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「気負わない心地よさ、体現する店舗ブランディング」 #EMILYWEEKここだけの話 vol.2 FMD 牧野由美子

「JOURNAL STANDARD」や「IENA」などのファッションブランドを運営するベイクルーズから生まれたEMILY WEEK(エミリーウィーク)。生理週間を軸に、女性の4週間のバイオリズムに寄り添ったライフデザインを提案するブランドです。

ブランド設立から3周年を記念し、このnoteシリーズでは『EMILY WEEK # ここだけの話』と題して、EMILY WEEKの今までとこれからをチームメンバーに尋ねます。

第2回は、ニュウマン横浜店と大丸梅田店の2店舗のブランドとお客様との架け橋を務める、FMD(フィールドマーチャンダイザ―)の牧野由美子です。

妥協ではない、お洒落なサニタリーを求めるニーズ

ーー 牧野さんはベイクルーズ 歴が10年以上、Spick & Span自由が丘店店長などを経て、EMILY WEEKへの異動を希望されたそうですね。そのきっかけは?

牧野 洋裁学校に通っていた母が、洋服を手作りしてくれた環境もあって、幼い頃からファッションが大好きでした。それで、ベイクルーズに入社して職業としてこの世界に携わるようになったのですが、年齢を重ねるごとに、体の内側からもきれいに、豊かになることにも興味が向き始めました。また、年々深刻化する環境問題においても、もっと資源や環境に配慮しながらファッションを楽しめないかと思い始めていた頃でした。

それでプライベートでは、全米ヨガアライアンスというインストラクター資格を取ったり、ヘルシーフードを手作りしたりして、自分の心身と向き合うことを楽しんでいて。そんなとき、社内のスタートアップ制度の中で、EMILY WEEKが始まることを知り、ぜひ参加したいと思ったんです。

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▲シルクパジャマをコーディネート(牧野)

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▲撮影時、EMILYチームにヨガを教える牧野(右)

EMILY WEEKが提案している布製ライナーは、私も20代から使っていました。ただ、以前日本で売っていたものは素朴なデザインのものが中心で、かわいいものがあまりないのが不満で。ベイクルーズから発売するからには、多くの女性に受け入れられるようファッション性を大切にする、というブランドの方向性に共感しました。

ーー ブランドを一から立ち上げるのは大変だったのでは?

牧野 常設店ができるまで、ポップアップストアは都内各所で15回開催しました。お店を立ち上げては移すという感じで、引っ越しの梱包作業がうまくなりましたね(笑)。ポップアップのような単発店舗だと店頭パートナーが固定ではないため、布製ライナーの使い方などを使用未経験のパートナーに深く落とし込むのに苦労がありました。

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▲ 2017年 渋谷ヒカリエでのPOPUP風景

新しいブランドに特有の認知面での苦労はあまりなかったですね。「女性の4週間のバイオリズムに寄り添ったライフデザイン」という明確なコンセプトに共感してくださったお客様が実際の商品も見てみたいという感じでご来店いただくことが本当に多かったです。でもそれは、お客様の期待値が高いということでもあるので、商品づくりにおいてはコンセプターの柿沼とかなり試行錯誤を重ねました。

ーー 立ち上げ時期に、嬉しかったお客様の反応は?

牧野 店舗の立地によって反応は様々でしたが、働く女性から小さいお子さんを持つ主婦の方まで、幅広くご来店いただけたのが嬉しかったです。共通して感じたのは、皆さん忙しい毎日の中でも、アロマやオーガニックコットンのアンダーウェアなどで自分を癒し、労りたいと考えていること。あらためてブランドの方向性に手応えを得ました。

それから、立ち上げから割とすぐ、ファッション業界に長く身をおく、目の肥えた社内の同僚たちも「EMILY WEEKの商品が可愛い!気持ちいい!」と次々と実際に購入してくれたことも自信になりました。ベイクルーズでやるからには、着心地や素材にこだわりながらも、色やトレンドを意識した、デザイン性の高い商品作りをしたいという自分たちの想いが届いたのかな、と。

▲ 社内からも好評だった初期サニタリーショーツ

社内の同僚からは、「サニタリーショーツってあまり買い替える機会もないし、どこで買っていいか分からない。コンビニやドラッグストアなどで適当に買って妥協していた」といった話も聞いて。やっぱり、お洒落なフェムケア商品というものが求められているということを実感しましたね。


定番人気の「RESET」ブラの紐が細いワケ

ーー 現在の仕事内容について教えてください。

牧野 常設店として、去年11月に大丸梅田店、今年6月にニュウマン横浜店ができて、私は主に店舗での販促やレイアウト、店舗パートナーの育成などを行なっています。役割として大事なことは、店舗での売上をとっていくこと。そして、お客様に長く支持されるブランドであるために、店舗と本部メンバーのつなぎ役としてお客様のリアルな声を商品に反映させることです。

