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日本人はなぜ英語が苦手?

 「英語が母国語の人にとって、最も習得が難しい言語は『日本語』である」と、アメリカの国務省が認定。日本語は世界中の言語で、唯一の最高難易度であるカテゴリー5+に属する。それを使いこなす日本人としてある種の優越感を感じてしまう一方で、この隔たりが英語学習の障害となっていると考える。

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 例えばヨーロッパ系の人は、ノンネイティブでも英語を流暢に操る人が相当数存在する。英語に加えて、隣国の言語ぐらいはお茶の子さいさいとばかりに操るトリリンガルはざら。言語構成が似ているかららしい。学生時代にラテン語を学んだ人も多く、ラテン語をベースにしている言語はとっつき易いそうだ。(ラテン語をベースにしている言語は西欧に多い)

 つまり、苦手意識を感じる1つ目の理由は、「日本語と英語の言語構成が大きく異なっている」ことである。

 2つ目の理由は「英語に触れる機会が少ない」こと。日本の人口は1億人以上にも上り、メジャーな映画や本など、世界中の有用なサービスはほぼローカライズ(日本語化)されている。翻って、ヨーロッパの少数民族国家(北欧、オランダ等)に目を向けると、その人口の少なさ、市場の小ささゆえに、母国語にローカライズされることがなく、小さいころから圧倒的に英語版に触れる機会が多い。

 この2つの「言語構成の違い」と「触れる機会の少なさ」により、日本人が英語を苦手と感じるのは、当然であるともいえる。ちなみにフランスも「触れる機会の少なさ」は日本と近い事情があり、人口少数国家と比べると、英語が流暢でない人が比較的多いと感じる。(昔、フランス人は「プライドにかけて英語を話さない」、という話もありましたが、今はどうなんでしょうね。)

 多くの日本人にとって、巷で言われる「英語を短期間で!」というのは、まやかしやセールストークだと思っている。私のように、帰国子女でもなく40近くになって急に英語を使い始めた人にとっては、毎日英語に触れても、いまだに英語を話すのには苦労するし、一日の仕事の後には激しい脳の疲労を感じる。でも身に着けるには必要なことと割り切っている。脳は筋肉みたいなもので、鍛えてやらないと記憶、回路が定着しない。

以下余談。

 ヨーロッパで30か国以上旅をした。「英語が通じない」ということは、ほとんどなかった。少なくとも私よりはできる人が多い。英語を「使う」ことができれば、世界中の多くの人とコミュニケーションがとれる時代になってきたと実感している。

 日本語は、言語で感情や敬意を伝えることも、他言語に比べると比較的容易だ。なぜなら、より適切に感情や敬意を表現できる単語があり、時と場合によって使い分けることができる。
 コミュニケーションでは、言語情報から7%しか伝わらず、残りの93%は非言語情報から伝わる、という有名な「メラビアンの法則」がある(ちなみにメラビアンはアメリカ人)。ただ、私は、日本語の場合は7%を優に超えると思っている。外国人は、ジェスチャーが大げさだと一般に言われるが、感情まで表現できるような言語表現が比較的少ないので、なおさら非言語表現に頼らざるを得ない。
 何が言いたいかというと、日本人は言語情報で伝えることに慣れすぎていて、言語情報が伝わらないと、「伝わってない感」を感じてしまう。でも大丈夫。「日本語ほど精度よく伝わる言語はない、伝わらないことはよくあることだ」と思って、伝わらなくても、めげないことが大切だと思う。
 記憶にあるのは、フランスの田舎の古いシャトーに泊まった時、宿主であるおばあちゃんが、全く英語を話せなかった。私もフランス語はほとんどわからないが、お互い身振り手振りでコミュニケーションが取れた。本当に根気よく丁寧に対応してくれた。それと同じように、ある程度英語に慣れた上で一生懸命コミュニケーションすれば、その気持ちは伝わる。非言語コミュニケーションは彼らの方が得意ですから。

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