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彼岸花

つい数日前まで「まだ蒸し暑いよなぁ~」と言い、部屋に扇風機をかけていたのに、昨日辺りからすっかり涼しくなり、今日はとっても肌寒い。

そこで、タンスの奥から冬用の温かい下着を引っ張り出して、試しに着てみた。

うん、これでちょうどいい。

そして寝具。最近、夏布団では夜中に冷えて目が覚めるので、冬の羽毛布団にチェンジしてみる。暑いどころか、ちょうどいい感じ。お蔭で体が温まり、朝までぐっすり熟睡することができた。

あんなに死ぬほど暑かったのに、今、季節は「秋」へと確実に向かっている。

◇◇◇

お天気も、ずいぶん秋らしくなった。

昨日は終日、シトシトと雨が降った。

今までは、突然のゲリラ豪雨が心配で、夕方は洗濯物の取り込みにハラハラしっ放しだったけど、ここ最近は、天気予報通りだ。シトシトと静かに降り続く雨の日とカラッと秋晴れの晴天の日の違いがくっきり明確になり、家事の予定が非常に立てやすい。

ああ~、これこれ。この感じよ。これが日本の「秋」。

スーパーに行くと、脂がのった秋刀魚や瑞々しい秋の果物がぞろぞろと店内に並ぶようになった。

天高く馬肥ゆる秋。

私の好きな秋、そのものだ…。

◇◇◇

散歩のとき、近くの公園を歩くと、所々で真っ赤な彼岸花が咲くようになった。

今年の彼岸花はとても美しい。

別名、曼珠沙華。

昔、子供の頃に読んだ少女漫画に、彼岸花の下に子供の死体が埋まっている…というストーリーのもの(ホラー系)があったなぁ…とふと思い出す。

あのマンガを読んで以降、私は特別な思いで彼岸花を見つめるようになった。

◇◇◇

最近、彼岸花を題材にした作品に、北原白秋のこんな詩(歌)があることを知った。

当時の流行歌だったそうな。

もしかしたら、あのマンガはこの詩(歌)もとにして描かれたものだったかもしれないな…と思う。

(以下、ネットより転記)

◇◇◇

曼珠沙華(ひがんばな) 

北原白秋/山田耕作

GONSHAN  GONSHAN 何処へゆく

赤い御墓の 曼珠沙華 曼珠沙華

今日も手折りに 来たわいな

 GONSHAN  GONSHAN 何本か

地には七本 血のように 血のように

ちょうどあの児の 年の数

GONSHAN  GONSHAN 気をつけな

ひとつ摘んでも 日は真昼 日は真昼

ひとつあとから またひらく

GONSHAN  GONSHAN 何故なくろ

何時まで取っても 曼珠沙華 曼珠沙華

恐や赤しや まだ七つ

≪明治44年(1911年) 歌集『思い出』より≫

◇◇◇

彼岸花って、本当に不思議な花だ。

地面からニョキッと茎だけ出して、血のような真っ赤な花を咲かせる。

この花を見かけると、「夏は終わったんだなぁ」としみじみ感じる。

そして、ちょっぴり怖さも感じる。

その形が、見た目、地球の生き物っぽく無いのに、切ったら真っ赤な血が吹き出てきそう…。

怖い怖い。

お彼岸の頃に咲くっていうのも、なんだか意味深な感じ…。

曼珠沙華。

彼岸花。

彼の世と此の世をつなげる花。

今年も美しく彼岸花が咲き、ようやく「秋」が始まる。

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