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イギリス年金制度 日本人向け完全ガイド(英国在住経験者必見)

「イギリスの年金の受け取り方法について調べているけど、英語を読み続けてヘトヘトになってしまった…」

「日本人がイギリスの年金制度について知りたいことを、日本語でわかりやすく書いた情報ってないのかな?」

「イギリスの年金制度について色々聞きたいことがあるんだけど、誰か教えて!」

そんなイギリスの年金制度についてお悩みの方のために、「イギリスの年金制度 日本人向け完全ガイド」を作りました!

会社勤め、フリーランス、会社経営、全てのイギリスの年金に関わる可能性のある方に必要な情報をまとめています。

この記事では、イギリスの年金制度について解説した後、次のような疑問も解消します。

  • イギリスに2年間住むことになったけど、年金制度に加入しないといけないの?

  • イギリスに住んでいる間に納めた年金を受け取るには、何年間納めないといけない?金額は少なくても年金を受給できる?

  • イギリスで企業年金に入るのは必須なの?

  • イギリスで企業年金に入っているけど、日本に帰国してからどうやって受け取るの?

  • イギリスではフリーランスや会社経営者用の年金もあるの?

  • 年金保険料を支払うと、税金の軽減措置を受けられるって本当?

  • イギリスの個人年金はどれを選べばいいの?

  • イギリスの年金って結局いくらもらえるの?

  • イギリスの年金制度が破綻する危険性ってどのくらいあるの?

この記事の目次は以下の通りです。

  • イギリス年金制度の仕組みと特徴

  • イギリス年金制度の歴史

  • イギリス年金制度の種類7つ

  • イギリス年金制度に加入する時の注意点4つ

  • 年金拠出によるメリット:税の軽減措置・非課税

  • イギリス年金を10年間以上納付し、日本で受給する場合の年金受給

  • イギリス年金制度に関する質問にお答え

イギリスの年金制度について知ることは、イギリスで仕事をするにあたって必ず避けては通れない部分です。

私の場合は、イギリスで会社勤めと会社経営をしており、それで年金制度に色々と種類があることを知りました。

この度、読者の方からご質問があったのを機に、徹底的にイギリスの年金について調べました。

年金は、会社勤め、フリーランス、会社経営、どのケースでも関わってくる大切なことです。

特に日本に帰る予定のある人は、何年間年金を支払う必要があるのかなどの「資格要件」を知っておかないと、

「払ったのに年金がもらえない!」

とがっかりすることになります。

帰国時の年金の手続きも、この記事をご覧になり、イギリス国内にいるうちに知っておくことをおすすめします。

現時点で、以下の全種類のイギリスの年金について日本語でわかりやすく解説している記事は、見当たりません。

  • basic State Pension(基礎公的年金)

  • new State Pension(新公的年金)

  • Additional State Pension(追加公的年金)

  • Workplace Pension(企業年金)

  • Personal Pension(個人年金)

  • stakeholder pension(ステークホルダー年金)

  • SIPP(自己投資型個人年金)

例えば、公的年金と企業年金、個人年金では払い込みや受け取りの仕組みが違います。

人によって加入が必要な年金や、加入できるものとできないもの、向いているものと向いていないものがあります。

イギリス年金制度に加入する時の注意点についても、早めに確認しておきましょう。

イギリス国外で受け取る場合は、イギリス国内にいるうちに手続きを行う必要があります。

この記事で、イギリス年金について日本人がすべきこと・知っておくべきことが全てわかるようになっております。

無料部分だけでも十分有益な内容となっていますので、ぜひお役立てください。

読者の方の声:
UKの年金制度の概要を効率的に把握できます。GOV.UKを読む前に、一読することをお勧めします。

(無料部分はRAINBOW LIFEの同記事「イギリス年金制度 日本人向け完全ガイド(英国在住経験者必見)」でも公開しております。)

※イギリス政府の公式サイトや関連サイトから引用しています。説明はわかりやすいように一部単純化しているところがあります。内容は変わることもあるので必ずそれらの公式サイトで確認してください。

更新記録:

2022年11月5日 「イギリスでの滞在期間が10年未満でも年金をもらう方法」の項目を追加

イギリス年金制度の仕組みと特徴

イギリスの年金制度は、日本と同じで、いま仕事をしている世代が支払った保険料を現在の高齢者などの年金給付に充てる賦課方式です。

その資金は、「National Insurance(国民保険)」と呼ばれる社会保障費として徴収されます。

National Insuranceは、イギリスで収入のある対象者に加入が義務付けられています。

このお金は、年金の他にもいわゆる公的扶助、NHS(無料の医療サービス)、失業手当などの公的サービスに充てられています。

イギリス年金制度の歴史

イギリスでは、中世からある種の年金制度が存在していたことが分かっています。

当時は必ずしもお金の形ではなく、食べ物や作物、宿泊施設などが年金として存在しました。

また、近世に入ると現代の社会保障に近い年金が生まれています。

…そのような計画の1つは、障害のある船員に年金を提供するために1590年に設立された「チャタムチェスト」でした。これに続いて、1672年に、州が提供する退職したイギリス海軍将校のための年金制度がありました。…年金を利用できるようにした最初の労働者グループの1つは、政府の公務員でした。…国営年金が設立され、企業が職員に職業年金を広く提供する20世紀以前は、ほとんどの人が家族、慈善団体、または教区の貧しい救済制度の高齢者の支援に依存していました。…1601年の救貧法により、小教区は高齢者や困窮者の世話をする責任があり、1834年までは、支援は一般に地元の救貧院で「救済」(受取人が家にいられるようにする支払いや支援)または「救援」の形で行われました。…しかし、1834年の救貧法改正法によって制定された改革は、いわゆる「不当な」貧しい人々が小教区からの支援に依存することを思いとどまらせることを目的とした、はるかに厳しい体制につながりました。

https://www.pensionsarchive.org.uk/84/

いわゆる生活保護の不正受給はイギリスでも一時期大きな問題となっていました。

昔も年金に関して似たような不正受給があったということです。

19世紀には、国営年金や企業年金が生まれます。

19世紀には、特定の職業や企業で少数の年金制度が確立されました。

https://www.pensionsarchive.org.uk/86/

国営年金は、1908年に高齢者の一部のために最初に設立され、国営年金のこの補償範囲と規定は、20世紀から21世紀にかけて発展してきました。年金業界が20世紀の間に発展し拡大するにつれ、政府は、年金制度の会員が次のような年金貯蓄を失う危険にさらされた事件に対応して、会員の利益を保護するために年金制度に規制をかけようとしました。マクスウェルスキャンダルと呼ばれるこの事件を受けて、政府は1995年年金法の会員に対して年金制度と補償メカニズムのより厳しい規制を設けました。

https://www.pensionsarchive.org.uk/87/

イギリス年金制度の種類

イギリス政府が提供する年金制度の種類には、basic State Pensionとnew State Pensionの2種類があります。

基礎年金と付加年金の2階建ての年金制度は、2016年の年金制度改革で、1階建ての年金制度に変わりました。

これから年金制度に加入する場合は全てnew State Pensionとなります。

basic State Pension

basic State Pensionが当てはまるのは、以下の方のみ。

1951年4月6日以前に生まれた男性
1953年4月6日以前に生まれた女性

basic State Pensionの全額は週に137.60ポンドです。

new State Pension

new State Pensionは、basic State Pensionの対象者でない方となります。

次の方は、new State Pensionを請求することができます。
1951年4月6日以降に生まれた男性
1953年4月6日以降に生まれた女性

new State Pensionを最も早く受給できるのは、国民年金受給年齢に達したときです。2016年4月6日以前に公的年金受給年齢に達した方は、代わりに旧ルールで公的年金を受け取ることができます。

https://www.gov.uk/new-state-pension

new State Pensionの受給に必要な払込期間

では、new State Pensionに加入した場合、払込期間はどれくらい必要なのでしょうか?

new State Pensionは、公的年金受給年齢に達したときの国民保険記録に基づいて決定されます。new State Pensionを受け取るには、通常、国民保険記録に10年の払込期間が必要です。2016年4月6日以前に契約を解除した場合は、new State Pensionの満額よりも少なくなる可能性があります。旧ルールで一定額以上の付加的な国民年金を受け取っていた場合は、new State Pensionの満額よりも多く受け取ることができます。2016年4月6日以前に国民保険の記録がない場合、満額のnew State Pensionを得るためには35年の払込期間が必要です。

10年の払込期間でも年金はもらえるものの、満額ではないということです。

つまり、2016年4月6日より後に国民保険に加入した場合などは、満額をもらうには35年の払込期間が必要ということですね。

年金の適格期間が35年を超えても、もらえる金額は35年の場合と同じ満額です。

年金の払込期間に数えられる期間

支払う金額によって年金の払込期間に数えられる期間が変わります。

年金保険料を支払っていない場合でも、払込期間に数えられることがあります。

仕事をして国民保険を支払い、以下の場合に適格年限を得ることができます。
1つの雇用主から週に184ポンド以上の収入を得ている場合
自営業者で国民保険料を支払っている場合

