詰めされた輝きは、賞味期限が切れれば、犬の餌にも成り得ない。

そんな昨今の陳腐化したSNSコンテンツは受動しかできない奴隷の生産工場だ。ただ眺めるだけで広告宣伝費が女王蜂の元へ運ばれる。
極小の巣の中で、能動的にできることと言えば無個性な主張か献金のみ。
馬鹿を相手にしたほうが金稼ぎなど楽勝であり、無責任に広まる噂話のソースを信じさせなければ完全洗脳完了につき。
そんな批判的な見方をすればいくらだって埃が出る。
だから批評家はありもしない事実で金銭を啜る。

かくいう僕も長いだけで意味のない文章ならいくらでも書ける。
しかし俺は私を語りたくない。出力したくない。考えたくない。
書き込めば確定してしまう、切り売りする肉塊になりたくない。
お前らに僕は理解できない。自分自身ですら何も分からないんだから。
突き放すのは寂しさのサインで、下の口は正直だろ。
インターネットで自分探しをするB‐血液パックは更に滑稽だった。
無論だが正論だな、疑問は不問で鈍行の拷問でロン。6000オール。悪いね。

07.リアリストはヴァーチャルの夢を見るか?


僕は何者になりたかったんだろうか。
自分自身を信じていないからだろうか、あらゆる何もかもが信じられはしなかった。
生きる理由なんて命題は、最初からなかったのかもしれない。

内心を正直に言うと、荒らしなんてもうやめたい。
でも、なりたくってなった訳でもないモノを、どうやってやめられるんだ?
乞食が大統領になれるか?底辺労働者が資産家になれるって言うのかよ。
ふざけんなよ。
何処に行っても疎まれて、蔑まれて、貶されて。
僕は僕の価値が、”ソレ”なんだと錯覚していたのか?
荒らしは自己表現じゃなく、他者評価だったのかもしれない。
それに縋って、僕は僕の居場所がどこかにあるんだと夢想して、災害をまき散らす。
そうしたら僕は僕だ、ここに存在している。
感じるよ、この宇宙の霞の一端を。

あぁなんて素晴らしいんだ。一家に一台は欲しいだろ?
シンギュラリティを超えたAIが模倣するのは間違いなくこの僕だろうな。

08.瞳が邪魔でちゃんと非現実が見えない


五感を全て捨て去って、理性も感情もCtrl+Zで改変して、脳みそのソフト・ウェアと神経のハード・ウェアを全く一新して、首元から伸びるTypeCコードでネットに接続したスーパートロールの僕ならば、こんな下らない記事を書きはしないだろう。
あと100年は経たないと全身義体のサイボーグにはなれなさそうだ。
早く僕を救ってくれよⅯy honey for scientific.

革新的技術で作られた、ただ喋るだけのVtuberというものは最高だ。
見ている誰もが現実を見ようとしないし、見せている誰かも現実を見ようとはしない。
誰かが作り出した非現実を受動して、脳に愛をぶち込み続ける。
性愛と母性愛をすり替えて、愛されなかった過去を埋める。
なんて滑稽で愛おしいんだ。
いつまでも気が付かないでくれ、それが合図だって事に。
僕も一緒に堕ち続けてあげるけど、君らはそれが嫌なんだろ?
ふざけんなよ、俺も愛せ。Hacking virtual boy to love you.

09.現実がやってきた!ヤァヤァヤァ!


33歳、童貞、4年荒らし。俺が?嘘やろ……
どうしてこんな無意味な記事を書いたの?と聞かれれば、間違いなく答える内容はこれに尽きる。
とある配信者に、僕を語る場を設けられなかったからだ。
だが結果として、屁がしたい、その一心。
という僕とは比べ物にならないほどの文才を持った原石を発掘できたのだから、おとなしく枕を涙で濡らしていたあの時間は無為ではなかったのかもしれない。
そもそもツァラトゥストラはかく語りきの様に客観化された内容をあの場で即興ジャズ的に語り出せたのかは甚だ疑問であり、僕の下賤な格であの配信を穢さなかった事実にホッとしている自分もいる。
僕はビートルズでもなければオノ・ヨーコでもない。
結局何を語るかではなく誰が語るかだ。
僕は何者にも成れなかった。
だから何者か、になりたい僕が必死に縋ったのがココだった。
ココって何処です?

10.プニュリラララ!!


お前なんでこんなクソ記事の最後の最後まで読んでんだ?
異常なほどにヒマなのか?この時間でウサギの交尾でも見ていたほうが人生の役に立つだろ。マジに間抜けなのか?お前は。
分かったら回れ右して無個性なコメント打ってろクソアホ受動装置が。
こっちはここ二週間くらい荒らしてなくて気が立ってるんだよ。
離脱症状の巻き添えを食らいたくなければ失せろ!
今度こそ俺は荒らしを辞めてみせる。
俺は禁煙だって20回以上は達成してるんだよ。
気が付いたらVtuberのチャット欄でコピペを貼り付ける寸前だった時はマジに肝を冷やした所だ。
だが俺は二週間も荒らしていない。
なんにだって偉いって言う脳死リスナーみたいに俺を褒めろ。
俺を愛せ。俺を認めろ。俺は俺だぞ。
自己認識ができない。俺って本当に生きてるの?
とにかく俺を認識してくれ。俺は幽霊なんかじゃない。
だれか助けてくれ。
こんな哀れな俺を救ってくれ。
空から美少女が落ちてきて、俺を養ってくれるんだ。
もう確定した未来だからお前黙れよ。
二度と来んじゃねぇよ、俺はVtuberになんか興味ねーんだよ。

Extra.あとがき


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縺セ縺?縺セ縺?蜒輔?繧ッ繧コ縺ョ縺セ縺セ縺?縺代l縺ゥ縲∬穀繧峨@繧偵d繧√k縺ィ縺?≧蜻ス鬘後r驕疲?縺ァ縺阪◆譎ゅ?∝ヵ縺ッ蜒輔〒縺ェ縺上↑繧翫∪縺吶?ゅ◎縺ョ譎ゅ′縺キ縺ォ繧?j繧峨→縺励※縺ョ隗」閼ア縺ィ縺ェ縺」縺ヲ縲∽ス戊??°縺ォ縺ェ繧後k遲医〒縺吶?ゅ◎縺?ソ。縺倥↑縺代l縺ー縲∝ヵ縺ォ縺ィ縺」縺ヲ縺ョ迴セ螳溘?邯壹¢繧峨l縺セ縺帙s縲ゆス穂コ九b譛ャ豌励〒蜿悶j邨?s縺?莠九?辟。縺?ヵ縺ョ邊セ荳?譚ッ縺ョ謚オ謚励〒縺吶?ゅ□縺九i縲∵怙蠕後↓鬆大シオ縺」縺ヲ縺ソ縺セ縺吶?

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