I quit. 大転職時代に必要な3つの発想
アメリカ労働省の統計によると、2021年7月の退職者数は約700万人と過去最大級だったそうです。理由は、コロナ禍を経て、家族との時間、在宅勤務による自由な働き方を求めてより多くの人が転職を考えているためです。
昨年のハーバード・ビジネス・レビューに「誰が大退職時代 (The Great Resignation)を駆り立てるのか?」という記事が出たように、世界中で転職により自分に合った仕事に軸足を移していく流れが加速しています。
もう1つ面白いデータがあります。
転職による人材の流動化が活性化されることで、企業や個人の生産性やイノベーション力が高まるというものです。
日本では、教育訓練と呼ばれるような離職後の再教育を受けた労働者の数(横軸)と、時間あたりの生産性(縦軸)を見てみると、再教育を受けた割合が高いほど、生産性が高くなっている傾向があることが分かります。
以前ご紹介した北欧デンマークの事例では、企業が簡単に解雇できる代わりに、従業員は質の高い再教育が受けられる社会モデル(Flexicurity)により高い生産性と幸福度を実現していることを書きました。
日本にも遅れながらも、波は来ています。
フリーランスの台頭、副業の推進、若手の転職、企業が選ばれる会社になるためのカルチャー変革など。
I quit.(わたしは辞めた)の流れが加速していく社会において、企業としてはどう優秀な社員を魅きつけるか、個人としてはいかにして自分らしい働き方と仕事を手に入れるか、これまでとは違ったチャレンジがあるはずです。
米国の年収1,500万円の投資銀行をやめて、個人投資家向けの金融知識を提供する教育事業を始めたチャンさんの動画は、約170万回再生されています。
この動画のなかで、馬車車のように働く毎日のなかで学んだ3つのことがあったと紹介されています。それが次の3つの問いにまとめて、わたしなりにご紹介したいと思います。
「あなたは何のために働いている?」
「あなたにとって充分な幸せはなんだろう?」
「あなたはエゴイスティックになっていないか?」
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大転職時代といっても個人として、今すぐに仕事をやめることが正解ということではなく、チャンさんの3つの学びのように、忙しさや目の前の生産性から一歩引いてみて、大切にしたいことを考えてみる、そんな小さな一歩を始めることが大切だと感じています。
そこから自分に合う、自分のパーパス(目的やビジョン)に合う仕事に軸足を移すことで、長期的にはより生産的で、北欧ように幸福度の高い暮らしを送るきっかけになるのではないでしょうか。
PHOTO:フィンランドのラップランド地方で撮影