とくにEMILY WEEKは、まだ3年目の小さなブランドなので、より現場の意見を吸収したいと思っています。コンセプトとしても、お客様を強くリードしていくというよりも、お客様の悩みに寄り添うのがいいなって、自分でも最近すごく感じていて。社内の同僚からも、お客様の声を商品につなげるスピード感が速いと言われます。

ーー定番人気の「RESETシリーズ」のブラは牧野さんの発案だそうですね。

牧野 はい、現場に立ってみての肌感覚を商品開発に生かしました。RESETシリーズのサニタリーショーツはお腹を温めるようにハイライズなので、セットになるブラの紐は、スパゲッティのように細いものにしました。本当に“ファッション的な気分”というか、自分も含む世の女性たちは今、こんな商品を求めているのではないかと手探りで掴んでいった感じです。

▲ 細いストラップが人気の「RESET」ブラ

やっぱり、ベイクルーズでアンダーウェアを扱うからには、洋服を買うことの延長のような感覚で購入いただきたい。心地よい素材使いにはこだわりつつ、他のベイクルーズブランドの洋服と合わせても違和感のない商品かどうかということには、これまでの経験も踏まえ気を配っています。


「女性を包括的にサポートする」ことへの共感

ーー 常設店のパートナーはどんな方がエントリーされていますか?

牧野 オーガニック系全般やアロマ、コスメ好きなパートナーが多いです。そして、私と同じようにコンセプトに惹かれたという方がほとんど。ここだけの話、「何をやるかは分からないけれど、とにかくコンセプトに共感した」というケースも結構ありました。実際に入ってみて、アンダーウェアの取り扱いが多いことに驚いたという話もあったり。

ーー そういうケースは、実際の仕事内容に戸惑われることはなかった?

牧野 あまりそこは、大きなミスマッチにはならないですね。アロマが好きで資格も持っているような方も、アロマ単体というよりは、アロマを使って、女性のバイオリズムやライフスタイルまでサポートしたいという、包括的な想いを持つ方に応募いただいているという印象です。

採用側としても、ファッションへの関心や身だしなみはもちろん、マインド面など自分の内側も大事にしている人かということを重視しています。私が思うEMILY WEEKらしい女性像は、自分の芯を持ちながら調和的な女性。身も心も、総体として柔軟で、クリアな女性というイメージです。

▲ 女性に寄り添うアロマやコスメも扱う

ーー 柔軟といえば、初めての単独での常設店ということで、大丸梅田店のパートナーの方は柔軟さが求められたのではないでしょうか?

牧野 オープンだけでも大変なうえ、EMILY WEEKはサニタリー用品やアンダーウェアなど、女性の悩みに踏み込んだ商品を扱っています。とくに、大丸梅田店は新たに採用した新規パートナーで構成されていたためベイクルーズの企業理念やフェムケア系アイテムの知識の習得など、様々なことが求められる難しさがあったと思います。

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▲ EMILY WEEK 大丸梅田店

加えて、大丸梅田店は女性のリズムに寄り添うことをコンセプトにした新ゾーン「ミチカケ」内への出店でした。ミチカケの試験的な施策であった「生理バッジ」がSNSで炎上したことも、店舗パートナーたちの現場対応に大きな負担をかけてしまったことを、本部の人間として申し訳なく感じました。

その後、ミチカケではフロアとしての従業員教育として、女性の体についての勉強会を定期的に開催しています。フロア全体で徐々に成長していこうとする過程にありますし、EMILY WEEKとしても、目先のことにとらわれず、本質的なパートナー教育を行っていこうという思いを強くしました。


コロナ禍、店舗パートナーと取り組んでいたこと

ーー 大丸梅田店のオープンから、ニュウマン横浜店のオープンまでの間は、新型コロナウイルスに関連した店舗休業も経験されましたね。

牧野 4月、5月は休業になってしまいました。EMILY WEEKでは実際の商品を見たり、パートナーに相談しながら買い物をしたいというお客様のニーズが一定数あります。休業中はその拠り所がなくなってしまうし、販売パートナーもそれまで毎日店頭にいたのに、自宅で待機しなければいけないという状況にもどかしさがあったかと思います。

ですが、休業に入る前にファッションスナップを撮り溜めてくれたり、休業中はブログを書く練習をしてくれたり、個人のInstagramを始めてブランドと紐づけてくれたり。パートナーの自主的な動きに私自身も励まされたし、それぞれに顧客様が付いている販売パートナーが店頭だけでなく、デジタルでも発信することの重要性を認識しました。

▲大丸梅田店SNAP

店舗休業中に発売される新商品については、ブランドのInstagramのストーリーズでQ&A企画を実施。ECに問い合わせるまではないけど、ちょっと聞いてみたいという感じの質問がお客様から寄せられて好評でした。休業中は本当にEMILY WEEKのチーム一丸となって乗り切りましたね。