週の収入が184ポンド以下の場合、国民保険料を支払わない場合もあります。
1つの雇用主から週に120ポンドから184ポンドまでの収入を得ている場合でも、適格年限を得ることができます。

https://www.gov.uk/new-state-pension/your-national-insurance-record-and-your-state-pension

給与天引きになる従業員の国民保険料は、給与額の範囲により金額が異なります。

また、国民年金を受給するためには、国民保険の記録に少なくとも10年の払込期間が必要です。

ただし、連続して10年である必要はありません。

年金クレジット

無職、病気、子供の世話をする親、介護者の方は、条件があえば保険料を支払っていない期間に「年金クレジット」を受け取ることができます。

つまり、上にあげたような事情で保険料を支払っていない場合にも、年金の拠出期間として数えられます。

まとめると、合計10年間の間、少なくとも以下の1つ以上の項目に該当する必要があります。

  • 働いていて、国民保険料を支払っていた

  • 失業や病気、子供の世話や介護者などで国民保険料の控除を受けていた(年金クレジット)

  • 任意で国民保険料を支払っていた

ちなみに、イギリス国外に住んでいたり、イギリス国外で働いていたりした場合でも、年金の適格期間に数えられる場合があります。

詳しくは、イギリス年金と日本の年金は合算できないをご覧ください。

既婚女性または未亡人の場合、軽減税率保険料を支払っていた場合も対象となる可能性があります。

付加年金(Additional State Pension)はすでに年金世代の方が対象

付加年金にあたるAdditional State Pensionは、basic State Pensionを受け取る人のみが対象です。

つまり、それ以外の人はnew State Pensionのみが対象となります。

追加の公的年金は、本人が以下に該当する場合、basic State Pensionに加えて、追加で受け取ることができる金額です。
1951年4月6日以前に生まれた男性
1953年4月6日以前に生まれた女性

https://www.gov.uk/additional-state-pension

企業年金

企業は、条件に当てはまる従業員には全員、企業年金に加入させる義務があります。

学生としてイギリスに移住した方は当てはまる可能性が低いですが、そうでなければ多くの人が条件に当てはまるでしょう。

収入が一定額を下回る場合は、企業年金の拠出義務はありません。

すべての雇用主は、職場での年金制度を提供しなければなりません。これを「自動加入」といいます。
以下のすべてに該当する場合、雇用主は自動的に従業員を年金制度に登録し、年金を拠出しなければなりません。
「労働者」として分類される年齢が22歳から公的年金受給年齢までである
年間10,000ポンド以上の収入がある
通常英国内で仕事をしている(不明な場合は詳細なガイダンスを参照)

雇用主は、従業員の収入が以下の金額以下の場合、年金を拠出する必要はありません。
・月に520ポンド
・週に120ポンド
・4週間に480ポンド

https://www.gov.uk/workplace-pensions/joining-a-workplace-pension

企業年金の拠出額

企業年金には、従業員と雇用主が両方支払います。

さらに、国の税控除があるため、一般的には従業員の拠出額の倍の金額が企業年金として払われます。

(ただし、以下にある通り、場合によりそれぞれの拠出額は異なります。)

老後の備えとしては非常に嬉しい制度です。

従業員と雇用主が年金に支払う金額は、以下によって異なります。
・従業員が加入している職場の年金制度の種類
・企業年金に自動的に加入しているか、自発的に加入しているか(「オプトイン」)

例:従業員は確定拠出年金制度に加入しているとします。毎回の給料日に、以下の通りそれぞれが拠出します。
・従業員が40ポンドを拠出
・雇用主が30ポンドを拠出
・従業員が10ポンドの税控除を受ける
合計80ポンドが年金に支払われます。

https://www.gov.uk/workplace-pensions/what-you-your-employer-and-the-government-pay

