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子どもを外の世界に引っ張り出すのではなく、大人が彼らの世界に入っていく

久しぶりに小6の長男(小3から不登校)と2人きりの夕飯だったので、いろいろ話をしたいなと思っていた。

友だち(いつも一緒にゲームで遊んでいるネッ友)の話を聞いていたら、「ゲームの好みによって遊ぶか遊ばないか変わる」などと言っていた。

スマブラ(大乱闘スマッシュブラザーズ)のレベルが違うから遊んでくれない友人がいる、という。長男はかなり強いらしいのだ。それで、彼が使っているキャラクターの話になった。

長男が遊んでいる世界を知る

私は、日本初のプロゲーマー梅原大吾さんの本が好きだ。同じ本をほぼ読まない私が、『勝ち続ける意志力』は2回読んだ。だから、彼のキャラ選びとか、練習方法とか、PDCAの回し方とか、概念としては知っている。

だから、長男のキャラ選びについて聞いた。

俺はこのキャラを使っている、理由はパワーが強いから。ただ弱点とか(相手によって)不利な相性も多くて。みたいなことを教えてくれた。

そんなに不利な相性が多いなら、違うキャラにすればよかったとか思わない? と聞くと、速攻で「思わない」と。

そう、それが彼だった。

マクドナルドではチーズバーガーしか食べない。サイゼリアではミラノ風ドリアしか食べない。アイスはバニラしか食べない。

「他のメニューにもおいしいものがあるかもしれない」とか考えないらしいのだ。

偶然にも、再婚した夫がまったく同じ特質を持っていたから(他人の空似)、細かい部分は夫に聞いた。

私も最近はよくわかる。「おいしいかもしれない」と浮気して、好きなもの(チーズバーガー)よりおいしいことはまずない。10回に1回くらいだろう。そのために10回試すより、ちゃんとおいしいとわかっていて好きなものを10回食べたほうがずっといい(ということだと思う)。

長男が使っているキャラクターの見た目を知りたいと、ググって動画も見た。プロゲーマーみたいな人がプレイしているのを見て、「ああ、うまいね」「このよけかたは俺もできない、うまい」「このプレイが……」と説明している。

私の感覚として、戦った時に勝てないから「相手のほうが強い」とわかることはある。でも、「戦わずして自分より相手のほうが強いとわかる」ということが、漫画以外にもあるのかと驚いた。

私はずっとバレーをしているが、戦ってみないと相手がどれくらいの強さかはわからない。ある程度のうまい下手はわかるが、見た目のうまさとチームの強さは違うし、ましてや力がある程度拮抗していたら、自分のチームと相手チームのどちらが強いかなんて、なかなかわからない。

夕飯の時に30分~1時間くらい話しただけだけど、かなり彼のことがわかったような気がした。

次男が遊んでいる世界を知る

次男とは、マイクラをときどき一緒にする。ただ、知識も操作もレベルが違いすぎるので、彼の後を追いかけたり、「やっておいて」といわれたことをしたり、集めた素材を献上したりするだけだ。

最近の彼は、見た目にこだわりがあるようだ。壁の色を全部同じにしたいとか、染料でブロックを染めて、好きな色にしたい。何色と何色は合わないから、こんな感じのシックな壁にしたい、などなど。

「もう1ブロックずつ部屋を広くしよう」と、決めたスペースだけ洞窟を広げたりする。厳密に。

単純作業ばかりで私は眠くなってしまうので途中でやめるも、そのあとも次男は黙々と作っている。

友人の大学生にアルバイトとして、次男と一緒にリモートでマイクラをしてもらっている。装備をあらかじめ作っておき、さらに大学生のためにも作っておいて、一緒にプレイしたりしているそう。

何かを丁寧に作って、誰かに見せる。そういうことが好きみたいだ。

最近「俺はものづくりが好きなんだよなあ」なんて言っている。

夫が好きだったゲーム(番外編)

これは番外編だけれど、夫は育成ゲームが好きだったという。特に好きだったのはドラゴンクエストモンスターズで、モンスターを仲間にして育成していくゲームらしい。普通のドラクエよりも育成のほうが好きだという。

彼は社会人になって、人を育成することにこだわりを持ち、日々たくさん考えている。たぶん、それが好きだし、得意だし、やりたいのだ。学生のころから、後輩を育てるのが好きだったという。勉強もスポーツも。

ゲームで「好き」を「発見」できる

こういうことを通して私が思ったのは、ゲームには自分の好きなことやどうしても惹かれてしまうことが投影されるということだ。

子どもにいくら育成が好きな資質があっても、周囲に自分より小さい子どもがたくさんいるという環境でもない限り、その能力は花開かない。でも、ゲームならそれができるし、それを「発見」できる。

長男の場合は、自分で決めたことを貫くのに迷いがない。これはゲームでなくても発見できるだろうが、動きが遅くても強いパワーが好き、ということは、日常生活では発見できないかもしれない。

次男のさまざまな見た目のこだわり。彼は女性のアクセサリーにとても興味を示すのでその傾向はあるが、洋服などはいまのところ全然興味がない。工作などは私が付き合ってあげられるほど時間が取れていないので、やはりそこまでのこだわりはわからないし、工作などではまだ手先の器用さが追い付かないだろう(折り紙は、端までとてもきれいに折る子どもだった)。でもゲームなら、彼の見た目に対するこだわりや美意識みたいなものがとてもよくわかるのだ。

子どもを外に引っ張り出すのもいいけれど、彼らの世界(ゲーム)にはすでに彼らの世界観がつまっている。みんな同じものを通り一遍に遊んでいるわけではなくて、彼らの世界や価値観を、そこで作り上げているのだ。

だからたまには、大人(親)が彼らの世界に入っていくのもいいよね、という話。

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