▲ Instagramで実施されたQ&Aコンテンツ

ーー 休業期間を乗り越えて今年6月にニュウマン横浜店がオープンしました。

牧野 ニュウマン横浜店には、EMILY WEEK目当てのご来店ももちろんありますが、他のファッションブランドをのぞくときと同じようなフラットな感覚でご来店いただくことが多いです店内にはアンダーウェアをはじめ、ルームウェア、アロマ、別注の店舗限定ハーブティーなども並んでいます。

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▲EMILY WEEK ニュウマン横浜店

ご来店の際、あまり気負っていただきたくないなと思っていて。居心地のいいお店になるよう、レイアウトには日々手を入れています。サニタリーやフェムケアは、憂鬱な期間であってもファッションの力で少しでも気分を上げてもらえるように。雑貨類は疲れた自分を癒したり、大切な友達にプレゼントしたりするのに活用いただけたら。


EMILY WEEKらしい接客とは?

ーー ブランド誕生から3年経った今、EMILY WEEKにおける接客について考えることは?

牧野 EMILY WEEKのお客様は、あまり無理をしすぎずに、できれば自然体で、軽やかに生きたいというマインドの方が多いと感じています。強く何かを求めるというよりは、店内のラインナップを見て、「そういえば、楽でかわいい下着が欲しかったんだ」と思い出されるという感じ。

ですから接客でも、あまり無理のない提案がいいかなと思っていて。たとえば、ふだんはワイヤー入りのブラを着けていらっしゃる方に、家にいるときだけノンワイヤーで天然素材の着心地がいいアンダーウェアを着けてみてはどうか、というお話をしたりします。自分をちょっと解放する時間をつくるという選択肢をお伝えするというか。

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▲ EMILY WEEK ニュウマン横浜店 店内

一方で、当たり前のことですが、「心地よさ」というのも人それぞれということも感じていて。最近注目が高まっている吸水ショーツも、便利で最高という意見もあれば、汚れたショーツをもう一度履くことに抵抗があるという意見もある。色々な選択肢をつくっていくことが大事かなと思います。

ーー 最後に、秋冬の店頭での見どころを教えてください。

牧野 今までは、わりとミニマムなデザインのアンダーウェアが中心でしたが、これからはレースを使ったものがたくさん出てきます。お洒落の気分が変わる秋におすすめの華やかな見栄えだけど、肌に触れる内側の部分はオーガニックコットンというところが、EMILY WEEKならではかと。

▲ 2020AW 新作のオールオーバーレースブラ

また、国内外のまだ他社で取扱いの少ないブランドの、アンダーウェアやルームウェアも店舗を中心に入荷します。Instagramで直接つながったりして関係性が始まった、ものづくりにこだわる “同志”みたいなブランドをセレクトしているので注目いただきたいですね。

▲東京発ニットウェアブランド「nakes(ネイクス)」

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▲ 国内初上陸のNY発「THINX(シンクス)」

ブランド誕生から3年経って、当初のブランドコンセプトに強く共感いただいたところから、「商品を買って良かったから」とリピートしていただける段階に入ってきました。オリジナルの定番商品から、セレクトにこだわったインポートものまで、バリエーションも増えてきたEMILY WEEKをぜひ体験していただけたら嬉しいです。


文・編集 皆本 類

牧野由美子 / EMILY WEEK FMD(フィールドマーチャンダイザ―)
北海道 札幌市出身。
文化服装学院卒。アパレル販売を経て、ベイクルーズに入社。Spick&Spanにて販売、店長を経たのち、本部にてバイヤーアシスタントからWEBビジュアルコーディネーターなどを努め、2017年にEMILY WEEKスタートアップ社内公募にエントリーし立ち上げメンバーとしてジョイン。商品企画からバイイング、セールス、販促活動まで幅広く携わり、現在はFMD(フィールドマーチャンダイザ―)として店舗と本部チーム、またお客様との架け橋となる提案活動を行っている。
EMILY WEEK CONCEPT
「日常を、心地よいリズムに。」
EMILY WEEKは生理週間を軸に、
女性の4週間のバイオリズム:Reset-Active-Neutral-Balance
に寄り添った新たなライフデザインを提案します。
日々を頑張るすべての女性へ、それぞれに合った心地よいリズムをサポートしたい。
EMILY WEEKを通じて自分と向き合うことへの喜びに出会えるよう願って。

EMILY WEEK 店舗情報

ONLINE STORE:
https://baycrews.jp/brand/detail/emilyweek

NEWoMan 横浜店:
〒220-0005 神奈川県横浜市西区南幸1-1-1
NEWoMan 横浜店 6F
TEL:045-534-5381

大丸梅田店:
〒530-8202 大阪府大阪市北区梅田3-1-1
大丸梅田店 5F(ミチカケ内)
TEL:06-6442-7410