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「どこまでも、さりげなく、、、。」 21

 札幌のいつも使うホテルの部屋に一人になったのは、すでに日が変わっていた。
忙しい一日だった、ずっとバタバタしていた。
そんな中で、私は気付いたことがあった。

 女が一人で子供を育てる不安、一人で子育てしながら生きて行く不安、、。

 母は大丈夫じゃなかったんじゃないだろうか、不安で、不安で。 シングルマザーとして、私を育てると決めて、誰の子かは、秘密にしようと決めて、、 必死に頑張って、、 。

 ぞっとするくらいに綺麗で妖艶な美女だから、 、だから、まさか、、、大丈夫じゃないなどとは見えなかった、、、美しい 外見ばかりが目立ってしまって、、、間違っても、悩んでいるようには見えなかったのかも、、。

母は、必死だったのでは、私を育てることに無我夢中だったのではないだろうか、自分に反発する娘を一人前にすることに。
心の内の寂しさや不安は、見えなかったのかも。
娘の私ですら気付かなかった。

  母は、優しい。
家事が大好きな女性。
娘に罵倒されても、黙って、悲しそうにしていただけ。

 母は、悲しくて、不安だったのかも。
それで、いつもいつも、男性がそばにいた。
不毛の愛と知りつつ。

母は、走るからと言った、きちんと食事するのよと。
それは母親らしい言葉で。

私が母に反発し始めた思春期の頃から、消えていた母親らしい言葉だった。

 一緒にパリに行こう、旅行のための買い物を一緒に行こうと言ったことは、母は本当に嬉しかったのかもしれない。
母は、本来の私の母親の姿を取り戻したのかもしれない。

 ごめんなさい、私はわかっているの、お母さんのお陰で苦労なく、今まで生きてこれたことを。

ありがたいって思ってる、本当に感謝してるから。
きちんと伝えたくても、言えないだけなの。

  一言、お母さん、いつもありがとうって伝えたら、母は、きっと、もっと元気になるように思ったけれど。

  深夜、1時をまわって。

トシから電話。

「いいか、少し、話したくて。 」

それが前置き。

 別れたいって言いたいのだろうと予想した。
引退するに違いない。
それは、私は賛成する。ずるずるいても、プロの世界は厳しいから。

「俺、ほんとは、春に引退するつもりだったんだ。  で、、叔父に話そうって。

その日、バーおたすけばあで君に出会ってさ。

 俺、ちょっと狂ったかな。

田舎に帰りたくなくなった。

田舎に君はいないだろ。

俺、、考えて、迷って、だけど、男だから、やっぱしな、生きてかなきゃ、生きるために働かなきゃ。

  俺、高校も大学も、野球だけだろ、この歳で社会に出ても、何にも出来ない。

で、オヤジの仕事、覚えて、それで生きていくしかないって。

 俺、、、君、理恵の事、好きだよ。好きで、好きで、、、、好きなんだ。」

   ・・・・ つづく ・・・・

嬉しい!! ありがとうございます!
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読むこと、書くこと、描くこと、弾くこと、綴ることが好きです。
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