今月見た映画(2021年3月~8月)

パブリック 図書館の奇跡(原題:The Public;2018年)
大寒波が襲うニューヨークで、公共図書館を路上生活者のシェルターにするべく、1人の図書館員が奮闘する物語。冒頭、施設管理や公衆衛生の観点から路上生活者を排除したい当局側の締め出しは、公共施設あるあるすぎて。エンターテイメントとしても気楽に見られる映画。

女は二度決断する(原題:Aus dem Nichts;2017年)
そして、私たちは愛に帰る」「ソウル・キッチン」など、絶対にハッピーエンドはなく、必ずラストにざらっとした感触を残してくれるファティ・アキン監督の作品。体力のある時に見ようと思って、ずっと見れずにいました。テーマは、ネオナチ。女の一度目の決断は、レイシストを裁判にかけること。二度目の決断は・・・。

コンテイジョン(原題:Contagion;2011年)
世界を見渡してみれば、SARS、MERS、新型インフルエンザ、エボラ症候群と、ここ20年、新型ウィルスとの闘いは始まっていたのかもしれない。ビル・ゲイツが「ウィルスこそ現代社会の最大の脅威」と警告したのは2015年。それよりも早く「オーシャンズ11」の監督が制作したのがこの映画。見覚えのある場面が沢山現れることに驚く。

ある画家の数奇な運命(原題:Werk ohne Autor;2018年)
現代美術家ゲルハルト・リヒターをモデルに、ナチス時代から東西ドイツ時代を絵描きとして生きる主人公の、傑作が生まれる瞬間までを描く。彼の筆を動かす動機は反体制「ではない」なのに、誰かの過去を《告発》し、自身の過去を《追悼》する。

エイブのキッチンストーリー(原題:Abe;2020年)
パレスチナ系ムスリムの家系に育ち、無宗教を貫く父と、イスラエル系ユダヤ人の家系に育った母をもつ12歳の少年の、アイデンティティ探しの旅。ブラジル系移民たちのキッチンで修業を積み、繰り出されるフュージョン料理の数々は・・・絶対うまい。

コリーニ事件(原題:Der Fall Collini;2019年)
戦争中の罪は裁けないとした刑事法の陥穽をフィクションで突き、実際の法改正まで動かしたという小説をもとにした法廷サスペンス映画。「平凡でリスペクトに値する祖父母世代が、戦争中に行ったことに向き合う孫世代」という設定は、最近のドイツで繰り返しテーマになっているように思う。

<映画で学ぶドイツ語>

Wählt die Kunst. Es ist ein"Entweder-oder". Nur der Kunst ist die Freiheit keine Illusion. Nur die Künstler können den Menschen aus dieser Katastrophe die freiheitliche Spühle züruckgeben.

芸術を選べ。二者択一だ。芸術にのみ自由が現実であり、芸術家だけがこの荒れ果てた世界から自由な精神を人間に取り戻すことができる。


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