見出し画像

「ぴりーこぱんのたんじょうび」①

 1:ぴりーこぱんの、おさそい

 あんこちゃんは、今日も自分のへやでお絵かきをしていた。今日書いているのは、ぴりーこぱんたちとあそんでる絵。あの楽しかったたからもののような思い出の絵。

「あんこちゃんがあいたいとおもってくれたら、またすぐあえる」

ぴりーこぱんが時計の中に帰っていく時に言ってたことばを、しんじてずっとまってるから。
「ぴりーこぱん、わたしずっと、会いたいと思ってるよ。早く会いに来てよ」
あんこちゃんはそうつぶやくと、あの歌を歌いだした。

 ぴりーこぱんにあえるのは しらないよ しらないよ

 なんじにくるのか なんじになるのか わからない わからない

この歌はおわかれしたあの日から、何度も歌っている。だけど、ぴりーこぱんが時計からとび出してくることはなかった。

「あんこちゃん、ひさしぶり!」

 時計を見つめていたあんこちゃんは、思わぬところから声をかけられて、とび上がった。
「えっぴりーこぱん?どこにいるの?」
「こっち、こっち、あんこちゃん」
ふり向くと、へやにあるかがみが、七色の光をあわく放っている。声はその中から聞こえていた。でもかがみをのぞいてみても自分のすがたがうつるだけで、ぴりーこぱんのすがたは見えない。
「ぴりーこぱん、本当にそこにいるの?見えないよ」
あんこちゃんが言うと、ぴりーこぱんはこんなことを言い出した。
「今日はね、あんこちゃんをよびに来たの。ぴりーこぱんの国に、いっしょに行こう」
とつぜんだけど、とってもうれしいおさそい。ぴりーこぱんの国ってどんなとこなんだろう?ハートちゃんとキャンディチーズくんにも会えるかな?あんこちゃんの心はおどりあがった。
でも、それといっしょにふあんな気持ちも出てきた。自分が時計の中に入っていくところを思いうかべようとしたけれど、うまくいかなかったから。
「時計の中に入らないといけないんだよね?わたしも行けるの?」
あんこちゃんは、ねんのためたしかめることにした。ぴりーこぱんは、自分に出来ることがあんこちゃんには出来ないってことをすぐわすれちゃうんだもん。
ぴりーこぱんはあっさりと言った。
「うん、いけるよ。あんこちゃんがとけいにはいるのはむずかしいとおもったから、きょうはこっちからきたの。まずはかがみのなかにはいってきて」
よかった、今回は、だいじょうぶだったみたい。あんこちゃんは、かがみの中にそっと手をさし入れてみた。手は何にもさえぎられずに、かがみをつきぬけて中へと入った。これなら入れそう。
あんこちゃんは、思い切って中にとびこんだ。

 かがみの中は、うすぐらくて、何もなかった。小さなへやの中のようにも見えるけど、かべはどこにも見あたらなくて、おわりのない広さがあるようにも感じられた。少しおくの方に、なつかしいハンバーガーのシルエットが見えた。ぴりーこぱんだ。あんこちゃんはかけよった。
「ぴりーこぱん、ひさしぶり!」
「あんこちゃん、よくきたね」
「よく来たねって・・・まさかここがぴりーこぱんの国なの?」
こんな何もないところが国なの?ハートちゃんとキャンディチーズくんはどこに行ってしまったんだろう?あんこちゃんは一気に元気がしぼんでしまった。
ぴりーこぱんがわらった。
「ちがうよ、あんこちゃん。ここはワープゾーン。ここをとおって、ぴりーこぱんのくににいくんだよ」
「よかったー!くらくてこわいんだもん、ここ」
あんこちゃんはホッとして言った。
「でぐちはこっちだよ」
ぴりーこぱんについていくと、七色の丸い光が見えた。
「とおるときは、『ぴりーこぱんのくに』ってかんがえながらとおりぬけるんだよ。ちがうことをかんがえてると、ちがうばしょへつながっちゃうからね」
ぴりーこぱんが言った。
「えー、なんだかドキドキするなあ。ぴりーこぱんの国には行ったことないから、うまくイメージできないよ」
あんこちゃんが言うと、
「そうだ!ハートちゃんのことをかんがえながらとおれば、ハートちゃんのいるところにつながるよ」
ぴりーこぱんが、アドバイスをくれた。
「ありがとう!それなら出来そうだよ」
「よーし、じゃあ、しゅっぱつしよう」
ぴりーこぱんは、光の中に入っていった。あんこちゃんもそれにつづく。あんこちゃんは、歩きながらハートちゃんのことを考えた。
(ハートちゃん、元気かなあ?キャンディチーズくんとあそんでるのかな?本当に、絵の中からわたしのことを見 
ててくれたかな?・・・・)

光の色がかわって、あんこちゃんはまっ白な光につつまれた。

よろしければ、サポートをお願いします!とても励みになります。サポートいただいた分で、絵本の出版などが実現出来たらと思っています。