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シュリを24年ぶりに観た日 Chet Bakerな夜

My funny Valentine, sweet comic Valentine
You make me smile with my heart…

チェット・ベイカーを聴きながら昼間の映画を思い出しています
4Kデジタルリマスター版で24年ぶりに“シュリ”を再観しました
上映権の問題で劇場上映・配信等がされず“幻の傑作”と言われてました
「面白かった!」というイメージだけが残っておりディティールはすっかり彼方に消え、記憶にわずかに残っているのはキッシング・グラミーと親善試合のサッカー場の光景のみ。どんな映画だったかなぁ…

映画が始まりました…
「そうそうソン・ガンホ痩せてたんだ」「スマホは無くてパソコン通信」
などと少しずつ記憶が蘇ってきました
改めて見直してみると「銃撃シーンの本物感が半端ないな」と感じたのを
思い出しました
この映画の銃撃戦の場面はリュック・ベッソンの“ニキータ”やマイケル・マンの“ヒート”の影響を強く受けているように思います
ちなみにヒートでは撮影に入る前に監督のマイケル・マンが役者たちに実弾による射撃訓練を受けさせました
ヴァル・キルマーのリロードシーンは海兵隊で教材として使われたなんてまことしやかな話があります
また劇中で使用されている銃撃音は全て実際の発砲音を収録し使用しています。まさに本物。そのため銃撃シーンは「ヒート前かヒート後か」といわれエポックメイキングな映画となっています。影響されないわけがないですね。アジアのアクション映画の巨匠ジョン・ウー監督ともちょっとテイストが違います。私は“英雄本色(男たちの挽歌)”シリーズは大好きですが。

それにしても半島の南北統一という政治問題を主旋律としながら、ハン・ソッキュとキム・ユンジンの愛し合う男女なのに敵対しているという、非常にナイーブな人間関係を同時に見せていて、人の悲しみや切なさ、個人に対する国家の理不尽さなどがじんわりと染み渡ってきます
だれも幸せになっていない 切なさ、やるせなさがただただ残るカタルシスのない映画 韓国だから作れる映画なのでしょうね
ラストシークエンスで流れる“When I dream”には泣かされます

歴史や権力に翻弄される人々の不条理を
チェット・ベイカーを聴きながらぼんやりと思う夜です

When you open it to speak、Are you smart?
But don't change a hair for me、Not if you care for me
Stay little Valentine, stay、Each day is Valentine's Day
#My Funny Valentine


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