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生まれ持った汚さというハンデ

声が汚い!! 

これは生まれ持った資質なのかそれとも育ちなのか。如何ともしがたい歪なコンプレックスが自分を襲う。

ひょっとしてこの声が人に不快感を与えていたのではないか?
変な圧をかけていたのではないか?

そういった思いが胸中を支配して渦を巻きノドを詰まらせた。吃音ではないのに言葉が閊えて出てこない。

コンビニで温めて欲しいという希望すら言えない。首でのみの意思表示をする。

これに気づいたのは学校で行われたディベートの録音。自分は柔らかく話していたつもりだったが聞こえる声はカクツキが強く固く冷血極まるものだった。

勿論自分の声が自身で聞こえているものと違うのは重々分かっていたが、ここまで差異があるのかという衝撃。
その日からなるだけ口を利かずに身振り手振りで意思表示をするようになった。


幼くしてニコニコ動画に狂ったように貼りつき、最終兵器俺達さんや神殿花鳥さん



に憧れていつかゲーム実況をやってみたいと思っていた自分にとってこの事実は夢(というと大袈裟だが)をあきらめるには十分な理由だった。


ボイチェンとの出会い

ゲーム実況から数年が過ぎ去りヴァーチャルユーチューバーが各プラットフォームを席巻しはじめたころ、謎の単語に出会った

バ美肉


なんと声を変えることが出来るツールがあるという話。自分じゃない存在になればひょっとしたらゲーム実況、というかネットで声出し活動が出来るのではないか? という淡い期待が生まれる2019年の暮れ。進学かどうかというタイミングで情熱が再燃してしまい人生の迷走がはじまる。

そして恋声というツールを触り.....うんまあ別人ではあるよね? 喋り方とかは完全に自分だけど。

あと200%だと鈴の鳴る感じはあるけど別に可愛くはないよね? 機械音だよね?

で、自然に聞こえるといわれる補正まですると。はいおじさん!!

まあ低いんです。ガラガラ声なんです。全然ダメお話しにならない。
それと生来のぶっきらぼうな喋り方がすべてを台無しにしてしまっています。
合うボイチェンがあるはずと思いいくつか試してみるも結果は大体同じでした。

バ美声ー若干マシだけど抑圧が強い。ノイズが残る

クラウンフィッシュー和声ボイチェンにある柔らかくなる感じが無い

結局1番量産型っぽく声が変わったバ美声を使って活動をすることにしました。

人は内面ってそういう意味だっけ? 喋り方と声のトーンがすべてなんだね。
とまた挫折するかどうかのタイミングでいよいよ勉強に本腰を入れなければいけないという状況となり。10か月ほど配信をお休みすることになりました。


復帰

そんなこんなで生活が変わり、今年の4月から復帰しました。

変わったこととしてボイチェンを諦めることにしました。理由はとくにありません。強いてあげるなら音質の問題です。安価なマイクとなんのプラグインも使っていない配信環境ならデバフは少ない方がいいだろうということです。

その際にVのお友達に相談して。

ボク「声変わったかな?」

お友達「少し低くなった気がするけど大丈夫じゃない?」

という言葉を信じてとりあえずの再開となりました。結局のところ女の子にはならなかったので免罪符というか、自分を慰めるための冠詞として

ドブ声おじさん

という自分で考えた蔑称を名乗ることにしました。
これを名乗るのは自分の中で非常に強い心の支えとなりました。

自分は汚くて濁っているんだからって先に言っておけば過度な期待を持たれることはない。

アバターがなまじキレイ(同じママの姉妹たちのお声もめちめちキレイ)な分逆転現象が起きるのを恐れた結果でした。




普段の冷たくぶっきらぼうな喋り方を抑えて、なるべく柔らかく聞こえやすいトーンで話すように気を付けました。

人を傷つけないように不安にならないように細心の注意を払う………とまではいかないんですけど実況しても大丈夫な声を意識して出すようになりました。


コラボ配信


休止前はなるべくたくさんの人と喋ろうと思って出来もしないのに沢山発言をしていましたが、やめました。

どうあっても自分の声への不信感がぬぐえないのでいくつかのルールを自分に課しました。

1.出来るだけ他の人が発言できるようにする

2.コラボ相手のリスナーはコラボ相手のリスナー。こちらを見に来てはいない。

3.2~3人の場合はつなぎ役に4人以上の場合は相槌に徹する

4.協力ゲームをやる際は意見は簡潔に、可能なら2フレーズ以内に収める

他の配信者の邪魔をせずに出来るだけ黒子役に徹する。

他の配信者さんは非常にいい声、楽しいトークスキル、素晴らしい野心を持っていることが多く変に絡んで機嫌を損ねないように、やる気を削がないように細心の注意を払います。

ここまでして自分の負の面はようやく鳴りを潜めるんじゃないかと思っています。
ああ輝かしき配信者の世界、その眩さに目がくらまないよう体が焼かれないように自分を律する日々です。


願わくばどんな声からでも好きな声優さんのお声に変換できるアプリケーションが出来ますように。

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