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中学生高校生が数学の力をつけるにはどうしたらいいか?

ここ数年、社会では数学の重要性が増しています。それに伴って受験でも数学の点数が合否に大きく影響するようになってきています。たとえば、早稲田大学の看板学部と言われる政治経済学部が入試に数学を必修にしたことはその一例です。また、最近はやりのデータサイエンス学部や、プログラミングに関する知識や技術を学ぶことができる工学部情報学科では数学は必須です。素人でも自分のホームページ、ブログ程度なら作れますが、基本的に数学ができない人にプログラミングはできません。何かを「自動化」するプログラムや、大量の情報を学習して処理するような場面では高度な数学の知識、深い理解が欠かせません。

Twitterでは私は単に大学院生ですとだけ、名乗っているのですが、専門は数学です。数学のある一分野の研究をしています。今回は受験生向けに数学の勉強法について私がこうするべきだと思うことを述べます。

1.授業を一生懸命聞く「だけ」では絶対に数学ができるようにならない

数学ができるってどういうことですか?とツッコミがとんできそうですが、ここでいう数学ができるとは、「試験で平均点以上の成績を上げる」ということにしましょう。



結論から言いますと、数学が得意になるためには「数式と仲良くなる」ことが重要事項のひとつです。数学の世界において数式は言語、言葉みたいなものです。物理では数式は自然現象を表す言葉などと表現されます。それくらい数式と仲良くなる、つまり数式を理解することは重要です。

授業では先生が教科書に書いてあることを解説してくれます。教科書に書いてある数式の意味するところ、いわゆる数式の「気持ち」を話してくれます。すると、話を聞いているぶんには理解できるし、分かった気になるのですが、数学が苦手な人はそれで満足してしまう場合が多いです。

授業で先生が話しているのは、数式に対する「先生の価値観」です。数学の勉強というのは、数式を理解する過程で自分の数学に対する感性を磨き、「自分の価値観」を作り上げることが重要です。私は数学専門の塾で働いたことがあるのですが、数学が得意な人は無意識にこれができていました。

2.自分の価値観とは

数学の話なのにポエムっぽいことばかり述べているので具体的な話をします。塾で働いていたときの経験です。

数学に関する質問を受けるとき、しばしば「先生、この問題がわかりません」といわれ、解き方を教えてあげるのが塾講師の仕事なのでそのような質問を生徒がすることは悪いことだとは思いません。むしろやる気があって良いなぁと思います。一方で、ちょっと変わった質問も飛んできます。「せんせい、なんでこの問題の(1)って何のために出題されたんですか?(3)解くのに(1)いらないですよね?」とか「先生、この公式何がありがたいんですか?」という質問です。このような質問をする人は数学が得意な人が多かったです。

自分の感覚に強く訴えるものは長く記憶に残りやすいです。数式をみて「ああ、美しい」とか「これはありがたい!」などと感じるかどうかは個人の感性ですし、数式をあがめ奉るのも個人の自由ですが、そうした方が、そうする努力をした方が記憶にも長く残りますし、数式と仲良くなる近道だと思うのです。

実際、公式のありがたみというのは大学レベルまで勉強してやっと分かってくるものです。複雑な積分や三角関数がじつは多項式で表せる(多項式は「分かりやすい」対象)からありがたいなどと解釈するのですが、中学から、高校、大学と上がるにつれて数学の「抽象度」が上がってきて、それに伴って脱落者がどんどん増えるのですが、脱落しないためには数式の「お気持ち」をとらえることが重要です。

3.では具体的にどのように勉強すれば良いか?

私のこれまでの経験、偉い数学の研究者の方の書物から、以下の二点が重要です。

・紙とペン(ノートとシャーペン)をもって、書いて勉強する。

これは、授業を聞いて満足しないで下さい、動画を見ただけで満足しないで下さいということが一つあります。個人的な体験として、大学の定期試験で落第しかけたという私にとって事件があったのですが、教授に問い詰められました。「君珍しく点数悪かったけど、ちゃんと紙とペンを持って「書いて」勉強したの?」試験で出題される問題は事前に教授がアナウンスしていたので、私は解答を自分で作り、それを暗記するというふうにしてべんきょうしました。つまり、解答を一度書き起こして、後はそれを読んで眺めて暗記したのですが、試験中にところどころどうしたらいいか忘れしまって、結果としてずさんな答案を書いてしまっていたのです。教授に叱られました。「ダメだよそれじゃあ~。ちゃんと書いて勉強しないと数学はできるようにならないよ。」この経験から、書いて勉強することがいかに大切かを思い知りました。

また、数学は物理や化学のような他の理系科目と異なり「実験」を行いません。が、このように手を動かす、書き起こす作業は「思考実験」そのものです。つまり物理や化学の実験と同じくらい大事な作業だということを強調しておきます。

・ゆったり、ゆっくり勉強する

これは有名な数学者の書いた書籍に勉強法のアドバイスとして書いてあったことです。

大事なことは、自分の中に良い芽(ここでいう数式の気持ち、自分の感性)を育てることで、そのためにはじっくり書物を読んで数式を味わうように勉強することだと著者はおっしゃっていました。

ネットで勉強法を調べてみると、青チャートを○周解くとか、ひたすら写経しまくるという方法を紹介しているモノが多いですが、それでは数学はものにはできないということです。

私の意見としては、参考書は一周できれば十分です。なんなら最後までときおえるのはすごいこと、名誉なことだと思います。基本的に、数学を理解するには時間がかかります。本当に一部例外はいますが、9割9分9厘の人はそうではありません。ですから、机の上に紙とペン、参考書に自分の好きな飲み物、少しのお菓子を用意して気長にやりましょう。座るのが疲れたら散歩でもして、歩きながら勉強したことを思い出してみましょう。あなたの感性がグッと磨かれますよ。

4.まとめ

中学生、高校生のみなさん、このnoteをみてくださったみなさんありがとうございます。一緒にがんばりましょう。


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