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著作権侵害だ!と警告されたときのチェック方法を知ってほしい!★許可なしでもOKな場合とは?

こんにちは、弁護士の鈴木恵美です。

今回作ろうとしているゲームの中で私が特に表現したかったことのひとつは、著作権侵害を警告されたとき、裁判を起こされたときに、本当にそうなのかな?を確認する方法や考え方です。

*ゲームで、著作権侵害を指摘するカードのデザイン案

趣味で作成した作品をSNSにあげるとき、クライアントから依頼されて製作したとき、著作権大丈夫かな。。。とモヤモヤしていたところに、著作権侵害です!と言われたら、ぜひ確認してほしいことがあるのです。

それは、

知らん!

よくある!

引用!

です。

ゲームにしたときに、これらを表現したカードは、著作権侵害!と警告や裁判で指摘されたとき、持っていると反撃として役に立つようにする予定です。

基本的な考え方としては、ただ同じor似ているだけでは、著作権侵害にならないということです。

【ポイント①】 著作物を真似していなければ侵害にならない。

知らん! ってどんなときに使えるの?

知らずに自分で創ったものが、たまたま誰かの作品に似ていた場合、これは著作権侵害とは言えません。
誰かの作品をもとに、誰かの作品を依りどころとして、真似したのでなければ、侵害にはならないのです。

だから、知らん!という反論が可能なのです。

でも、みんな知ってて当たり前だよね!というレベルで有名なものとそっくりだった場合などには、できない反論ですね。

よくある! はどんなときにつかえるの?

ありふれていると、著作物ではない!=著作者の権利を誰も持ってない!

ということになります。

ここで、数学の問題です。

著作物=〇〇〇+■■■ 

さて、何があてはまるでしょうか。

正解は、創作性+表現物でしたね!(これまでの私のnoteも参考に!)

よくある!ものは、創作性が無いので、著作物にはなりません。つまり。誰も著作者の権利を持っていないし、独占していない、自由に使えるということですね。

創作性のない典型例は、事実。法律にも、しっかり書いてありますね!

事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。(著作権法10条2項)

【ポイント②】 著作物を使っても、条件を満たしていればセーフ!

引用!はどういうときに使えるの?

引用!は、みなさんも日ごろからよく聞く言葉かもしれません。

実は、著作権法は、引用のルールを定めています。

(引用)公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。(著作権法32条1項)


利用することができる。が、数式の=の後にくる部分、効果ですね!

引用して使えるんですね。使えるとは、許諾を得なくても自由に使える、という意味なんです。

え?そんなこと法律の文章には書いてないような・・・

書いてあるんです。

第五款 著作権の制限

え?制限?

著作権法は、実は、クリエイターであるあなたが主役の物語として綴られているのです!

今日の一枚

あなたは、〇〇できる。〇〇の権利を独占している。あなたが、できること、持っている権利を、いっぱい書いてあるのが、著作権法の前半です。

もう一度、「著作権」の花束の中身をみてみましょう。

第三款 著作権に含まれる権利の種類 (複製権)第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。(上演権及び演奏権) 第二十二条 著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する
(上映権)
第二十二条の二 著作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する
(公衆送信権等)
第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する
2 著作者は、公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する
(口述権)
第二十四条 著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する
(展示権)
第二十五条 著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する
(頒布権)
第二十六条 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する
2 著作者は、映画の著作物において複製されているその著作物を当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有する
(譲渡権)
第二十六条の二 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する
2 前項の規定は、著作物の原作品又は複製物で次の各号のいずれかに該当するものの譲渡による場合には、適用しない。
一 前項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者により公衆に譲渡された著作物の原作品又は複製物
二 第六十七条第一項若しくは第六十九条の規定による裁定又は万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律(昭和三十一年法律第八十六号)第五条第一項の規定による許可を受けて公衆に譲渡された著作物の複製物
三 第六十七条の二第一項の規定の適用を受けて公衆に譲渡された著作物の複製物
四 前項に規定する権利を有する者又はその承諾を得た者により特定かつ少数の者に譲渡された著作物の原作品又は複製物
五 国外において、前項に規定する権利に相当する権利を害することなく、又は同項に規定する権利に相当する権利を有する者若しくはその承諾を得た者により譲渡された著作物の原作品又は複製物
(貸与権)
第二十六条の三 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する
(翻訳権、翻案権等)
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する
(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
第二十八条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する

いっぱい独占しているって書いてありましたね!

ところが、著作権法の目的は、

(目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

著作者の権利を定めるだけではなく、生みだされた素敵な作品を使う場合の調整、公正な利用方法についても定めるためでもあるのです。

つまり、「制限」というのは、著作権(いろんな利用の仕方の権利の束)の独占状態が制限される = 著作権者の許可なく、使われることを法律が認めている、ということなのです。

一つ一つの作品に許可をとって、利用する、これはもちろん素晴らしい、原則的な使い方といえますが、それが難しい場合もあると思います。そんなとき、「制限」に書かれている使い方ができないか、チェックしてみると良いですね。

平成30年著作権法改正では、「制限」が拡大されました。

つまり、自由に使える場合が、広がったのですね。

特に、ICT教育の分野について「制限」のルールが新しくなります。学校の先生、そのほか非営利の教育機関のみなさんは、ぜひチェックして欲しいです。学校を運営する市町村の方々にとっても、大きな変化があると思います。

今回は、どうして私が「制限」をゲームに表したいと思っているか、について書きました。引用のルールとか、もっと細かく知りたい!など、ぜひリクエストやゲームへのアドバイスなど、コメントをお待ちしております!

私も、講義を持っている大学の後期が来月には始まります。noteも引き続き頑張りたいと思います!

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著作権ゲームのデザイン、ルール原案、意匠、すべてを、あまりクリエイティブでない私が担当しています。 noteの手描きイラスト画像も自作ですが、いつかデザイン面など、プロの方にお願いできたらいいな、と考えています。 応援いただけたら嬉しいです!