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「納得感」を高める人事評価は、仕組みより先に意識変化とコミュニケーション

先日、親戚の広告デザイン事務所を事業承継した
友人から相談がありました。
デザイナーのアシスタント職で優秀な社員から、
評価・給与に関して不満が出ていて退職しそう。
辞められては困る!すぐに対応しなくてはと
24時過ぎに焦って連絡をしてきました。

内容をまとめると以下の通りです。

・デザイナー(上司)からは業務指示だけ
 普段の仕事も見てくれず、評価も適当。
・自分はデザイナーを目指してない、
 アシスタント職でキャリアを積みたい
・目指すキャリアステップを会社が示してくれない
・このままなら退職したい。

友人はアシスタント職の明確なキャリアプランと、
見合った報酬制度を整備したいので
手伝って欲しいとのことでした。
この場合、どうすれば不満を解消して
活き活きと働いてもらえるでしょうか?

人事制度は会社から社員へ大事なメッセージ

確かに友人の言うとおり、デザイナー以外の
キャリアステップのプランもあると良いですよね。
(いわゆる複線人事というやつです)

友人は8月に事業承継し社長になったばかりです。
人事制度は会社から社員へ
「こういう人になってください」
という社員へのとても大事なというメッセージ。
だからこそ、十分に会社のpurposeやVisionを
考え抜いて、それにあわせて作るべきものです。
代替わりしたばかりの経営者が焦って
作るべきではありません。
また、人事制度をコロコロと変えている会社は
社員からの信用度を著しく失うケースが多いです。
(当たり前ですよね)

クリエイターであると同時に中間管理職!

辞めては困るアシスタントの不満を
解消するためには何が必要でしょうか?
「デザイナー(上司)からは業務指示だけ
普段の仕事も見てくれず、評価も適当。」
というコメントから、上司の評価に対する
納得感が低いことが理解できます。

デザイナーという専門職(職人さん)の中には
よい作品を創ることが何よりも大事で、
それ以外を軽んじる方が一定数いらっしゃいます。
(私見ですが、かなり多いような・・・)
これはクリエイターに限ったことではなく
売れている営業のプレイングマネジャーも、
メーカーの熟練エンジニアにも多いです。

職人さんであると同時に、
組織のマネジャーでもあります。
マネジャーの重要な役割には
「人材育成」が必ず含まれます。
まずは、自分が組織のマネジャーであり、
人を育て、組織を成長させていく役割がある
ということを再認識する必要があります。

但し、職人の世界では未だに
「俺の背中を見て育て」的な美徳が
存在していることがあります。
自分がそうやって育てられてきたので、
それが人材育成の成功パターンだと思っています。
これは終身雇用を前提とした時代の名残です。
「10年経って一人前」という価値観は
現代では通じません。
10年経たないと一人前に育てられない会社には
これだけテクノロジー進化が激しい中で
誰も入社しません。
(10年経ったら、その職業がなくなるかも)

効率的に人を育てることは、
会社にとってもプラスでしかありません。
いまは、お寿司屋さんになるにも下積みをしないで
学校に通って学び、そのまま起業する時代です。

意識だけでは実践されない

デザイナー(上司)の意識が変われば、
すぐに社員が活き活きと働く職場になるのか?
結論、意識だけでは具体的な効果は出てきません。
マネジメントのテクニックとして様々なスキルが
必要にはなりますが、最初にすべきことは
コミュニケーションの仕組みを設計することです。
(ここで初めて仕組みを変えていきます)

多くの企業で目標管理制度(MBO)が
導入されていますが、ほとんどの企業で実施して
いるコミュニケーションは以下の3回だけです。
1:期初に目標設定面談
2:上期終了後に中間面談
3:期末・期初に結果のフィードバック

これだけでは全く足りません!
最低でも月に1回は評価に対して、
話し合う時間を作るべきです。
月に1回でも少なく、週に1回が理想です。
評価に関しては出来る限りタイムリーに
フィードバックを行い
「成長した点」
「もう少し頑張らなくてはならない点」
の2つを話し合う「場」を作ってください。

このお話をすると、多くのマネジャーの方は
普段話しているから問題ないと言われます。
1対1、会議室等のプライベートが守れる空間で
30分から1時間程度、話し合う場を
普段の業務とは別に作ることが重要です。

納得感を高める人事評価のまとめ

評価の納得感を高めるためには
1:評価者の「人を育てる」役割認識を高める
2:毎月、話し合う「場」を仕組みとして作る
この2点がとても有効です。
すぐに人事制度を変えることを考えるのではなく
基本的な考え方と、支える仕組みづくりに
取り組みましょう。

評価の細かなテクニックについては、
また別の機会に書きますが
今回書いた2点がない状態では、
何をしても次から次へ不満が出ます。
すぐに成果を実感できるものなので、
是非実践してみてください。

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