性教育は学校教育だけに任せておけない
皆さんのご家庭では、お子さんに性教育をしていますか?
性教育って聞くと、なんだかむずかしそうだと感じたり、
うちの子にはまだまだ早いだろうと思ったり、
なんとなく避けたくなったり、いろんな方がおられるかもしれません。
以前わたしも、できれば3歳から性教育をはじめることの意義について書きました。
性教育なんて、そのうち小学校でも習うでしょう?って考える方もおられるかもしれません。しかし、産婦人科医の高橋幸子先生によれば、「学校教育だけでは明らかに時間もコマ数も足りなくて、不充分である」ということでした。そこで、必要となるのが、やはり家庭教育。性教育は、おうちで親が教えるべき教育のひとつなんです。
今日は、わたしが参加させていただいた高橋幸子先生のオンライン勉強会の感想として、学んだ内容をまとめていきたいと思います。
性を肯定的にとらえることの意義
そもそも、性とはどういうものなのでしょうか。
漢字は、りっしんべん(こころ)が「生きる」と書きますよね。
つまり、性は、人の心をイキイキとさせる、すばらしい活力のこと。
たとえば志望校に合格したい!と思ったとき、好きな人が同じ学校を志望していると知ったら、がぜん頑張れたりしますよね。性欲は、自分が何か行動をする際の大きな原動力になります。人が明日も生を紡ぎたいと思うモチベーション、それが性欲なのだと思います。
欲があるからこそ、人生は楽しい。
性欲は、人生に彩りを与えてくれるものだとわたしは思っています。
性って素敵なことだよ、というニュアンスが、子どもにも伝わると嬉しいなと感じるんですよね。
自分の身体に触ると気持ちいい箇所があること、
優しく愛しく触れられると気持ちいいと感じること、
自分のことを大事にすること、
自分を大事にするのと同じぐらい、相手を大事にするのが必要なこと、
誰かを好きになって、自分と同じぐらい大事にしたい存在が生まれること、
そういったことすべて、素敵なことなんだよ、って。
そのためには、まずは親が、性を肯定的に捉える必要があります。
親がどんなに心配したって、遠ざけたって、子どもが性に興味をもち、性行為に及ぶときは必ず訪れます。だからこそ、そのときに、子ども自身が性に対して正しい知識をもっていることを目指して、親や周りの大人は性に対しての教育を行っていくべきなんですね。
単に子どもの性行為の時期を遅らせるだけでは解決しない問題がたくさんあるのです。
大切なことは、伝えられる時期が制限されている
理想では、子どもへの性教育は、3歳ぐらいから行われるのがよいです。
こういうことを言うと、多くの親からはこんな心配が聞かれます。
「変に知識を入れることで、逆に性行動が早まるのではないか?」
高橋先生の勉強会では、これをバッサリ否定してくれていました。
包括的性教育を受けた子どもは、【性行動が早くなることはなく、遅くなるもしくは変わらない】というデータがあるようです。正しい知識をつけると、性行動に対してより慎重になるんですね。
また、性教育が早い方がいい理由がそれだけではありません。本当に哀しいお話ですが、高橋先生が接する子どもの患者さん、つまり思春期外来に来る女子は、若年妊娠を経験していたり、性被害に遭っていたりするのです。
しかも、加害者は、他人だけではなく、実の父や実の兄など、肉親というケースもある。当事者の子どもたちは、性の正しい知識もないまま、なんとなく性行為をしたり、性被害に伴う恐怖や不快感だけを与えられています。
つらい想いをした中学生たちに「自分を大事にしてね」というメッセージをどんなに伝えても、もうすでに自分を大事だと思えていない子たちには、その想いが届かないそうです。もうその頃には、彼女たちの自尊心や自己肯定感はボロボロなんです。大切なことを伝えるには、期限がある。
大人としては、子どもたちが被害にあわないように、自己肯定感を低下させるような経験をしないように、身を守るすべを教えることが大事です。そしてそれは、思春期になってからではなく、まだ親と子が肌を触れ合わせながら会話ができる幼少期が、いちばん適しているのです。
困ったときに子どもがSOSサインを出せる親子関係を築く
小さい頃から性に関して話をしている家庭は、思春期(12~18歳)に入ってからも親子で性の話題を共有できる可能性があります。これの利点は、子どもが困ったときに、親に助けを求めやすくなること。
親や、大人としては、やはり子どもが何かトラブルに巻き込まれた際にちゃんと気づいてあげられること、解決するためのサポートを提示したり、具体的に問題に介入することなどを望みますよね。ただこれ、子ども自身が「この人には言えない」と感じていたら、そもそも困っているサインすら出してもらえない可能性があるのです。
子どもが親に、話してくれるかどうかを分ける決め手は、家庭内で性の話がオープンになされていたかどうか。子どもが性に対して興味を抱き、親に質問をしたときに、親が答えをにごしたり、恥ずかしがったりすると、子どもは「これは親に聞いてはいけないことなんだ」となんとなく察知してしまいます。
「どうして赤ちゃんができるの?」などの類の質問にどう答えるかは、各ご家庭によって違うと思いますが……
少なくとも親の準備としては、お子さんが0歳のうちから、あと数年(2・3歳頃)には聞かれるかもしれないと思いながら、自分なりの回答を用意して育児しておくとよいのだそうです。
また、実際にお子さんに尋ねられたことに対してすぐに答えられないときは、「とってもいい質問!ぜひ答えたいのだけど、今はわからないから、また今度おはなししよう」などといってその場を切り抜け、あとでちゃんと調べておく、という対処が良いようですよ。
こうして、子どもの疑問や興味に対して、真摯に向き合って対応していると、子どもが思春期に入っても親子関係は良好なまま保たれているはずです。(もちろん年相応にそっけなくなったりはするのは普通)
そして、願わくば、乳幼児期の間から、たくさんお子さんを抱きしめたり触ったりしてあげてください。皮膚と皮膚のあたたかいコミュニケーションは、親子の信頼関係を助長してくれますよ。
直接言いにくいことは本で伝えるのがおすすめ
子どもも思春期にさしかかり、親子の何気ない日常会話すらむずかしくなってきたら……ここはやはり、直接話して聞かせるのはなく、いろいろな本をさりげなく置いておくのが良いのだそうです。本を置く場所も、家族に隠れて読めるところ……トイレなどがいいですね。
勉強会の中で紹介されていたこちらのサイト「命育(めいいく)」では、参考図書のページもありました。お子さんの性別や年齢に応じて、適切な本を選んであげたいところです。
本は、子どもが読むだけではなく、親だけが読むもの、親子どちらも読んでおいたほうがいいもの、といろいろあります。
性行為、避妊のことだけではなくて、LGBTに関すること、性被害のこと、子宮頸がんのことなど、様々な知識を頭に入れておきたいところですね。
高橋先生の著書はこちらから↓
ご家庭で性教育を行う際に大事なのは、性のお話を一般的なものにしないことです。どういうことかというと、「命って大事なんだよ」ということよりも、「わたし(親)は、あなたの命が大事だと思ってるの」「わたしはあなたのことが大好きなの」ということを繰り返し伝えるのです。
いま目の前にいる、子どものこと、かけがえのない「あなた」という存在を愛していること、気にかけていることをちゃんとわかってもらう。そして、性の問題を自分事として捉えてもらうことが大事なのです。
これを読んで、「うちでも性教育始めてみようかな~」と思ってもらえたらとても嬉しいです^^
大人も子どもも、正しい性の知識をつけていきましょう!
いただいたサポートは、子どもたちのために遣わせていただきます😊いつもありがとうございます!