今月見た映画(2018年9月)

世界一キライなあなたに(原題:You Before Me)
主演のサム・クラフリンの、ちょっと切ないシーンで悲しく笑う顔が好きなので見てみた。ただ、ストーリーはDIGNITASという実在する組織を賛美しかねない方向に行ってるので、クラフリンが切ないシーンで悲しく笑う顔が台無しだと感じた。どんなに辛くても、自分で終わらせていい命などないのである。

スノーデン(原題:Snowden)
エドワード・スノーデンさん、今どこで何をしているんだろうか。と思って見てみた。当時私と同じくらいの年齢。スノーデンが、アフガニスタンでの遠隔狙撃を自慢気に語る同僚に、命令に従って罪に加担した兵士を裁いたニュルンベルク裁判を引き合いに出し、国家ぐるみでの罪の告発へと転じる描写が印象的だった。凡庸な悪こそが現代の戦争の最大の悪なのである。

世界一美しい本を作る男(原題:How to make a book with Steidl)
ドイツ語圏の書店に行ったことがあれば必ず見たことのある、あの主張しない背中・シュタイドル出版の書物。シンプルな装丁なのに、ページの色合いからフォントの形まで、本当にどれも美しいのです。拠点のゲッティンゲンから、瞬間移動するかのごとく世界中を飛び回り、早口で書物について語るシュタイドルさんが非常に可愛い。

ザ・サークル(原題:The Circle)
「スノーデン」のフィクション版といったところ。日ごろ誰かに情報を届けてナンボの仕事をしているだけに、情報を効率よく集めて・分析できて・発信できたらなんて素敵なんだろうと思っていますが、どこまでをプライバシーと見なすかで、こんなにも簡単に監視社会ができあがるんですよね。

アバウト・レイ 16歳の決断(原題:3 Generations)
福井のメトロ劇場でかかっていた時から気になっていて、見てみた。トランスジェンダーという言い回しすら浸透しているとは言い難い日本で、この映画の問題を発見できる観客がどのくらいいるのか疑問だけど、とにかくひどい筋書きだった。ちょっと色々誤解を生じかねない感じ。主演のエル・ファニングは頑張っていたと思うけど。

シング・ストリート 未来へのうた(原題:Sing Street)
アイルランド映画はなんでも好きだ…。なんて言ったってじゃがいもの国…。いや、この映画にじゃがいもは出てこないけれど。音楽が良すぎる「ONCE~ダブリンの街角で」と同じ監督の映画で、この映画も音楽が良い。内戦後の傷跡にあえぐ時代を背景として描かれる青春に、まっすぐ歌われる完成しすぎたロックは、本当にキミたち初心者かよ(笑)ってなる。

<映画で学ぶ英語のコーナー>

Would you please stop being chatty? - Lovely.
(おしゃべりしなくていいから。助かる。)
「世界一キライなあなたへ」のクラフリンが、初めて会ったエミリア・クラークに向かって超イヤミっぽく言うセリフ。君はおしゃべりが好きだね?のあとにこれが来る。"Lovely."は、「ラーーーヴリィ」とけだるそうに発音するのがポイント。
What are you afraid of the most? - Of unfulfilled potential.
(一番おそれているものは? ー 能力が発揮できないこと)
「ザ・サークル」で、入社面接の試験官に問われたエマ・ワトソンが答えるシーン。そんなシンプルで強い言い回しができるんだなと。使おう。
Are you having a second thought?
(悩んでるの?)
「アバウト・レイ」では、登場人物が悩みに悩むので、誰もがお互いに何度も使うセリフ。二の足を踏む、みたいな気持ちかと。

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