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赤いくつ、赤いばら、白いばら

いつも白と黒のものしか身につけないことにしている(理由はまた、今度)。

でも今日は少し贅沢なお店で食事をするから、いつもより少しおしゃれに見えるよう、家を出る直前に赤いパンプスに決めた。

最近は駅までの道を自転車でなく歩くようにしており(理由はまた、今度)、見た目よりずっと歩きやすいその靴で、てくてくと歩いた。

いつもの道で、ふと左を見ると、知らない人の家の柵にたくさんの小さな赤いばら。その間に負けじと咲く、大きな白いばら。

白いブラウスを着て、赤いくつをはいている私に、ばらが何かを送ってきたのかもしれない。

「私たち、気があうね」

美しいものに心を動かされる理由は、ひとつでなくたくさんある。

私とばらの、私たちにしかわからない、刹那的なつながり。

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