悲しすぎる記憶を忘れるために
パートタイムの仕事で書店に勤めだし、ようやく慣れてきたかんじがある。同時に張り詰めて緊張して駆け抜けてきた疲れが全身に目に拡がる。夢中で見ていなかった見ないようにしてきたものが目に飛び込んでくる。
20年前手痛い思いをして私の人生を支配するかのように暗い雲を落としてきたもの。本屋に並ぶ作者の名前。死んでもらってはじめてわたしはほっとする、憎しみの名前。あれは私の思い違いではないだろうか、私がおかしかったんではないか私が悪かったんではないか、長年頭がおかしくなるほど考えた。40