参考として、年金の計算機もあります。

企業年金の受取額

企業年金の受取額は、条件に基づいてルールによって決まります。

当然、払い込んだ金額や年金の運用方針など、さまざまな要素が関わってきますよね。

具体的な金額は、勤務先の人事に問い合わせるか、企業年金を管理運用する会社に尋ねるとわかるはずです。

受け取る金額は、投資や入金額ではなく、年金制度のルールによって決まります。職場の制度は通常、給与や雇用主での勤務期間など、いくつかの条件に基づいています。年金管理会社は、従業員が退職するときに毎年一定額を支払うことを約束します。通常、25%を非課税とすることができます。残りの金額は、定期的に支払われます。いつ年金を受け取ることができるかは、年金制度の規則によって異なりますが、通常は早くても55歳です。

https://www.gov.uk/pension-types

個人年金(Personal pensions)はフリーランスや会社経営者の備えに

Personal pensionsは、State Pensionだけでは足りない老後の資金にプラスできる年金です。

企業年金とは違い、自分で手続きして加入します。

そのため、会社勤めでないフリーランスや会社経営者にも加入できる年金です。

年金の受取額は、3つの要素により決まるのが一般的です。

個人年金とは、あなた自身が手配する年金のことです。確定拠出年金や「マネー・パーチェス」年金として知られることもあります。通常は、支払った金額に応じて年金を受け取ることができます。一部の雇用主は、企業年金として個人年金を提供しています。個人年金に支払ったお金は、年金管理会社によって投資(株式など)に回されます。
個人年金から得られるお金は、通常、以下によって決まります。
・払込み金額
・ファンドの投資成績 - 上昇も下落もありうる
・年金の受け取り方

また、個人年金には種類が3つあり、目的に合ったものを選べます。

個人年金の種類

個人年金には以下のようなさまざまな種類があります。

  • スタンダード個人年金:ほとんどの大手年金管理会社によって提供されています。投資対象も多岐にわたります。

  • ステークホルダー年金 - 手数料の制限など、政府の特定の要件を満たす必要があります。

  • 自己投資型個人年金(SIPP) - 年金基金を構成する特定の投資を自分でコントロールすることができます。

年金管理会社が金融行為監督機構(FCA)に登録されているかどうか、ステークホルダー年金の場合は年金規制機関(Pensions Regulator)に登録されているかどうかを確認する必要があります。


また、個人年金では、いずれの種類でも保険料の支払いがフレキシブルにできます。

そのため収入に変動があるフリーランスや会社経営者にピッタリです。

年金管理会社がHMRCに登録されていれば、年金の払込み額は税金控除の対象になります。

個人年金への支払い

年金管理会社への支払いは、定期払いまたは個別の一括払いをすることができます。年金管理会社は、ファンドの時価を示す年次報告書を送付します。

通常、年金に支払ったお金には税金が軽減されます。年金制度がHMRC(英国歳入関税庁)に登録されていることを年金管理会社に確認してください。

ステークホルダー年金(stakeholder pensions)

stakeholder pensionsは、払い込みをやめたり再開したりが自由にでき、拠出額に上限がある年金です。

投資先のファンドは、どれを選べばいいかわからない人にはデフォルトの設定にしておけばいいので楽です。

stakeholder pensionsの特徴は、次の通りです。

・手数料の法的制限 - 最初の10年間は年金資金の価値の年1.5%、その後は年1%となります。(ただし、雇用主が自動加入の義務を果たすためにステークホルダー年金を利用する場合は、0.75%の手数料上限が適用されます。)
・移管に手数料がかからない
・違約金なしで、いつでも拠出を停止・再開できる
・最低拠出額は20ポンド以下
・デフォルトの投資ファンド - 選択したくない場合は、このファンドに投資されます。


拠出金の税控除

年金管理会社は、基本税率での税控除を申請し、年金資金に加算します。

自己投資型個人年金(SIPP)

自己投資型個人年金(SIPP)は、投資先が自由に選べる種類の個人年金です。

年金の形で税の軽減措置を受けながら老後に備え、投資先を自分でコントロールしたい方に向いています。

自分で運用する自信がない人は、ファイナンシャル・アドバイザーにお願いするか、他の個人年金を選ぶのも一つの手です。

個人年金の中では最も自由度が高いシステムなので、投資運用の経験がある人以外はあまりおすすめしません。

SIPPでは、自分で投資先を選んで管理するか、公認のファイナンシャル・アドバイザーに依頼します。自分で管理しているので、何度でも投資先を変更したり追加したりすることができます。SIPPは、他の年金タイプよりもはるかに幅広い投資オプションを提供することができます。
幅広い投資オプションにより、以下のような様々な資産に投資することができます。
・自社株(英国およびイギリス国外)
・集合投資 - オープンエンド投資会社(OEIC)やユニットトラストなど
・投資信託不動産および土地(ただし、住宅用不動産は除く)

