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リモートワークは日系企業の働き方を180度変えるポテンシャルを秘めている

コロナウイルスの感染拡大に伴い、在宅勤務をしている方々とインサイトリサーチ(機会発見)を行なっています。ウィズコロナまたはアフターコロナで働き方に対する価値観の変化などを探り、新規事業のタネを発見する事を目的として、実施しています。

友人や知人に話を聞いていくと、リモートワークを余裕で生産的にこなしている人と、一方、全然対応できていない、という両極端な人や組織がある事が分かってきました。

本記事では、どんな人や組織がリモートワークを成功させているのか、あるいは、どんな人や組織がリモートワークに躓きやすいのか、という学びを、共有していきます。ヒアリング本来の目的ではなく、副産物に得られた部分です。

インタビューをしながら、これは私も行動を変えなきゃヤバいと、危機感を覚えたタイプなので、できる限り、今すぐ改善できるポイントについて書いていこうと思います。

※大規模サンプルから得られた客観的事実という見方ではなく、あくまでも少数のサンプルに基づく洞察です。

サマリー

インタビューから得られた、リモートワークを上手くやれていると考えている人と、リモートワークに苦戦していると考えている人の特徴の違いを分析してみます。

企業や個人ごとに全く状況は異なることを前提として、分かりやすさを重視して、横軸に「コミュニケーション文化」、縦軸に「評価される人物像」という軸で整理しました。

一般に(もちろん企業による)、Role&Responsibilityをカチッと定義して、個人の意見をはっきりと述べる欧米風タイプと、曖昧さを残しつつ、ジェネラリストを養成して、集団として仕事をする日本風タイプに分けてみます。

どちらが良い、悪いということはないと思いますが、リモートワークに関しての相性としては、1人1人の役割と責任、主張がはっきりしている個人や組織文化が対応しやすいという気付きがありました。

リモートワークが快適、やりやすいと思う人の特徴としては、

・1人1人の役割と責任が明確であること
・自分が考えていることをはっきりと伝えることに抵抗がないこと
・組織文化として、はっきりと主張する心理的安全性があること
・スペシャリストが評価されること(得意分野が明確)
・成果物が明確に定義されていること

などがありました。

一方、リモートワークがやりにくいなと感じている人の特徴として、

・複数人数で役割と責任を共有する
・上司と部下でコミュニケーションに遠慮があること
・空気を読むことが重視される
・ジェネラリストが評価されること
・成果物が曖昧で明確に定義しにくいこと

とほとんど反対の性質に整理することができます。

多くの人は、リモートワークをしやすい性質と、しにくい性質のどちらも、持っているのではないでしょうか。

3つのポイントについて、リモートワーク強者からの学びを参考にしていきます。

暗黙の了解→全て可視化**

前提として、リモートワークでは、同じオフィスにいた時と違い、全く異なる環境(1人暮らし/家族/子連れ/保育園休み/都会/郊外など)にいます。相手の状況を理解(共感)することが難しい状況です。

空気が読める、阿吽の呼吸といった日本人が強みとする性質は、リモートワークとの相性が悪いようです。一方、リモートワークが得意な人は、お互いの主張を遠慮せず伝え、かつ、見える形(チャット、資料、会議での発言)などを積極的にしていました。ミーティングの回数も頻繁で、朝と夕方など、こまめにコミュニケーションを取っていました。

何でも屋→役割と責任の明確化

総合職採用が存在しているように、多くの企業ではジェネラリストが評価される傾向があると思います。ジェネラリストが複数人数で、お互いを補完し合いながら仕事を進める事がリモートワークではなかなか難しいようでした。スペシャリストとして、個人の役割と責任が明確担っている方が、個人の仕事として進められる分、在宅勤務での生産性が良さそうでした。

オフィスにいた時のように、近くの席まで行って、密にコミュニケーションをとりながら仕事を進めることは難しく、1人で進めることができる仕事内容まで落とし込んであることが、生産的に安心して仕事に取り組めるポイントの1つだと思いました。

グレー部分は後で議論→仕組み化

ミーティング中に議論が収束しなくても、持ち帰ってグレー部分は後から決めようという場面があると思います。リモートワークが得意な人や組織では仕事自体が仕組み化されていて、会議自体がそれほど必要ない印象を受けました。

ミーティングで答えのない問題を議論するというよりは、個人個人の役割やアウトプット、対応の仕方がある程度定まっており、チャットを使って意図が伝われ、仕組みの中で仕事が回るように設計されていると思いました。

これは仕事の性質に大きく依存すると思います。例えば、不確実性の高い新規事業を開発するとき、社外パートナーとの共創活動など、明確にプロセスを仕組み化することが難しい職種があると思います。それでも生産的に在宅ワークを進めるためには、できる限り、仕組み化することをやっていこうとそんな風に感じました。

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これらのポイントは、いわゆる我々のような日本人が、苦手とするタイプの働き方だと感じました。暗黙の了解、ジェネラリスト型で集団で責任を共有する、仕組みでカチッと定めるよりグレー部分を会議で議論するという性質があるように思います。また、どれも簡単なポイントに思えて、実行には、1段、2段とハードルがあるように感じます。

一方、この時期に実行できるようになることはより生産的な働き方ができる、生まれ変わるチャンスなのではないか、そんな風に感じております。

ヒアリングにご協力してくださっている方々には大変感謝しています。ありがとうございます。

Photo at Nairobi, Kenya


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