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「どこまでも、さりげなく、、、。」 20

 私は、すでに17時近いと知ると、コンビニでサンドイッチと缶コーヒーを買い、運転しながら、お腹に流し込んだ。

 羽田で合流した 山田さんの奥さんは、特別嬉しそうでもなく、非常に緊張しているようで、

「あの、ご主人はお元気そうですよ。 今、車のラジオで、鈴木連の逮捕のニュース流れてましたよ。 あの、、夕食済ませましたか?」

奥さんは、お腹はすかないと言い。

「私、妻失格ですね。 椿さんから電話があった時に気付くべきだったのに。
夫からのメッセージだったんです、きっと。 私、鈍いですね。」

「いいえ、誰でも動転しますよ。
でも、思い出して下さった。
それで、このように、みつけられて、アイツを逮捕も出来たのですから。
でも素敵です。ダイアリー。
スケッチブックのダイアリーも、絵葉書のダイアリーも。
とっても、素敵です。」

混雑した空港の中を二人並んで歩きながら、奥さんは、少し、びっくりする事を口にした。

「私、帰ってこなくてもいいって、ちょっと思ってました。

 ずっと、連絡もしてこないで、、生活も私の収入だけで、、それに、子供、できないんです。

 私には問題なくて、彼に頼んで病院に一緒に行って、、彼は無理みたいなんです。

 子供はできない。

私、、少しかな、もっとかな、、もう、帰ってきたくないんだったら、帰ってこなくてもいいって、、思って、、」

私は、なんと言えばよいのか、困ってしまった。 子供がほしくてもできない夫婦もあるのだと、

「あの、、私、まだ、未婚なので、、よく、わかりませんが、、それって、罪にはならないと思いますよ。

あの~、奥さんは、しっかりと頑張ってこられたんです。
魔が差すって、誰でもあるんじゃないでしょうか。
もう別れたい、もう、あんな人なんて、、そういう風に思ってしまうのって、口に出すか出さないかで、みんな、あるんじゃないでしょうか?  

それって、男も女もあると思いますよ。
奥さん、ご主人には、それ、言わないほうがいいと思います。

奥さんは、真面目なんですよ。
一生懸命働いてきて、あのー、つまり、ご主人の才能を信じていた、だけじゃないですよね、、ご主人を愛していたんです、きっと。」

山田さんの奥さんは、ありがとうございます、あなたは優しい人ですねと。

優しいかな?  人間の気持ちは、いつも同じじゃないと思うだけで。

   ・・・・ つづく ・・・・

ありがとうございます。嬉しいです!
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読むこと、書くこと、描くこと、弾くこと、綴ることが好きです。
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