このリストはすべてを網羅しているわけではなく、SIPPの年金管理会社によって提供している投資オプションは異なります。SIPPを使って住宅用不動産に直接投資することはできません。しかし、オフィスなどの商業用不動産への投資は可能かもしれません。あるいは、不動産投資信託(REIT)のような特定の集団投資を通じて間接的に投資することもできます。すべてのSIPP年金管理会社がこの種の投資を受け入れているわけではありませんし、個人的な使用には制限があります。投資運用の経験がない場合は、規制されているファイナンシャル・アドバイザーを利用して、SIPPの投資先の選択と管理を支援してもらうことが重要です。アドバイスを受けずに投資すると、万が一の場合に保護されない可能性が高くなります。

https://www.moneyhelper.org.uk/en/pensions-and-retirement/pensions-basics/self-invested-personal-pensions?source=mas#

イギリス年金制度に加入する時の注意点

イギリスに合法的に滞在してNational Insurance(国民保険)を支払っている人は、全員イギリスの年金制度へ加入していることになります。

当然働いていないとその保険料を支払えませんよね。

無職、病気、子供の世話をする親、介護者の方は、条件があえば保険料を支払っていない期間に「年金クレジット」を受け取ることができます。

つまり、上にあげたような事情で保険料を支払っていない場合にも、年金の拠出期間として数えられます。

(移民として他の国にきている以上、仕事をして経済に貢献することが前提であることは覚えておきたいです。)

イギリス年金制度に加入する時の注意点をまとめると、次の通りです。

  • イギリスの年金と日本の年金は合算できない

  • イギリス年金の支給開始年齢も繰り上げ中

  • イギリス年金は請求しないともらえない

  • イギリス年金の支給時に税金がかかる

イギリスの年金と日本の年金は合算できない

イギリス滞在中に年金資格期間が10年に満たない場合に、日本の年金資格期間と合算すればイギリスの年金も請求ができるように思えますが、それは残念ながらできません。

イギリスと日本が社会保障協定を結んでいないためです。

そこで、以下の点を覚えておきましょう。

以下の国に住んでいたか働いていた場合は、イギリス国外で過ごした期間を、イギリスでの年金資格取得の10年間として数えることができる場合があります。
・EEA(​​欧州経済領域)
・スイス
・ジブラルタル
・英国と社会保障協定を結んでいる特定の国:
バルバドス
バミューダ
ボスニア・ヘルツェゴビナ
ジブラルタル
ガーンジー島
マン島
イスラエル
ジャマイカ
ジャージー島
コソボ
マウリチウス
モンテネグロ
北マケドニア
フィリピン
セルビア
トルコ
米国
*カナダ
*ニュージーランド

**イギリスと社会保障協定を結んでいるものの、年ごとの年金受取額の増加の対象にならない。

例:本人が公的年金受給年齢に達した時点で、国民保険記録には英国での適格年数が7年。EEA加盟国で16年間働き、その国の国民年金の保険料を支払った場合。

イギリス国外で働いていた期間があるので、new State Pensionを受け取るための最低資格年数を満たしています。new State Pension額は、本人が英国で支払った7年間の国民保険料にのみ基づいて支払われます。

https://www.gov.uk/new-state-pension/living-and-working-overseas

イギリス年金の支給開始年齢も繰り上げ中

日本と同じですが、イギリス年金の支給開始年齢も繰り上げ中です。

55歳や60歳だったものが、65歳へと繰り上げられ、それもさらに上がっています。

2028年までに67歳になるとのこと。

執筆時点で30歳の私は、政府の計算機で試算したところ、68歳に支給予定になっています。

(もちろん、今後どんどん繰上げになる可能性は十分あると思います。)

イギリスでは、日本のように超高齢社会ではなく、まだ高齢者の人口に占める割合が19%にとどまっています。

さらに、今後の人口構成の予測を見てみても、現在の日本のようにつぼ型になる予想はありません。

イギリスの人口構成は、2022年時点でもつりがね型(先進国に多い形)です。

今後もつりがね型を保ちながら徐々に高齢者の割合が増えていくと予想されています。

イギリス年金も請求しないともらえない

日本と同じで、イギリスでも年金を受給するには申請が必要です。

年金の受給は、政府のウェブサイトから簡単に請求できます。

郵送での請求も可能です。

希望する場合は、年金の受給時期を遅らせることもできます。

年金のオンラインでの請求方法

年金のオンラインでの請求方法で必要なのは、以下の情報です。

  • 直近の結婚、市民パートナー、離婚の日付

  • イギリス国外に居住または勤務していた期間の日付

  • 銀行口座の詳細

  • 国民年金の受給の通知に記載されている招待コード

あとは、「Start now」をクリックして質問に答えていくだけです。

イギリス年金の支給時にかかる税金

日本と同じで、イギリス年金の支給時には税金がかかります。

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